ガーディアン書評


2024年4月11日分

今回ピックアップした記事は、“The Guardian view on rising poverty levels: political attacks on the poor have produced penury”
3/24「貧困層に対する政治的な攻撃が貧困を生み出した」
です。

https://www.theguardian.com/commentisfree/2024/mar/24/the-guardian-view-on-rising-poverty-levels-political-attacks-on-the-poor-have-produced-penury

内容
貧困は政治が選択したことによって生み出されている。2010年以降、トーリー政権は、特に子供に関する、多くの割合の人口を貧困化することを選択してきた。児童貧困行動グループによる公式分析によると、幼児期から成人期までの約3分の1である430万人の子供が相対的な貧困に陥っており、2010年の360万人から増加した。絶対的貧困の割合でさえ、2022年から2023年の貧困の子供の割合は、30年ぶりの最高率で上昇していた。増加の明白な理由として、サポートへのアクセスの制限がある。具体的には、給付水準が2012年以降8.8%実質的に低下している。福祉の削減により、お金はあるが、貧しい人々のためではなく、官僚などが自分たちを養うために使用した。1970年代以降の福祉の政治は、貧しい人が重荷を背負う政治であった。福祉を解決策ではなく、問題の一部となった政治は貧困レベルの増加をもたらした。福祉に関する新しい政策を立てることは、不平等を減らし、国民の幸福を高め、未使用の労働資源を活用するために必要である。
貧困の解決のために福祉を削減して効率化しても、削減した費用が適した場所に使われていない政治があるという問題があることを知った。

2024年4月18日分

今回ピックアップした記事は、“Australia records lowest seven-day Covid death rate for more than two years”
4/12「オーストラリアは最低のコロナ死亡率を記録した」
です。

https://www.theguardian.com/australia-news/2024/apr/12/australia-covid-death-rate-lowest-two-years

内容
2022年1月からの保健省のデータによると、オーストラリアは2年以上で最も低いコロナ死亡率を記録した。2024年2月29日から3月6日の間にコロナによる死亡者数の7日間の平均は0であった(3月3日に1人の死亡が確認されたが平均では0)。
オーストラリアの専門家によると、「ワクチンの免疫とオミクロン株の感染からの免疫の組み合わせによって、重症患者のレベルが低くなった」と述べた。また、「インフルエンザのように、コロナが突然変異し将来流行する可能性がある。しかし、コロナから保護するための効果的なウイルス薬を持っている」と述べた。
オーストラリア大学の教授によると、「先月、高齢者介護施設で250件以上のコロナの流行があり、過去6ヶ月で注射を受けたのは75歳以上の36%だけであった」と述べた。そして、「政府は高齢者の予防接種を促していない。少なくとも、脆弱な人間を護るためにできる限りのことをするべきである」と述べた。

コロナが終息し、マスクやソーシャルディスタンスを気にしない生活に慣れてきたが、コロナを思い出し現状を知りたくなったので、日本のコロナの状況も知らないが、海外のコロナの現状を取り上げました。オーストラリアでもコロナは収まっているようですが、高齢者には十分な対策がされていないことが分かりました。私は祖父母と一緒に暮らしているため、日本でも高齢者へのコロナ対策が十分にされているか知りたいです。祖父は無料分の予防接種は全て打ったようですが、その後の高齢者への配慮はどのようになっているのか気になった。

2024年4月25日分

今回ピックアップした記事は、“Next pandemic likely to be caused by flu virus, scientists warn”
4/20「次のパンデミックはインフルエンザによる可能性が高い」です。

https://www.theguardian.com/world/2024/apr/20/next-pandemic-likely-to-be-caused-by-flu-virus-scientists-warn

内容
来週末に発表される国際的な調査によると、「病気に関する専門家の57%は、インフルエンザが次に世界的な感染症の流行を引き起こすと考えている」ことが明らかになる。専門家の21%は、「インフルエンザの次にパンデミックを起こす可能性が高いのは、突然現れる未知のウイルスである」と述べている。
また、世界保健機関は先週、鳥インフルエンザの原因となっているウイルスの驚異的な拡大についての懸念を表明した。それに関して、「人間にはウイルスに対する自然免疫がないため、死亡率は非常に高い」と述べている。
しかし、インフルエンザの株の多くはワクチンが多く開発されている。課題点としては、必要とされる規模感やスピードでワクチンを製造することが物流上の問題である。
コロナのパンデミックが終わったことで、マスクの着用などの病気の蔓延を防ぐ習慣がなくなり、以前の習慣に戻ったことを次のパンデミックが来た際に後悔するかもしれない。
私はワクチンの製造において、原材料の確保や製品の供給が主な課題点であると考える。供給面では、配送先の確保や、物流の遅延など問題は多々あると思う。コロナを踏まえて、これらの課題に対する解決策や改善策は何かあって、どのように行われたのか気になった。それを活かせることが出来たら次に来るパンデミックにも役立つかもしれないと考えた。

