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全ての表現の源泉 不吉な発見も、手応えのある優雅も 一様に眠る黒い海 海の中へ、馬が飛び込む 開放的な白い土地に残る軌跡 その軌跡が、何色かに変わり また黒に帰ってゆく
黒々とした不安の塊が薄く広がり、盤になって、 針を落とした、その響きが、歓喜のメロディだったら、 どんな解釈が願われているんだろう。 主観と客観の大きな溝にどれほど動揺するのか、 そしてそれを自分の中で起きたこととして理解できた時に、 どんな変化が生まれるのか。 喜びも不安も、盤の溝の中で等しく針になぞられ、 互いに犯し合い、まじわり合い、輪郭はだんだん頼りなくなって、 音の色は盤の黒に紛れ、ますます濃厚に、内部を物語るけれど、 この世は全部気のせいだ、と呟くと、聞きご
ある女(マリンとしてみる)は、モテる女である。 容姿、品格ともにもてはやされ、多いときには3人もの男から求愛され、実際に交際していた。 振り返ってみると、それは12歳の頃からだったように思う。 しかしこれには、特別な事情があった。 夏だけなのだ。マリンが魅力を発揮するのは。 毎年の、6月から8月。 いずれの恋愛もこの期間に始まり、また終わってきた。 ・・・ マリンは、人間の男に愛されてきたのではなかった。 海だった。 彼女を愛した海が、海にやってきた男の中に入り込み、そ
ヒトリで寝る私。夜。 隣の部屋で寝る妹。1階で寝るパパとママ。 ヒトリで寝る私。夜。 いつものこと。普通だよ。 ヒトリで寝る私。夜。 今夜は彼と電話した。 よく眠れない。 ヒトリで寝る私。夜。 今夜は帰りが遅くなるみたい。 よく眠れない。 ヒトリで寝る私。夜。 いつものこと。普通だよ。 よく眠れるよ。
本を読んで あなたに会いに行く お面を被ったの 見て その電球を割れば 水のように光が流れ出る そうして私は光の中へ潜って 果てまで泳ぐの その途中であなたに会えたら 私、ラッキーね でももし あなたに出会えず マコンドまで行ってしまったなら 私はそっと本を閉じて 100年 待つわ
雪に溶けた血肉を その狼 同胞のものと知り 泣く 喰わねば そして 喰わねば おれを知るものは残らず 朽ちた その残骸を吸った おれと おまえに 違いはない さらす 無価値の命を 自然に 月に 永遠に光り輝く 月に