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マンション管理適正化法

正確には「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」です。

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2001年8月1日に施行された法律

マンション管理適正化法はマンション維持管理の適正化とマンションの再生円滑化の促進を狙いとした、2001年8月1日に施行された法律です。当時はマンション管理士や管理業務主任者制度の創設、さらにマンション管理業者の登録制度が開始されました。

2020年に改正

大きな改正のポイントとしては、

■管理計画認定制度の実施

 ・行政が管理組合に対して自立を促す

 ・一定水準の良好な管理状態を目指す

■認定基準の設定

 ・管理組合が改善に向けて目指す指標となる

長期修繕計画作成ガイドラインについて

こちらも国土交通省から発表されているものですが、2008年に策定されたもので、このガイドラインが令和3年9月に改定されました。令和4年の4月、管理計画認定制度の開始に合わせた改訂と考えられており、国交省の管理計画認定制度に関する取組みの本気度と見ることもできます。

ガイドライン改定のポイント

計画期間

今までは25年、または30年という決まりになっていましたが、今回の改定によって30年以上、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とすると改められています。

こちらは12年周期であれば、スタートから12年目に大規模修繕工事を実施、それからさらに12年ということで計算をすると24年かかりますが、今回の改定によって少なくとも30年、場合によっては30年を超えてもよくなったということになります。

最近は大規模修繕工事の周期を延ばすことに取り組まれている管理組合が多いので、例えば16年、18年と周期を伸ばした場合には、それに応じて計画期間が30年ではなく、32年や36年となります。

また、長期修繕計画の見直しの周期についてですが、5年程度ごとに調査を実施し、その後1年から2年程度の間に(7年)見直しをしましょうという旨が示されています。従来は5年程度ごとに見直されることが望ましいという表現になっていましたので、より具体的になったということです。

修繕積立金の積立方法

修繕積立金の積立方法ですが、計画期間に積み立てる修繕積立金の額を均等にする積立方式を基本とするということが示されました。

これは「均等積立方式」と呼ばれているものですが、多くのマンションでは段階的に修繕積立金を増額していく「段階増額方式」という積立方法が実施されているところが圧倒的に多いです。

したがってこの部分については、改定後のガイドラインに準拠することは容易ではないということでしょう。

また、管理組合の収入の扱いや、会計処理などに関する方法についても今回は明示されています。

修繕積立金の設定方法

改定後のガイドラインには修繕積立金の設定方法が明記されています。そして、長期修繕計画の内容、及び修繕積立金の額の具体的なチェック方法が示されています。ここから読み取れるのは、改定前のガイドラインに比べると、相当にハードルが高くなっているということです。

ここまでのポイントを見てきたうえで、改訂後のガイドラインに準拠する組合数はごく少数であることが予想されます。

修繕積立金の徴収方法一つをとっても、段階増額方式ではなく均等積立方式にしなければならないことで、望ましい形ではありますが、なかなかすぐに準拠させるために均等積立方式に移行することが実質的には困難な管理組合も少なくないことでしょう。

今後の中古マンション市場について

続いて、マンション管理適正化法が改正されることで、中古マンション市場にどのような変化が予想されるのかを考えていきます。

まず現状の中古マンション市場については、管理状態に関する判断基準がありません。つまり中古マンションの市場において、管理の状態を客観的に判断する基準がないということです。今の中古マンション市場では、「いくらで売れるのか」「いくらで貸せるのか」などのいわゆる資産価値に基づく判断で売り買いが行われています。

しかし、計画認定制度の改正によって判断基準が今後変わっていく可能性があるということを頭に入れておきましょう。

管理計画認定制度の改正がマンション販売に与える影響

では、管理計画認定制度の改正によって、管理状態が中古マンションを購入する際の判断基準になっていくとしたらどういう事が起こるのか?

まず、購入を検討されている買主に関しては、管理の基準が明確になるため、管理の状態を見て、購入するかどうかを判断することが可能になります。今まで頭ではわかっていてもなかなか実行できなかったことが、現実的にできるようになるということです。

次に売主、個人の売主が集まってる集合体が管理組合になるわけですが、管理計画の認定を目指すことが、居住価値の向上につながるということで、資産価値も含めてマンションの価値が上がっていくことになります。なぜなら、買主が管理計画認定制度の基準を判断基準にして中古マンションを探すような時代が来れば、当然、資産価値が上がっていくことが考えられるからです。

「マンションを買うなら管理を買え」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

これはその言葉通り、「マンションを買うなら良好な管理が行われているマンションを買いましょう」という意味です。では、良好な管理状態のマンションとはいったいどんなマンションかと聞かれると、先述の通り、管理状態を客観的に判断する基準がなかったために、「このマンションは管理が良好です」と言い切ることができませんでした。

マンション管理適正化法が改正されることで、管理組合や理事会などの活動状況も購入の判断基準になってきます。すでにそういったことに注力されている組合もありますが、公式ホームページなどにより管理組合の活動や会計の状態が情報公開されていることが、今後は非常に重要な意味を持つことになります。

出典:2022年4月管理計画認定制度が改正。管理と中古マンション市場に与える影響は?

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来年4月、管理計画認定制度の開始もあり、管理組合のみなさまも一度点検をして不備があればこれを機会に直すなど対応を考えれれると良いかと思います。

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