2024年5月2日分

今回ピックアップした記事は、“Wave of exceptionally hot weather scorches south and south-east Asia“
4/26「猛暑の波が南アジアと東南アジアを襲う」です。

https://www.theguardian.com/world/2024/apr/26/asia-heatwaves-philippines-bangladesh-india

内容
フィリピンは数千の学校が対面授業を中止した。本日、マニラ他31の地域が危険な気温であり、最も人口の多いケソンシティでは体感温度が42度に達すると予想された。
タイでは今年30人が熱中症で死亡し、野外活動を避けるように発表した。また、水曜日には40.1度の気温に、木曜日には体感温度が52度に達する可能性があると政府が警告した。
バングラディシュでは、一部の地域で気温が40〜42度に上昇し、今週全ての学校が封鎖されることとなり、3300万人の子供が影響を受けた。
インドでは、約6週間選挙が続いており、国のある大臣は選挙演説中に気絶している。昨年4月と6月の熱波の影響で、インドでは熱中症によって約110人が死亡している。
世界気象機構は今週の報告書の中で、アジアは2023年世界で最も気象や水に関する災害が多い地域であり続けると警告し、熱波の影響はより深刻になったと述べた。
例年4月と5月は東南アジアで最も暑い日であるが、エルニーニョ現象によって今年の気温はさらに悪化している。
日本では気温上昇を大きく感じることはほぼないが、すぐ近くの東南アジアでは極度の気温上昇に遭っていることや、その影響が休校することにまで及んでいることを知り、被害の深刻さを感じた。

2024年5月9日分

今回ピックアップした記事は、“Call for port extension to be halted as genocide remains are found on Namibia’s Shark Island“
4/26「ナミビアで大量虐殺の遺跡が発見されたので、港の延長を求めた」です。

https://www.theguardian.com/global-development/article/2024/may/06/port-extension-call-halted-genocide-remains-namibia-shark-island

内容
1904〜1908年にヘレロ族の65,000人以上とナマの約10,000人がドイツ軍によって殺害された。これは、植民地支配に対する反乱への報復で、シャーク島で多くの人が殺された。これは20世紀の最初の大量虐殺として広く知られている。
非営利の研究機関であるフォレンジック建設研究者は、1905年から1907年の間にシャーク島がドイツによって強制収容所として使用された場所を見つけたと述べた。この場所では、処刑や強制労働、投獄、性的暴力が行われていた。研究者たちは、伝統的な指導者と協力して、アーカイブ写真などと参照した歴史的説明を通じて、レーダーなどを使用し殺戮が行われた場所を特定した。この発見は4月に発表された。
ナミビア当局は、グリーン水素生産を支援するために南海岸を拡大したいと述べ、来年初めに建設開始予定である。しかし、建築研究者は、大量虐殺に関連する墓や遺物が発見された後、港周辺の海域で人間の遺体が見つかるリスクがあるため、徹底的な広域の調査が行われるまでは建設を中止する必要があると述べた。
半島は現在、キャンプ場やビーチリゾートなどの観光地として賑わっている港がある。政府は2019年にこの地域を国家遺産として認めた。

2024年5月16日分

今回ピックアップした記事は、“Renewable energy passes 30% of world’s electricity supply“
5/8「再生可能エネルギーは世界の電力供給の30%を超える」です。

https://www.theguardian.com/environment/article/2024/may/08/renewable-energy-passes-30-of-worlds-electricity-supply

