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春の虫

春の虫が苦手だ。

多分、虫の量だけで言うなら、夏の方がたくさんの虫が飛び交っているのだろう。

しかし、春の虫と夏の虫は、なんだか少し違う。どこが違うのか。それはすなわち、テンションだ。春の虫はテンションが高い。長い冬を越えて久しぶりに再会したメンバーとの旧交を温めるかのように、はしゃぎまわっている。

それはまるで、同窓会のようですらある。「おい!ひさしぶり!しばらく見ない間に太ったなお前!いま何してんだよ!」「いやいや、それはお互い様だろ!いまはフリーランスのパーソナルトレーナーをマッチングするアプリを開発してて」みたいな会話を、虫なりにしている気がする。

多分その光景が苦手なのは、僕がその社会で生き残れないからだろう。もしも僕が無視だったら、そうやって盛り上がっているコミュニケーションの輪に入れず、少し外れたところをなんとなく周回しているだろう。「ああ、俺はこの辺を飛んでおくくらいがいいわ」みたいな顔をして。

陽キャの虫は滅んでくれ。

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