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宙炭導入のお客様の声:ゼブラグリーンズ様

名古屋大発のスタートアップ・TOWINGは、作物の加工時や食品工場などで発生する未利用バイオマスを宙炭(そらたん)という高機能バイオ炭に作り替え、地球環境によい農地の土壌を作っています。この宙炭を実際に使っているゼブラグリーンズ(兵庫県加古川市)取締役小畠諒将様にお話をおうかがいしました。宙炭を選ばれた経緯や、導入したことによって解決した課題、今後のビジョンなどを話していただきました。

-御社はどのような事業をされている会社ですか。
小畠氏:株式会社ゼブラグリーンズは、兵庫県加古川市に本社を置く会社で、2021年11月に創業しました。現在は主に、アグリ事業、コンサルティング事業、研究開発事業という3つの事業があり、機能性トマトの生産や露地における各種品種試験などを進めています。3人で創業し、現在の従業員数は約10人。売上の構成比率はアグリ事業が8割ぐらいですね。これから大阪に新たな子会社を設立し、加古川の3倍ほどの規模のハウスを建てる予定で、より一層アグリ事業のウエートが増えると思います。

-宙炭を導入された経緯を教えてください。
小畠氏:圃場のある加古川市志方町は、土が粘土質で水持ちが良く、水稲には最適なエリアですが、野菜を作ることに対しては不向きなんです。野菜を作るには、関東ローム層のようなふかふかの土が適しているんですね。ここは畜産が盛んなエリアでもあるので、牛糞の利活用は比較的しやすく、まずはその牛糞堆肥を使って、土の改善をしていく必要がありました。そのような状況で、TOWINGさんの宙炭をご紹介をいただいて、牛糞堆肥と宙炭って、どちらの方が早く土が再生されるんだろうかというところで試験をしたのが導入の経緯です。

宙炭を使ってみると、投入量にもよりますが、宙炭を使用する方が土をふかふかにするような作用が認められました。地域の土が粘土質なので、従来は定植直後の根の窒息や、酸素の供給不足による根の伸長阻害状況が起きていました。宙炭を使うことで、物理性、科学性と様々な角度から土を改善できたために、根の張りが良くなり、ひいては生育が良くなったというのは感じます。そういう部分においては牛糞堆肥よりも優れています。

(左が従来の土、右が宙炭導入後の土)
単純に土がふかふかになる効果だけではなく、環境配慮についてもプラスアルファの価値として適用できると思っています。現在、加古川市からもゼロカーボンパートナー企業として認定を受けており、環境に優しい農業、循環型農業ができるという点もすごく合致しています。

-宙炭導入前はどのような苦労がありましたか。
小畠氏:水分が多すぎる場合、多くの野菜が、湿害といって根っこが水で窒息する生育不良に悩まされていました。また、土が粘土質なので、1回雨が降ると土が水を持ってしまい、適期に野菜を植えるのがすごく難しい状況になります。また、仮に適期に苗を植えたとしても、ゲリラ豪雨などで、土に水が染み込んでしまい、それが根に悪い影響を与えて、結果として野菜そのものが生理障害を受けるというようなことが起きるなどの苦労がありました。

-宙炭を活用されてどのような変化がありましたか。
小畠氏:宙炭を活用した中で、これまでの課題が、解決の方に向かいました。例えば、土が変わりました。今までべちゃべちゃで粘土質だったものが、ふかふかになりましたね。それで根の張りが良くなり、根の量が増えました。活着が早くなり、生育にも好影響がでてきました。

それから、これはエビデンスはないのですが、路地で栽培したブロッコリーなど野菜の食味がよくなったのではないかという声がありました。推測ですが、根っこが増えることで、土中のビタミンやミネラルなどをしっかり吸い上げることができていて、その結果として出来上がる野菜が、おいしく栄養価も高くなったのではと考えています。宙炭を使う前は土の栄養を十分に吸い上げられていなかった。この違いなのかなと思います。野菜って根っこが何よりも大事なんです。その大事な根っこを大切に育てられるっていうのが最も重要と考えています。

 更に、このような取材を通して、ゼブラグリーンズが宙炭を使って脱炭素であるとか環境配慮に色々取り組んでいるということを多くの人に知ってもらえるようになった部分も大きいですね。直売所でブロッコリーなどを販売しているのですが、同じブロッコリーを選ぶのだったら、脱炭素などに少しでも貢献できるものを選びたいので、買ってみますっていう方もいらっしゃいました。

-一般的な土と比べると、手触りや質感、見た目も異なると思うんですけれども、使うことに不安感はなかったですか?
小畠:実際に宙炭を使ってみると、畑が黒くなります。最初に見た時には、私自身もあまり経験がないので想像以上に見た目のインパクトがあるなと感じました。ただ、従来農業に使われることがなかったものではなく、もみ殻燻炭に微生物が付着しているという商品の特性を知っているので抵抗はありませんでした。

-宙炭を他の農家様に勧めることはできますか?
小畠:弊社と同じような水田のエリア、どちらかというと野菜に不向きのエリアで農業をされている方にはお勧めです。根を健全に育てられるところに一番の魅力を感じています。近年、ゲリラ豪雨の発生など環境が変わってきている中でお困りの方にもとてもありがたい商品になると感じています。
 
また、苗を植えてから長期的に収穫をしていくような、トマト、ナス、ピーマンなどの野菜もすごく根が重要になるので、それらを作られている農家さんに対してもおすすめができるのではないかなと思います。

-TOWINGに将来期待する事はありますか。
小畠:もみ殻燻炭以外の原材料でも宙炭を作ってほしいと考えています。トマトの残渣など別のものから宙炭を作る取り組みを加速化していただくことを期待しています。例えば、トマトの茎でも1年間で相当量を残渣として捨てているんですけど、それら食物繊維たっぷりな茎を宙炭に生まれ変わらせたいですね。弊社の場合でしたら、トマトの残渣から宙炭を作ってすぐ横の工場で入れる。それでできた野菜を生産するっていう地産地消の循環型農業ができるのではないかと考えています。

-御社の今後の事業の展開やビジョンを教えてください。
 小畠:アグリ事業では2025年、大阪に加古川の3倍ほどの高度環境制御ハウスを建設します。これで1年間を通じて関西圏に機能性トマトを安定供給ができるような生産体制ができるようになります。普通のトマトよりもリコピンなどの健康成分が多く、お客様の健康に一層、寄与していけると考えています。また、研究開発事業やコンサルティング事業では、より多くの企業と連携をさせていただくなかでシーズを見つけ、応用、実践していく。これらが今、弊社が考えているビジョンになります。