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移住のための家探し 3ステップ

こんにちは。
トネガワ フミと申します。
東京から富山に移住して5年目になります。
娘2人と夫との4人で暮らしています。

今でこそ富山LOVEの私ですが、
移住のきっかけは夫の転勤でした。

ですので、
当初は何もわからず未知の世界に飛び込む覚悟でおりました。

行先が富山県であるということは決まっていましたが、
家を探すときにはいろいろと悩みました。

普段、のほほんと生活をしていたので、
「自分と家族がどんな暮らしをしたいか」を短期間で考え、
家選びという現実問題に落とし込むことは、
楽しくもあり、けっこうシンドイことでもありました。

今回は、移住先での私の家探しについて、
3ステップでお伝えしたいと思います。

とは言っても、当時は結構やみくもに突き進んでいた感はあります。
今考えれば、こういう道筋を踏めばスムーズだったな、ということです。
ステップ1から説明していきたいと思います。

【ステップ1】理想の暮らしを思い浮かべる

移住といっても色々なシチュエーションがあると思います。

Uターンであったり。
就職であったり。
憧れを叶える冒険であったり。

私のように、夫の転勤についていく、という事情であったり。

ここでは、
「ざっくりと場所と時期は決まっているけれど、
具体的な物件探しはこれから」という方に向けて書いてみます。

まず私の場合は、
理想の暮らしをイメージしてみることからはじめました。

条件から家探しをはじめてしまうと、
いい物件に出会えない可能性が高いからです。

また、途中で行き詰まることも多いです。
私の個人的な経験からですが。

私の場合は
「せっかく富山に行くなら、『トトロ』のサツキとメイのような暮らしがしたい」
というものでした。

これは、長年私の心の奥にあったイメージでした。

町から少し離れた村の畑や田んぼに囲まれた風景。
トトロが住んでいるのは大きな鎮守の森。
小川が流れていて、その小川沿いの通学路を歩いていくと学校がある。
ちょっと走った先には3世代で住んでいる家があって、そこのおばあちゃんが
色々と教えてくれる…。
村にはちょっとシャイだけど気のいい子どもたちがいる…。

他にも、
『西の魔女が死んだ』という本の中のシーンのように、
ラベンダー畑に洗いたてのシーツを広げて干したり、
庭でハーブを摘んで朝食で食べたりしてみたい、
というイメージもありました。

昔読んだ本や映画の、田舎の風景が次々と浮かんできます。

富山に来る前は知りませんでしたが、
『おおかみこどもの雨と雪』の風景モデルとなった家が、
富山県の上市町というところにあるそうです。

暮らしたい理想のイメージが浮かんできたら、
次は現実問題と向き合います。


【ステップ2】現実的な条件を考える

夫がカメラマンだとか陶芸家だとかだったら、
どんな山奥にでも住めるのかもしれませんが。

わが家の場合は、会社の辞令で富山へ移住することになったので、
まずはオフィスへの通勤が可能な場所でなくてはなりません。

また、わが家には2人の娘がいます。
年配の方からは、
「学校まで片道2時間かけて歩いていったもんだ」
なんて話を聞くこともありますが。

我が子が片道2時間かけて歩いていく?
と考えると、悪い人に連れ去られたり、熊に出会ったり色んな心配が頭をよぎります。

つまり、勘案しなければならない条件として、
・夫の勤務先への通勤可能範囲内であること
・娘たちの通学可能地域であること、
となりました。

この時点で、あまりの山奥や人里離れたところは圏外となっていきます。

現実問題として、予算も限られています。
重厚な古民家を、水回りや生活空間だけオシャレにリノベーション!
は、夢ではありましたが、先立つものが工面ができません。

さらに、富山の場合には、雪のことを考える必要があります。
雪が降った時に、車で移動すると考えると。
私道の奥まったところにある一軒家では、
大雪が降ったらとたんに陸の孤島になることを覚悟しなければならないでしょう。

防災の観点も考えます。
土地に縁のない私たち家族は、まず自分の身は自分で守らなければならないと考えています。
土砂崩れ、津波、洪水、倒壊などが容易に考えられるところはできれば避けたいと思います。

我が家の現実的な条件は、
① 通勤、通学ができること。
② 雪に対応できること。
③ 容易に予想できる自然災害は避けたい。
とまとまりました。


【ステップ3】「妥協」と「こだわり」で、イメージの解像度をあげる

わが家の場合は、ひょんなこと(夫の転勤)から富山に移住することが決まりました。
そこから一気に期待が膨らんでいきました。

ステップ1のイメージと、
ステップ2の条件を念頭に、
あちこちの移住ツアーに参加させていただきました。

古民家などを案内してくれたり、街の紹介をしてくれたりするツアーが、
探せばあるのです。
ぜひ、ネットでのワード検索や、行政のサイトから探してみていただきたいと思います。

