ニセ選挙運動

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 宮崎市で不定期に発行されている超アーバンなサブカルチャー誌『サルママ』の、2015年9月発行の第6号に寄稿した文章である。有料のミニコミに発表したものだからサイトなどでの公開は避けてきたが、もう発行から5年も経つし、そろそろ公開してもかまわんだろう。
 発行の数ヶ月前、この2015年の春に初めて展開した〝ニセ選挙運動〟のレポートで、以後同様の活動を同年秋の大阪ダブル選、翌2016年夏の都知事選でも展開している。それらを記録した動画は、コチラで整理されている。

 分量は原稿用紙13枚分で、つまり本来なら当社(?)基準で130円となるところ、持ってけケーサツ、まあサービスでnote最低価格の100円としておく。無料公開部分の分量もテキトーである。

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 去る4月の統一地方選で〝ニセ選挙運動〟というのを展開した。
 立候補もしていないのに選挙カーまがいの街宣車を走らせる。車上の看板には大きく「九州ファシスト党公認候補・外山こういち」の文字(何の〝候補〟なのか書いてないところがミソだ)、もちろんマイクでの「外山、外山、外山恒一でございます」の〝連呼〟も忘れない。これを、選挙期間中ずっとやる。
 当初のアイデアはそれだけだった。
 この数年、私は大きな選挙のたびに反原発の街宣車を走らせてきた。3年前の衆院選では「原発問題を争点に!」と大書した街宣車で、九州じゅうの原発推進派候補の選挙カーを1人につき1日ずつ朝から晩まで追っかけて、ショパンの「葬送行進曲」を大音量で浴びせかけつつ、「前を走っている何々サンは原発推進派です!」と道行く人に〝告げ口〟して回った。一昨年の参院選では一転、「こんな国もう滅ぼしましょう原発で」と大書した街宣車で、「私たちテロリストのために大事な標的をいつまでも残してくれてありがとうございます」と原発推進派候補をホメご……いや大絶賛するキャンペーンを展開した。昨年の都知事選でも、基本的にはそれと同じ方式で舛添サンを〝応援〟しまくった。
 どれもそれなりに好評だったのはいいのだが、一方でどうもある種の誤解を招いてしまっている可能性を危惧していた。つまり、何だかんだ云いながらも結局は外山も選挙結果をどうにかしたいのだな、ろくでもない政治家を落選させようとしているのだな、という誤解だ。もちろんそんなことはないのである。私はただ原発推進派にイヤガラセをしているだけで、選挙結果などハナからどーでもいいのだ。私は原発に本気で反対しているが、それ以上に選挙制度そのものに本気で反対している「反民主主義」のファシストなのだから。
 世間の〝好意的な誤解〟を糾すためにも、次の選挙では原発問題は一切引っ込めよう、私は選挙制度そのものを徹底的にバカにしている超極悪なファシストなのだと善良で素朴な人民大衆に骨の髄まで思い知らせよう、というわけで思いついたのが〝ニセ選挙運動〟である。
 実際やってみて面白いのか? と実際やってみる前は不安だった。だがしかしまあ実際やってみることが大事なのだ。とりあえず実際やってみて、何日かいろいろ試行錯誤してみてどうしても面白くならないようなら、マジで立候補しちゃってる連中と違ってこっちはべつにそれを最後まで絶対やりぬかなきゃならない特段の事情もあるでなし、その時点でやめりゃいいだけの話である。
 やはり〝反選挙〟のモチーフはくっきりさせた方がよかろう、と単に自分の名前を大書するのは車の前後の看板だけにして、側面にはそれぞれ「選挙反対! 民主主義打倒!!」「めざせ投票率ゼロ%」のスローガンをあしらった。マイクでのスピーチも、基本的には「投票なんか行くな」の方向でまとめることにした。
 ちなみにすべて合法である。特定の候補を名指しして落選運動をやるのは禁止されているようなのだが(これまでやった推進派候補たちへのイヤガラセもどれも表面上〝落選運動〟ではない)、不特定に、つまり「全員落としましょう」は違法ではないのだ。法律なんてチョロいもんだぜ。

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外山恒一

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革命家。マルクス主義、アナキズムを経て03年よりファシスト。福岡市在住。九州ファシスト党〈我々団〉総統。サイト「外山恒一と我々団」(link: http://bit.ly/1wp0Ggi)