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週刊 マーケットを読み解くゼミナール 2021年8月23日【国内株式は底値を探る展開】

週刊 マーケットを読み解くゼミナール

2021年8月10日号                     

講師:神代龍児(こうじろりゅうじ)


 今週の国内株式相場は不透明要因が山積しているため、神経質な値動きになりそうです。特に、日経平均株価が年初来安値を更新したことを受けて、売り方有利の状況であるだけに、悪材料に対して市場参加者は敏感に反応せざるを得ません。その結果、日経平均株価は、27500円~28500円のレンジが1000円切り下がり、26500円~27500円が当面の取引レンジになりそうです。そうした中、全体相場の下落に押された好業績銘柄には押し目買いが期待されます。


 一方、米国株式相場は低金利と好業績の恩恵を受けて中長期的な上昇トレンドを維持しながらも、今週開催されるジャクソンホール会議など様々な重要イベントを織り込む局面です。翌月の9月は1年12か月のうちで最もパフォーマンス(騰落率)が悪い月だけに、上値では利益の確定売りが続くとみられます。

<景気見通しと投資家動向>


(日米株価にかい離)
 先週の日経平均株価は年初来安値を更新し、昨年末の終値(27444円)を割り込み、米国株式とのパフォーマンス(騰落率)の差異が一段と鮮明になっています。


 右のグラフは日経平均株価、NYダウ、米ナスダック指数の昨年末の水準を100として、その後の推移を表したものです。


 これを見ると、2月半ばには、赤色で示した日経平均株価が米国株式を上回っていました。国内での新型コロナ感染者数が一時的に減少する中、新型コロナワクチンの接種が開始されれば経済活動が回復するとの期待が強まったためです。


 しかし、30467円(2月16日終値)が今年のここまでのピークとなり、その後は中期的な下落トレンドを形成しながら、先週末の27013円(8月20日終値)がその後の最安値となっています。


 一方、米国では、新型コロナの感染者数こそ日本より多い状況ですが、昨年見られたようなロックダウンなど経済活動を制限する措置がないことを背景に、米景気が回復軌道を維持していることを受けて、NYダウは堅調に推移しています。


 その結果、年初からの騰落率は以下の通りです。


 日経平均株価:1.6%下落
 NYダウ:14.7%上昇
 ナスダック:14.2%上昇


(経済成長の格差)
 日米株価の格差を生み出している最大の要因は、日米の景気回復ピッチの差です。


 右の表は日米の四半期毎の実質GDP(前期比年率)の推移を示しています。


日本の実質GDPを見ると、今年1-3月期は前期比年率マイナス1.3%に落ち込みました。緊急事態宣言を受けて、景気の悪化が見て取れます。その後、4-6月期には、緊急事態宣言が一旦解除されたことを背景に同1.3%増に回復します。とはいえ、3.7%減と落ち込んだ後に1.3%増と戻したにすぎません。そのため、日経平均株価が昨年末の水準にとどまっているのは当然と言えます。


一方、米国経済は1-3月期の前期比6.3%増に続いて、4-6月期も同6.5%増と堅調に推移していますので、NYダウが今年に入り順調に上昇しているのは当然の結果です。

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