内容
世界の電力システムに関する報告書によると、電力需要が増加し続けているにも関わらず、化石燃料による発電を減少させる必要がある。

気候変動シンクタンクのエンバーの報告書によると、「過去10年でクリーン電力は化石燃料の増加を約3分の2まで減速させた」ようだ。2000年には19%だった再生可能エネルギーは、昨年には30%を超えた。また、「特に太陽光発電は、想像を超えるスピードで加速している」と述べており、電力増加の主な供給源で、2023年には石炭の2倍以上の新規発電量になっている。太陽光発電は、19年連続で最も成長した電力源であり、風力発電を抜いて2年連続で最大の新電力源となった。
エンバーによれば、クリーン電力の急増により、今後1年間、世界の化石燃料発電量は2%減少すると予想されている。

世界の電力システムにおける化石燃料の使用は減少に転じるかもしれないが、輸送用燃料、重工業、暖房など、世界のエネルギーにおいて化石燃料が果たす役割は依然として大きい。
2023年は「電力の排出量のピーク」という、エネルギーの歴史における大きな転換点であった。しかし、排出量減少のペースは再生可能エネルギー革命がどれだけ早く続くかにかかっている。

2024年5月23日分

今回ピックアップした記事は、“Targeting India’s most harmful power plants could slash mortality“
5/17「インドで最も有害な発電所を対象にすると、死亡率を削減できるかもしれない」です。

内容
インドの莫大な石炭使用量の約4分の3は発電が占めている。しかし、2015年に規制が制定されたにも関わらず、大気汚染物質を浄化するシステムを導入している発電所は5%に満たない。

研究者たちは発電所のスイッチを切るシミュレーションを510回行った。これは膨大な計算作業であったため、大学のコンピューターシステムを利用したが、調査結果がまとまるまで3カ月かかった。
この結果によって、大気汚染の原因となっているインドの発電所が分かった。死亡率の約4分の1を占める発電所が30カ所であると突き止めた。影響が大きい発電所は、主に南部にあった。
驚くべきことに、発電所の築年数と健康被害には明確な関係はなかった。
研究者は政策立案者に「これらの発電所を閉鎖して排出量ゼロの電力に置き換えるなど、被害の大きい発電所の排出量の削減を優先することで、死亡率を大きく削減することが出来る」とメッセージを送った。

汚染防止装置の設置には時間がかかり、急速な閉鎖は電力不足につながる可能性がある。しかし、最も有害な発電所から最も有害でない発電所に発電をシフトすることで大きな利益が得られることを研究者らは発見した。これにより、最も被害の大きかったタミル・ナードゥ州では年間約5,866人の死亡者を減らすことができるようだ。


2024年5月30日分


今回ピックアップした記事は、5/28Remains of horses buried 2,000 years ago found in central Franceです。

https://www.theguardian.com/world/article/2024/may/28/remains-of-horses-buried-2000-years-ago-found-in-central-france

フランスの考古学者が、最大2000年前の馬の遺骨を埋葬した9つの大きな墓を発見した。
28頭の馬はすべて6歳前後で、死んですぐに埋葬され、それぞれ頭を南に向けて入れられていた。近くの墓には2頭の犬の遺骨があり、頭は西を向いていた。
フランスの専門家によれば、炭素年代測定法により、この遺骨は紀元前100年から紀元後100年の間にローマ帝国が当時のガリア地方を征服し古代ローマ帝国が誕生した頃のもの、と推定されている。
彼らは、動物が戦いで殺された後に埋葬されたのか、それとも複雑な儀式の一部として埋葬されたのかを確定するために骨を調べている。埋葬されたのは雄の成馬のみであったため、動物の病気の可能性は低いが、寄生虫の検査は行なわれている。
また、ただ穴に放り込まれたわけではなく、大切に扱われたことが分かっている。

2024年6月6日分

今回ピックアップした記事は、5/30Nigeria to host first Lassa fever treatment trials for 40 yearsです。

https://www.theguardian.com/global-development/article/2024/may/30/nigeria-to-host-first-lassa-fever-treatment-trials-for-40-years

ラッサ熱は年間5000人の死者が出る西アフリカの風土病である。ラッサ熱の感染率が高いナイジェリアで、臨床試験が今年9月に始まる。これは1986年以来初めての新しい治療法であり、リバビリンの有効性が疑問視されている。
ラッサ熱はWHOによって健康に対する脅威とされており、年間30万〜50万人の患者がいる。致死率は1%だが、入院患者は15%。ナイジェリアでは6000人以上が感染した可能性があり、160人の死亡が報告されている。
この試験は10カ国の主要研究機関、保健センター、人道支援組織などからなるインテグレート・コンソーシアムによって実施され、リバビリンを含む他の治療法の有効性も検証される。EUの資金提供でナイジェリアのエボニ州とリベリア、ギニアでも試験が行われる。
FMCOはNGOの支援を受けており、40床の隔離病棟と迅速な診断のためのラボを設置している。将来的な目標は、他のウイルス性疾患に対処するためのスキルと設備を整え、ウイルスに対する解決策を見つけて次の流行に備えるとのことである。


