見出し画像

木下オープン 2024/09/29

はじめに

木下オープンのDay4を観戦してきました。今日の目玉は、何といっても錦織選手の2回戦。事前の評判は決して高くはありませんでした。初戦の相手は、2014年の全米オープン決勝の再現となるチリッチ選手。しかもチリッチ選手は、直前まで出場していた杭州オープンで優勝しており、絶好調でした。SNSで初戦の相手を知らされた錦織選手のリアクションは「うわ、マジか...」という顔をしていたのが印象的です。しかし、結果的には錦織選手がチリッチ選手を破り、見事に初戦突破を果たしました。

実はその後、ルード選手とトンプソン選手の試合も見ていたのですが、試合は終電を過ぎたAM1時まで長引きました。その試合を観ての正直な感想は、「あ、これはどっちが勝っても錦織選手は厳しいだろうな...」でした。ルード選手とトンプソン選手のラリーは凄まじく、全盛期の錦織選手ならともかく、現在の彼がこのレベルのラリーに対応できるとは到底思えなかったのです。しかし、この時の予想は完全に外れました(笑)。

錦織選手の凄さ

今日の錦織選手はまさに神がかっていました。スコアも6-2、6-3と圧勝。試合中、印象的だったのは、トンプソン選手が何度も「これ、どうすればいいんだよ...」というようなリアクションを見せていたこと。まったく攻略の糸口を掴めない様子でした。

前述の通り、私は錦織選手があのレベルのラリーにはついていけないのではと思っていたのですが、実際は違いました。錦織選手は相手にまともなラリーをほとんどさせなかったのです。ライジングを駆使し、ベースラインからほぼ下がらずに早いテンポでトンプソン選手を左右に振り回しました。その結果、トンプソン選手は良い形でボールを打つことがほとんどできず、返球が精一杯でした。強力なフォアハンドも、気持ちよく打ち込むことがほとんどできなかったのです。

テニスをやっている人ならわかると思いますが、これは非常に難しいプレーです。一般のプレーヤー相手でも難しいのに、錦織選手は世界ランク20位台の選手相手にこれを簡単にやってのけました。この瞬間ほど、錦織選手の天才性を感じたことはありませんでした。

1セット目では、トンプソン選手はほぼ何もできず、あっさりと落としました。2ゲームは取っているので「一方的」とは言い難いかもしれませんが、試合の流れを見る限り、ほぼすべてのプレーで錦織選手がトンプソン選手を上回っており、終始「手がつけられない」印象でした。

2セット目に入ると、トンプソン選手は戦い方を変えたように見えました。1セット目では、早いボールを打ち込んでは錦織選手にカウンターを食らう展開だったため、2セット目からは「ラリーを続ける」ことを意識しているようでした。速いボールで無理に角度をつけず、少しペースを落としてラリーを続け、チャンスがあれば決めに行こうとしているように見えました。

実際、2セット目の序盤では錦織選手が一方的に攻める展開ではなくなり、ブレークも許しました。しかし、錦織選手もその意図に気づいたのか、徐々に自らも先手を取るプレーが増え、一瞬流れを失いかける場面もありましたが、結局2度のブレークをして、6-3でセットを取り切りました。

試合後のインタビューで錦織選手は「強かったですねー(笑)」とコメントしていましたが、本当にその通りで、このレベルのパフォーマンスを発揮できれば、今大会の優勝も十分に可能だと私は真剣に考えています。(ちなみに、「強かったですねー(笑)」の一瞬、「え、相手のこと?」と勘違いしたのは私だけではないはずです(笑))。

次はルーネ選手

次は準々決勝でデンマークのルーネ選手が相手です。彼はやや調子を落としているとはいえ、西岡選手との試合を見る限り、爆発的なストロークは健在です。ストロークもサーブもトンプソン選手よりパワフルで、簡単な相手ではありませんが、今日の錦織選手のように、ルーネ選手にいい形で打たせず、先手を取り続けるテニスができれば、十分に勝機はあると思います。

ただ、このテニスをするには何よりも集中力が必要です。特に試合序盤が大事で、イージーミスをせずにリラックスしながらも、積極的にチャレンジしていけば、必ず勝機はあるはずです。明日も全力で錦織選手を応援したいと思います。それでは!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?