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ココ・シャネルとコスチュームジュエリー

現代でもコレクションされている、"コスチュームジュエリー"。

宝石の価値よりもファッション性の高さを第一に作られたイミテーションジュエリーを呼びます。1950年代のハリウッド女優たちが映画や舞台で身に着けたことからその名で呼ばれるようになったといいます。

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コスチュームジュエリーには当時高価であった「本物」のジュエリーと同様の作りが用いられることが多くありました。

正直なところ、本物ではないガラスや模造パールを使用したジュエリーの存在意義に疑問を感じていました。現代の感覚で考えると模造品はやはり”ニセモノ”であり、こんなに凝ったつくりで煌びやかなアクセサリーでありながら”ニセモノ"であるものを果たして上流階級のファッションを好む層が身に着けるでしょうか?

その答えは、誰もが知る世界的ファッションデザイナー、ココ・シャネル(Coco Chanel、1883年8月19日- 1971年1月10日)にありました。

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大恐慌の時代

1929年、ウォール街の大暴落によって当時多くの人が本物のジュエリーを買う生活的な余裕を失いました。その影響もあり、伝統的なジュエリーをつくる仕事を見つけられなくなった当時の技術者たちは、手に入る素材で手頃な製品を作り始めました。その多くが、本物の宝石を用いたジュエリー同等の美しさとつくりの良さを兼ね備えていました。

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いかに洋服にマッチしたジュエリーを身に着けるか

コスチュームジュエリーを最初にコレクションに取り入れたのはココ・シャネルではなく、ライバルデザイナーだったポール・ポワレです。

しかし、本物とフェイクを組み合わせて使うトレンドは、ココ・シャネルが大粒のフェイク・パールときらびやかなジェムストーンの組み合わせを発表してから本格化しました。ココ・シャネルのデザインする服はシンプルだったので、宝飾品がとても良く似合ったのです。

本物の宝石が高価で少ししか持てないのなら、手頃な価格のジュエリーを贅沢に使う方がよい、「いかに洋服にマッチしたジュエリーを身に着けるかが大切」というのがココ・シャネルの考え方でした。そのおかげもあり、イミテーションの宝石やパールのあしらわれたコスチュームジュエリーも、階級を越えてすべての女性が楽しめるファッションになりました。

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本物とフェイクのパールを組み合わせて使うコーディネートは、シャネルのトレードマークでもありました。パールのネックレスを幾重にも巻いていますが、イミテーションと本物を重ねづけて上流社会の女性を煙に巻くのがシャネルは好きだったそう。

こんな言葉をシャネルは残しています。

「コスチュームジュエリーはとても反抗的で刺激的。これみよがしな下品なダイヤモンドを破壊するものとして、コスチュームジュエリーを作ったの」

富の象徴でもあったジュエリーはこうして身分や階級関係なく、すべての人が楽しめるものになりました。

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