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何故今、TCGでガチデッキのストラクが出ているのか

とんでもない情報が入ってきました。遊戯王のサイバーストラクのデッキリストが公開されたのですが、その内容がとにかくヤバい。

遊戯王で一つのストラクチャーデッキが完結しているところが既に今までの常識から外れているのですが、所謂「汎用誘発枠」と呼ばれるカードは殆どが採用されており、特に増殖するGや灰流うらら等が2枚採用されているなど、明らかに大会環境を見据えたユーザーがここから始められるようなデッキ構築となっています。遊戯王は他TCGと比較すると価格面で言えばガチデッキそのものの構築難度は元々低いところがあり、MDによる新規流入等も有る中でこの構築済みデッキは、明らかに「大会参加の敷居」そのものを下げに来ているように思えます。

奇しくも、デュエルマスターズが先週発売した「いきなりつよい」が大好評を博しているなど、ここに来て構築済みデッキから所謂「ガチ」を各ゲームが取り組んでいる現状は、TCGの時代が大きく変化している事を感じさせます。以下考察。
かつてTCGは今のようにガチ、カジュアルという敷居が薄く、ユーザー人口そのものが対戦に勝つことを目的としていたように思います。ガチ・大会環境が今ほど成熟することが無く、カジュアルが今とは違い勝つ事を念頭に置いていた時代。そもそもTCGユーザーの数自体が今よりも少なく、低年齢層が多かった事も有って多少の強いデッキ、弱いデッキの認識は有っても、今のような住み分けみたいなものは無かったと思います。

それがインターネットの普及による情報伝達速度の高速化と、インフレやカードプール増加によって、所謂「環境」が何かを多くのプレイヤーに共有されるようになったことで、その分断が大きくなった。大会に積極的に出るようなユーザーは勝ちに拘った今で言う所の「競技者思考」に特化し始め、反対に友人同士や同好者で集まるコミュニティは勝ちに拘ることをやめ、自分の好きなファンデッキやコンボ性特化の所謂ネタデッキを如何に面白く作るかに特化するようになった。言うなれば同じTCGを同じルールで遊んでいたとしても、その性質は最早違う遊び方であり、昨今のTCGはその2つの概念が分かれていることを前提になっている所があります。

が、近年その概念も崩れつつあるのでは無いでしょうか。例え、環境では無いことを承知の上で勝ちに拘ったファンデッキを使うユーザーが増え、大会や交流会にも参加するユーザーがどのカードゲームにも多くなってきている。そのきっかけはポケモンカードの流行だったように思えます。レアリティが複数分かれ、プレイ用カードが例え環境クラスであっても再録が多く、レギュレーションの概念によって新規参入もしやすいポケカでは強いデッキが組みやすく、ライト層で有っても大会参加がしやすかったのだと思います。
そもそも前述の分断は、一見して住み分けがしっかりしているようで、その実ライト層という観点から見れば何も住み分け出来ていなかったと言えます。常に環境を追い続けて勝つ為のデッキを真剣に考える競技層は当然のこと、カジュアル層もデッキ構築に拘る以上、カードプールの情報が必要不可欠でありマニアックな知識が要求されます。そもそも勝ちに拘らないということは、ゲームとして分かりやすい「勝利」というコンセプトを捨てるということで、ライトユーザーには別の意味で敷居が高かったのです。その結果近年のTCGはどれも新規参入で伸び悩んでおり、復帰勢に呼びかける等ユーザーの流動性が下がっているという停滞感が薄っすらと、しかし確実に有るのが続いていました。
たがらこそ、再び「勝利」という分かりやすいコンセプトが注目されているのだと思います。ライト層が遊びやすく、分かりやすい部分が重視され、新規参入を促す流れが、今正にTCG全体に来ているのかも知れません。

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