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【お笑い=ヒップホップ】なぜ、日本のヒップホップは浸透が遅かったのか

TOWN株式会社のアドベントカレンダー、その6日目を担当します林です。
「なんでも好きなことを書いてください」との指令が下ったので、本当に他人の目を気にせず好きなことを書いていこうと思います。

ある日たまたまTwitterで目にした「日本のヒップホップ音楽が受け入れられていないのは、お笑いがあるからだ」というツイート。
それを見た時僕は、妙にスッと腑に落ちるものがありました。
そこで今回は、なぜこの論に自分が腑に落ちたのかを考えていこうと思います。

お時間が許すようでしたら、皆さんも思考の整理整頓にお付き合いください。


ヒップホップっとは何ぞや?んなもん知ったところでそれがナンボや?*1

急に口調が粗暴になりましたが、このまま進めます。

まずはアメリカにおいてヒップホップがどのように広まっていったのかを考えていきましょう。
「1977年のニューヨーク・ブロンクスで停電が起きた翌日から、ヒップホップが大流行した」という事実をご存知でしょうか?
なんと、停電の混乱に乗じて高くて手が出なかったターンテーブルを盗む人が続出した結果、ヒップホップ人口が増えたのです。
詳しい歴史に関して興味がある人は、以下の本を読んでみてください。

窃盗によって広まるなんて日本じゃ信じられないような話ですが、本当の話です。
笑い話のようにも聞こえますが、これには貧困と差別が深く関わっています。

そこからなんやかんやあった結果、ヒップホップが貧困からの成り上がりの手段になっていきます。
そこに大きく寄与しているのが、ラップ。
ヒップホップの歌唱法でもあるラップは、ターンテーブルのような機材を使用することもなく、生まれや育ちも関係なく始めることができます。
目に見えるような才能が必要なわけでもありません。
自分がかっこいいと信じる表現が周りにも認められれば評価を得ることができ、曲が売れ、大金を得ることができるようになったからです。

つまり、ヒップホップが広まったのは下の3つの要素が大きいと考えています。

1. 成り上がるための手段になる
2. 誰でも特別なものは必要なく始めることができる
3. 絶対的な評価が存在しない

敷居は低いが夢は大きい、そして評価は非常に曖昧なものである、ということが大事なのではないでしょうか。

泣くも笑うも己次第*2

先ほどまとめた要因、日本のお笑いにすごく合致している気がしてきました。
本当に合致しているのか見ていきましょう。

1. 成り上がるための手段になる
一夜でスターになるものとして、M-1を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか?
2021年大会では錦鯉が優勝し、50歳でスターになる姿に感動を覚えた人も多いかと思います。
昔は地位が低かったお笑い芸人ですが、漫才ブームやダウンタウンの出現により、憧れを抱く人も多くなっていきます。
特にダウンタウン以後は、笑いがわかる・わからないという評価が生まれ、わかる人がかっこいいという風潮も生まれました。

2. 誰でも特別なものは必要なく始めることができる
人を笑わせるために絶対に必要なものはありません。
喋ることができれば、動くことができれば笑いを取ることができます。
生まれも育ちも関係なく、相手に面白いと思わすことができれば笑いは起こります。

3. 絶対的な評価が存在しない
面白いと思うことは人それぞれで、絶対的な評価は存在しません。
M-1の審査であっても、審査員が面白いと感じるかどうかです。
また、評価基準が自分自身の中にあるため、自分のセンスを信じて売れない芸人がたくさんいることも事実です。
でも、ある日突然売れる人もいます。
評価基準が一定で明確であれば、このようなことにはならないでしょう。

と雑な部分もありますが、やはり要因に当てはまるのではないでしょうか?

地図に無い道で行く同じ山の頂上まで*3

では最後に、この説を踏まえて「なぜ、日本のヒップホップは浸透が遅かったのか」について考えていきたいと思います。
単純にお笑いの方が先にブームになったから、と言ってしまえばそこまでかもしれませんが、それでは面白く無いので却下とします。

1. 攻撃的な表現が多いから
ヒップホップは暴力や抗争の代替手段として発展してきた歴史があります。
なので、ラップも攻撃的な表現が多くなります。
日本人の国民性から考えて、お笑いとラップでは前者を楽しむ人が多いでしょう。
昔売れたラップの曲を考えても、今夜がブギーバックやDA.YO.NEなど、きつい言葉は出てこないものばかりです。

2. 競技性の提示がお笑いの方が早かったから
昔から芸を競ってバトルする番組はたくさんありました。
僕が知っているだけでも、M-1の前から爆笑オンエアバトルがありましたし、お笑いスター誕生などの勝ち抜きバトル形式の番組は1980年代にはすでにありました。
日本のヒップホップの定着を進めた番組として、フリースタイルダンジョンというものがありましたが、こちらは2015年からでした。
仮に競技性の提示がヒップホップの方が早ければ、違う結果になっていたかもしれません。


と書いていたところで、夜が更けてきてしまったので脳の整理整頓はこの辺りにしておこうと思います。
まとめると今回の結論は
・日本のお笑いはヒップホップの代替手段になり得る
・日本ではお笑いの方が受け入れられやすい風潮
故に「日本のお笑い=ヒップホップ」は正しそう、でした。

皆さんも、自分の好きなものがなぜか浸透していないと感じることがあると思います。
その原因は、一見関係していないところにあるかもしれません。
時間がある時にそんなことに思考を巡らすのも、意外な発見があって面白いのでおすすめです。

徒然なるままに書いた駄文なので、ここまでご覧になった方はいないかと思いますが、もしいらっしゃったらお付き合いいただきましてありがとうございました。

引用元
*1:ライムスター曰く|Rhymester
*2:板の上の魔物|Creepy Nuts
*3:Player's Player|OZROSAURUS feat. KREVA

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