ミニマリストについて

ミニマリストには二種類いると思っている。一つは、最適化されたミニマリスト、もう一つは、反時代的なミニマリストだ。

最適化されたミニマリストは、その都度の状況に応じて、必要最小限の道具だけを持とうとする人である。こうした人は、実は、たくさんの商品を買っては、そのほとんどをろくに使いもせずに廃棄したり、転売する。なぜなら、どのように最適化するかはその人が置かれた状況によって左右されるのであり、最適化が実現されるまで、試行錯誤が繰り返されるからだ。
 
たとえば、一見すると一つのガジェットによって生活のほとんどを成り立たせているように見える人が、実際にはその数十倍のガジェットを購入している、なんていうことは、きっとよくあることだろう。

そのうえ、人間が置かれる状況は変化する。状況が変われば最適化される道具も変わる。ある状況Aでは最適だった道具Aが、新たな状況Bでは必ずしも最適ではなく、他の道具を平行して使用しなければならず、持ち物が増えてしまうかも知れない。しかし、最適化されたミニマリストはそれに耐えられないから、結局また大量の商品を購入して、試行錯誤を始める。

一方で、反時代的なミニマリストとは、そのように自分に課せられる状況そのものに反逆するタイプの人である。そうした人は、多少の不便は甘受して、いまある道具でやりくりするが、その結果、多くの道具を持っている人にできることを、できなくなってしまう。持ち物を少なくする優先するあまり、普通の生活をできなくなってしまう。その時代のスタンダードな生活を軽視し、持ち物が少ないことを重視する。だからそうした生き方は「反時代的」なのだ。

どっちがいい悪い、ということではないけど、僕は本当のミニマリストは後者だと思う。だからそうした生き方をするには覚悟がいるし、決して楽しいことばかりではないのだ。

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