2024年6月13日分

今回ピックアップした記事は、“Harmful gases destroying ozone layer falling faster than expected, study finds”
6/11「オゾン層を破壊する有害ガスは、予想よりも早く減少しているという研究結果」
です。

内容
1987年に採択されたモントリオール議定書は、冷凍や空調などに使われているオゾン層破壊物質を削減することを目的としていた。また、調査によると、オゾン層に悪影響を与えるHCFCという有毒ガスの待機中濃度は、予想よりも5年早い2021年にピークに達した。これにより、オゾン層を保護するための国際的な取り組みが大成功を収めたと見なされています。そして、紫外線から地球上の生命を守っているオゾン層を保護するため、CFCの全廃が2010年に達成され、HCFCも2040年までに全廃される予定である。
今回の研究は、大気中の汚染物質のレベルを調べたものである。HCFCの急速な減少は、モントリオール議定書の成果に加え、国際的な規制強化と産業界の汚染物質使用の削減による影響であると見られている。そして、CFCとHCFCは強力な温室効果ガスであるため、その削減は地球温暖化対策に貢献していると言える。
また、国連環境計画によると、オゾン層が1980年代以前の状態に回復するには、現在からさらに40年かかると推定されている。

2024年6月20日分

今回ピックアップした記事は、“Rapid UTI test that cuts detection time to 45 minutes awarded Longitude prize”
6/12「検出時間を45分に短縮する迅速なUTI検査がロンジチュード賞を受賞」
です。

内容
女性の約半数が尿路感染症(UTI)を1回は経験している。UTIの原因菌の半数が1つ以上の抗生物質に耐性を持っており、生命を脅かす症状を引き起こす可能性がある。しかし、従来の検査では、診断したサンプルを検査機関に送り、24時間後に結果が出る検査が行われていた。
受賞した検査システムは15分以内に細菌感染を特定し、45分以内に適切な抗生物質を特定することができる。また、特に開発途上国では時間やコストの面からUTIが適切に診断されず、不必要な抗生物質が処方されるケースが多いため、この検査システムの普及は大きな意義を持つと見られている。
業界の専門家は「この検査は民間企業では容器1個で約25ポンドかかるが、公共部門が採用し大量生産することで、コストが下がる可能性がある」と言っている。
ロンジチュード賞からの資金が、この技術のさらなる開発や普及に役立ち、世界中の公平なアクセスを促進することが出来ればと良いと思った。

2024年6月27日分

今回ピックアップした記事は、“Protecting just 1.2% of Earth’s land could save most-threatened species, says study”です。

内容
フロンティアインサイエンス誌に掲載された最近の研究で、地球表面のわずか1.2%を保護するだけで、世界で最も絶滅の危機に瀕している種の絶滅を防ぐことができることが明らかになった。この研究では、哺乳類、鳥類、両生類、植物など、差し迫った危機に瀕している種を保護するために、世界全体で16,825の特定された場所を対象とした保全が強調されている。調査の結果、これらの "保全の必要性 "に焦点を当てる必要性が強調され、38%が既存の保護区に近接しており、迅速に実施できる可能性が示された。フィリピン、ブラジル、インドネシア、マダガスカル、コロンビアなどの国々は、これらの重要な保護区の半分以上を保有している。2030年までに地球の30%を保護するという世界的な誓約にもかかわらず、2018年から2023年の間に新たに保護された地域のうち、絶滅危惧種にとって重要な地域をカバーしているのはわずか7%にすぎない。この研究では、これらの主要地域を保護するためには、今後5年間で290億ドルから460億ドルの費用がかかると提案しており、これには土地の購入、先住民の権利の拡大、政府所有地での保護区の創設などが含まれる。また、生物多様性の損失を食い止めるためには、保護区の範囲だけでなく、その場所と効果の重要性も強調している。
→絶滅を防ぐためには特定種の保護が必要であり、それを行なっているのは費用面から、数カ国となっている。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?