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予想・予測に頼らない投資について:①他人の予想・予測に頼ってはいけない理由

投資における予想・予測について様々な観点で述べるシリーズ(このシリーズを始めるに至った経緯等は上記リンク先をご覧ください)ですが、第1回はそもそもの話から始めます。

それは何故他人の予想や予測に頼ってはいけないか?について。

頼ってはいけない理由を簡単にまとめると
1.他人の予想、予測は外れることが多い
2.外れた時の対応が難しい(予想、予測をする人は当たることを前提に話すため、外れた時にどうしたら良いかまでは言ってくれない)
3.第三者に常に依存してしまう(常に予想、予測を確認し続けないといけない)
上記3点です。

1.他人の予想、予測は外れることが多い
これはそもそもの話ですが、予想・予測は100%当たることはありません。

時には的中することもありますが、それ以外は外します。

確率で単純に決められるものではないですが、イメージしやすいよう単純化すると予想・予測する範囲がサイコロだと仮定した場合「次に1〜6のいずれかの目が出る」という予想・予測以外は必ず「ハズレが発生する」ことになります。
(例えば、「1〜5のいずれかが出る」と予想した場合、6が出たら予想はハズレ)。

<次に1〜6のいずれかの目が出る>というのは全ての可能性に賭けているだけなので予想でも予測でもなく、予想・予測を諦めていることを意味します。

予想、予測がメディアなどで紹介される場合「以前に何かしら大きな成功を収めている」ことによって信頼性を高めた形で紹介されます。一見、的中率が高そうに見えるのですが実際は他の人と同様に外す時は外します。

また外す際に
・時間軸(期間)
・期限
・予想、予測内容(数字の大小)
を調整する(ゴールポストをずらす)ことにより、当たったか当たらなかったかを誤魔化すケースもあります。予想・予測をした人が墓場に入るまで外れたことを認めなければハズレたことにならないということなんだと思いますが、こういったいい加減なものであるならば当たったケース以外は全てハズレと捉えて問題ないことになります。

予想・予測に対する結果は
・当たり
・ハズレ
の2択であるため、最大50%の確率で的中するものなのでこの言い方を変えれば「外れることが多い」ということになります。

2.外れた時の対応が難しい
先ほども述べた通り、予想・予測する人はそれが当たると確信して(あるいは確信したと装って)公表するので外れた時にどうしたらよいかまでは言ってくれません。つまり外れた場合は自分でどうしたらよいかを考える必要があります

仮にS&P500が2024年までにxxxxドルまで上昇する、あるいは○○%下落するという予想・予測が外れてしまった場合、読者の皆様はどうされますか?また予想・予測をした人が上昇時期や下落幅を変える発言をしてしまいゴールポストが動いた場合はどうしますか?

他人の予想・予測に頼る場合、結果に対するリアクションをあらかじめ決めておかなければいけません。あるいは実際にそれが実現した時、実現しないことが確定した時、当たったか外れたかはっきりしない時にそれを判断しないといけません。期限・時限が明確でないものは対応する時期も自分で決める必要があります。

これらの対応は自分で決めたルールに従って動くよりも難易度が非常に高いです。しかも最初にあたかも答えを言ってくれた神様のような予想・予測を発信する人は当たった時はともかく外れた時は非常に残酷です。

気がついたら全然別のことを言っている可能性もありますし、「そんなこと言ったっけ?」と振る舞う人もいます。SNSで指摘したら逆ギレするような人もいます。

そもそも先の見通しが不安で何をしたらよいか分からないから予想や予測に頼ろうとする人にとって、自力で何かをすることは自らドツボにハマるようなものなので最初から頼ろうとせず自力でなんとかする意思が必要です。そのほうが最初は大変ですが、後で楽になります

3.第三者に常に依存してしまう(常に予想、予測を確認し続けないといけない)

予想・予測に頼るというのは最初は「勉強のつもり」で利用するのですが、続けてしまうと癖になり徐々に依存することになります。

本来は予想・予測の背景やそれによってどうなるかを類推するなど、深掘りが必要なもの(それであれば勉強のためと言っても問題ないと思います)です。また予想や予測は自分で行うものなのですが、特に初心者にとって他人の予想・予測の類はカンニングペーパーのように見えてしまうものです。

これは誰しも損失は回避したい心理(プロスペクト理論)があるので、損失を回避できると思うものには飛びつきやすいという心理的背景があるからなのですが、安易に飛びつきやすい分、依存を避けようと自律的に予想・予測を活用した方がよい思っていても次第にそれは変わっていきます。

人によっては他人の予想・予測なしには投資ができないと考える方もいます(故に予想・予測を発信する人は神扱いされる)。

もし、自分がその状態に陥っている時はこう思ってください。
・予想、予測を発信する人は不老不死ではない
・予想、予測を受信する人(つまり、自分)は未来永劫正常な判断ができるわけではない

と。

10年、20年。場合によっては30年以上継続するのが投資ですが、そんな長い期間ずっとあなたに寄り添うように予想・予測を発信してくれる人がいるでしょうか?

予想・予測を今の自分と同じ判断能力で対応できる自信はありますか?人間は歳を重ね心身ともに老いていきます。未来永劫正しい判断ができるとは限りません。

何かに依存する投資の問題点はここにあります。今あるものが1年先も続くとは限らない。予想・予測は継続性の点では疑わしいものである他なく、その意味ではノイズに過ぎません。

早い段階から他人の予想・予測から距離を置く癖をつけておかないと、自分が後で苦しむことになるわけです。そのことがなんとなく分かれば必要な情報とそうでない情報とが区別されることになるので混乱が回避できます。


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