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50年走り抜けた母に感謝。

展示会が終わり、決算月が終わり、一息つく間も無く7月を迎えた、とやです。

おはようございます。

6月末で実家の社業を支えてきた母が仕事を卒業しました。
父と創業を決めてから50年。半世紀です。
表に出ることなく、縁の下の力持ちで会社の経営を支えてきた母。
家業ということで会社だけではなく、家族を支えてきた尊敬してやまない存在です。

場所もない、設備もない、人もいない、そんな中からすべてを投げ打って父と金型屋を創業した母。
結婚した時から腹を決めて会社の仕事だけに人生をかけてきた人です。
これまでもいろんな話を聞いてきましたが自分に置き換えて考えようとしても置き換えることができない経験をされています。よく冗談半分に24時間365日ずっと2人でおるってほんま凄いでって話をするのですがそれだけ仕事にかけてきた人です。

創業からのエピソードはこれまでもたくさん聞いてきました。それはもう壮絶。今の時代では考えられない経験をされています。
オイルショック真っ只中に創業して、仕事が薄い中からスタートした事もあり、苦労すること前提の起業。仕事を作ること、資金繰り、雇入れした人の世話・・・聞けば聞くほど壮絶です。
両親と一緒とは到底いうこともできませんが私も創業したからわかる事がたくさんあります。何の後ろ盾も無い中から事業を作り、会社を育ててきた2人はほんと凄い。

私はその50年の歴史のうち20年ほど一緒に仕事させてもらいました。
会社に入るなり「現場をやらんとあかん。」母はそう言って私に現場仕事をさせました。当時の社員さんには「女の子やからええで。」と言われ教えてもらえなかったこともありましたが、そんなの無視で現場に入りました。

身内である以上、「社長の子やから」という意識になり、会社として良くない。皆からの信頼を得るには一番下の仕事をせなあかん。

それが母の考えでした。私はそれを言われて嫌な事は何もなく、むしろ面白いと思って現場仕事してました。
小さい頃から見てきた両親の仕事は「何やってるかわからん」そう思っていましたが、現場に入る時に「金型ってな、、、」と母が教えてくれた時に「すごい仕事やん!!」とその仕事の面白さをようやく知りました。
今でもその時のシーン、話した事を覚えているので自分的には衝撃的な発見だったのだと思います。
今の自分があるのはこの経験があってこそ。現場での仕事をやっていたから今の仕事ができています。

安定した受注がない中でどうやって仕事を受注するか、2人で考え、2人で営業回りをした事もありました。(先日、その当時繋がった会社の担当者さんと展示会で出会って、その当時の話を懐かしんでました。)
振り返れば
父は社長+現場
母は経理+営業
私は現場+営業
そんな役割分担で事業を少しづつ広げていきました。
ITバブルの崩壊、リーマンショック、時代の中で大変なことが山ほどありましたが、今となればその大変さにも感謝するほどです。

一緒に仕事してきた20年はあっという間でしたがほんといろんな苦難もあり、喧嘩もあり、バトルしたことは多々ありましたが、結果的には会社組織という中で経営とはどういうものなのか、人として大切なことは何なのか、たくさん教育してくれたのだと思います。現場で機械を壊すくらいの失敗をしたときも父は怒らず、母はその分のお金の段取りをし、葉っぱかけてその失敗をバネに成長させてくれました。

経営者になって6年目に入ります。ここにきて思うのは6年目を迎えられるのは家業で経験した20年の礎があってこそです。

母が卒業したその日、子供たちと卒業祝いをしてきました。
その時に酔っ払いながらも父が伝えたこれまでの母への感謝の言葉。
私たちを前にこの50年の間の感謝をきちんと伝え、これからもよろしくと
話す姿に、私にとって本当に偉大な人だと思いました。
そして、その話をする中で一つだけ、私もとても嬉しい言葉がありました。

「最初から貧乏スタートで始まったけれども金型屋として名前を広げ、残せたことが何より嬉しかった。」

私が金型屋で20年走り続けたその目的は両親が立ち上げ、人生をかけた会社の名を広げ、残すことでした。
中継ぎ役としてその役目を果たしたと思って5年前に創業し、今があります。
父がそうやって喜んでいてくれたことをここにきて知り、ほんと嬉しかったです。そしてそれを支えてきてくれた母に心から感謝でした。

卒業は新しいスタートの日。母はこれまで会社と子供だけに生きてきた人です。これからはいろんなこと楽しんでもらいたいと思います。
お世話になった分、今度は私がお返ししていく番かな。
勝手にそんなことを思ってあれこれ考えています。

人は自分1人で今の立場にあるわけではありません。
誰かに支えられ、誰かに助けられ、誰かがその礎を作ってくれるから今がある。今の自分があるのは10%自分のスキル90%は人からの支え。
それくらいに思っています。
「ありがとう」と「おかげさま」この気持ちがあるから人生楽しくやっていけるんだと、母の卒業日に改めて思いました。
会社卒業の日まで学ぶことだらけでした。

改めて母には心からの感謝を伝えようと思います。

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