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【六月十三日】吉見百穴にて

「神の代はかくやありけん冬籠」
百穴と呼ばれる軍需工場跡には
追葬を重ね、何人もの死者が眠る
身分によって横穴も棺座も変わり
豪族たちに対するもてなしは見事
実際に掘削した朝鮮人等の苦労は
百穴で自生するヒカリゴケと共に
今でも我々に輝きを発している
数々の玄室を覗き乍ら階段を上り
眼下に市街と松山城跡を望めば
八丁湖に隣接する十六穴と
八十八体の仏像には歴史を感じる
いくら日本と朝鮮の平和を願っても
北との間にムクゲの花は咲かないのか
遠い世界へ行くだけと信じていた
古墳時代の人々の想いと同じ様に
拉致された被害者たちもきっと
家族の絆を信じているのだろう
その熱き思いは今日の暑さと一緒に
汗となって流れている

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