今は、コロナ禍ということで、オンラインツアーも多く開催されています。
そういうのを利用しない手はないと思います。

私の場合。
富山で実現させたかったのは、
「『トトロ』のサツキとメイが暮らしているような風景」という
漠然としたものでした。
それにプラスして、通勤通学ができて、雪に困らなくて、当面の自然災害もおきなそうな家…。
けれど、そんな条件にピッタリの家って、なかなか見つかりませんでした。

そこで考えました。

「トトロのいる風景の中でも、私が本当にみたいのはなんだろう?」

移住ツアーに参加したり、
何度も自問自答したりしながら、イメージの解像度をあげていきます。
解像度を上げるとは、
モヤモヤとした漠然としたものから、
クリアにはっきりさせていくということです。

そして、行き着いた答えは、
「自然の中で遊ぶ娘たちの姿をみたい」
というものでした。

大きな鎮守の森や、さらさらと流れる小川も、
あればそりゃあ良いに決まっています。

でも、それが無理なら何は譲れなくて、何は妥協できるのか?

「自然の中で遊ぶ娘たちの姿をみたい」
結局、見たいのは“娘たちが幸せそうな姿”なのです。

漠然としたイメージに、現実的な条件をぶつけていくことで、
自分の希望がシェイプされていくことを実感しました。

最終的に選んだ家は、
住宅街の中にある、賃貸一軒家です。
車を2台停められるカーポートと、
その隣に5×5メートル程の小さな庭があります。
オフィスへは車で20分程。
最寄駅へも、歩いて20分程です。

小さな庭には、対角線にレンガのブロックを敷いて、
庭の中をお散歩できるようにしました。
3秒ももたないお散歩コースです(笑)。
ですが、娘たちはその途中でしゃがみこんでダンゴムシと会話をしたり、
チョウチョを捕まえたりしています。

対角線の向こう側半分は、畑にして、季節の野菜を植えました。
じゃがいも、ナス、トマト、キュウリ、オクラ、菜っ葉…

残りの半分は、ハーブとお花を植えました。
ハーブは、ラベンダー、ローズマリー、レモンタイム、パクチー、パセリ。
お花は、チューリップ、ラナンキュラス、レンゲ、コスモス、マーガレット…。
オリーブ、キイチゴ、ブルーベリーの木も植えました。

娘たちは、初夏にはイチゴを口にほおり込みながら登園したり、
夏には喉が渇いたらミニトマトで水分補給してまた遊んだり、
ご近所さんにいただきものをしたら、庭の花で、娘たちが花束を作ってお届けしたり。

小さな庭でも、
小さな娘たちには充分楽しめているようです。

何より、庭で遊んでいる娘たちをみること、
それが私にとって幸せな時間です。
夢が叶ったのです。

予想外だったことは、
夫がコツコツと庭の手入れをしてくれるようになったことです(笑)。

元来おおざっぱな性格の私は、
庭づくりや、何かを植えるのは好きなのですが、
毎日コツコツが苦手です。
そこで、出勤前の夫が毎日コツコツ水やりをしてくれたのです。
夫にとっても、きっといいリフレッシュになっているのではないかと思います。

この家から、車で20分行けば、
泳げる美しいビーチに着きます。
マイナスイオンたっぷりの森に行けます。山へも行けます。

「自然の中で遊ぶ娘たちの姿をみたい」という
私の希望は、こうして見事に叶ったのです。


まとめ

地方移住で言えば、
「自然豊かな場所で、通勤通学にも便利な場所。
雰囲気のある古民家に快適に住みたいな。しかも安価で」
みたいなことを考えてしまいがちです。
私だけでしょうか…?(笑)

けれど、
何から何まで完璧な家、というのはないと思います。

そもそも、自分の希望が矛盾している場合があるからです。


でも、3ステップで自分の理想の暮らしの解像度をあげていって、
イメージがはっきりと見えてきたら、
きっと、それにぴったりの場所と、ぴったりの家が見つかるはずです。
少なくとも、富山では見つけることができました(笑)。

【ライタープロフィール】
トネガワ フミ
2016年1月に夫の転勤について富山に移住。東京都出身。若い頃は金融機関勤務でまちづくりに従事。今はまっているのは“子育て”と“富山の魚”。偶然性や未完成なものに惹かれるタイプ。子どもが育つ楽しみや資源をシェアする「子どもと暮らしの企画toyama」主宰。ママのためのお魚さばきサークル「ママ×おさかな」共同代表。
富山県呉西にて、夫と娘2人との4人暮らし。ライター、エッセイスト。

【ライタープロフィール】

利根川さん写真 (2)


トネガワ フミ
2016年1月に夫の転勤について富山に移住。東京都出身。若い頃は金融機関勤務でまちづくりに従事。今はまっているのは“子育て”と“富山の魚”。偶然性や未完成なものに惹かれるタイプ。子どもが育つ楽しみや資源をシェアする「子どもと暮らしの企画toyama」主宰。ママのためのお魚さばきサークル「ママ×おさかな」共同代表。
富山県呉西にて、夫と娘2人との4人暮らし。ライター、エッセイスト。

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