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放課後アトリエ体験クラスレポート① 自分たちのアトリエづくり

4月から始まる放課後アトリエ。その体験クラスが2月からはじまりました。画像1

今回の活動は「ひみつきち小屋づくり」。アトリエスペース中央の7本の柱を取っ掛かりに、自分たちの「ひみつきち」のような「小屋」をつくる活動です。

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ここをみんなの場所にしよう

「ここをみんなの”ひみつきち小屋”を建てるんだけど、どんな場所にしようか?」
まずはじめに、参加したこどもたちと車座になってと意見を出し合ったところ、「3階建てがいい!」「すべり台ほしい!」「何か仕かけつくろうよ!」と、次々に楽しいアイディアが出てきた。

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ゲストに一級建築士の“ドッチャン”こと大池さんにも参加してもらい、住処としても、遊具としても、耐えられる強さにするためにアドバイスをもらう。
「うん。どのアイディアもいいね!難しそうだけど、みんなでやってみよう!」
まずは2階を支える梁をつくろうと、全員で取りかかった。


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自分たちが上に乗れるくらい丈夫にするため、材料になるのは“本物の木材(間伐材や古材)” そして“本物の大工道具”。自分よりも大きい材料や、扱い方を間違えると危険な道具を使うために、知っておいてほしいこと、守ってもらいたいことを、最初に確認した。
そして、インパクトドライバーで木材にビスを打ち込んでみる。

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大きな音と振動と、木材がつながっていく手応えを全身で感じる。
最初は少し怖くて、なかなか思うようにいかないけど、道具を使うことは楽しい。楽しいから、何度も挑戦するし、どんどんコツを見つけていく。

2階の梁ができてくると、「次は床だ!」「3階つくろう!」「すべり台!」と、みんな「やりたい!」が止まらない。
「でも、3階もすべり台も、2階がなければつくれないよ! 」ということで、
“2階チーム”と、2階へ上がるための“ハシゴチーム”に分かれて、建築を続けることに。

つくりながら考えて 考えながらつくって

今回、この小屋づくりをするためにあらかじめ材料を切りそろえておいたわけではない。
最初から長さが揃っていると、ただの組み立て作業になってしまう。
ありものの材料から、必要な材料をまずは探す。たまたま手に取った材料をあててみて、合わなければ取り替える。それでもできなければやり方を変える。
そんなふうに試行錯誤しながら、なんとか自分たちのやりたいことを実現してもらいたい。その過程に、たくさん考えたり、話し合ったり、工夫したりすることになる。そういうことが、ものづくりの一番面白い時間だ。

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“2階チーム”は、集めた木材をパズルみたいに継ぎ接ぎして床板を敷き詰めていたが、どうしても一ヶ所だけ穴が空いてしまった。
「うーん」と頭を抱えて、「あっ!そうだ!」
結果的に、その穴が1階と2階をつなぐ小さな吹き抜け窓に仕上がった。
そんなふうに、こどもたちにとっても思いもよらない小屋が姿を現し始めた。

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できあがった2階から見る景色は、どんなだろう。さっきまでなかった場所が、自分たちの手でつくられていくのが、とても嬉しい。

身体が喜ぶ、手応え

そして、驚くことに一時間もすれば、こどもたちは初めて使う道具(のこぎり、インパクトドライバー、げんのう等)を、自分なりに使いこなせるようになってしまう。
「とをが」では、できるだけ本物の道具をこどもたちに手渡したいと思う。
「危ない」とか「こわい」、(こどもに言わせるなら)「めんどい」などと言って、難しい道具は避けられてしまいがちだ。
でも、実際に使ってみると、みんなすごく良い顔をする。そして、みんなすごく良い姿勢になる。ちゃんと腰を落として、両足を広げて、教わったわけでもなく、自分から構えることができる。

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だから、ちょっと難しい手応えのある道具と、こどもたちには出会ってもらいたい。出会ってもらうためにも、小屋づくりのような、全身で挑める造形活動の場を提供したいと思っている。

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7歳〜10歳のメンバーが参加した小屋づくり。年齢も学校も違い、多くの子が初対面だったにもかかわらず、いろいろな協働作業が生まれていた。
「ここに合う材料探して来て!」「わかった!」「ありがと!」
「ここに部屋つくりたいな」「えー、そこは鉄棒で遊びたいなあ…」「じゃあこっちにしようかな!」「オッケー!」
みんなで一緒にやりましょうなんて言われるまでもなく、
一人ではどうしようもできないことがあれば、自然に目を合わせ、息を合わせることができるんだと思う。

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こうして、みんなの居場所になる

2週に渡って続いた「ひみつきち小屋づくり」。
なんと、本当に3階建てになった!
そして、滑り台と鉄棒とブランコまでついている!
2階と3階にそれぞれつながる素敵な梯子がかけられ、1階と2階を結ぶ吹き抜けの天窓は、こどもならすり抜けることができる。
こどもたちお手製の、最高の遊び場ができあがり、終わった後もしばらく小屋の中で過ごしていた。

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この小屋づくりの活動は、アトリエ空間を、自分たちの「場所」に変えることでもある。
自分たちのアイディアで、自分で試行錯誤して、自分たちの手でつくった、どこにもない場所。「自分」の場所でもあるし、一緒につくった「みんな」の場所でもある。
こうして、ようやくできた「みんなのアトリエ」で、次回(2月22日)は自由制作(とをがに集まっている街の廃材や古材を使って、自分のつくりたいものをじっくりつくります)!

4月からの放課後アトリエでも、中央のスペースは、自分たちでつくるひみつきち空間になります。そんな手づくりの場所で、遊んだり、何かをつくったり、本を読んだり、おやつを食べたりしても良い。ここだったら宿題をしても楽しいかもしれない。
ものづくりを体験できるアトリエとしてだけでなく、こどもたちが自分たちでつくり替えることができる「居場所」になれたらと思う。
(執筆者 渡辺)

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