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ぷーハジメ:『魂の退社』を読んで髪染める

7月31日、美容院へゆく。
染めるべきはまだ色のある髪でないことはわかっていたが、髪の外側ではなく、中側を染める。見た目はいつもどおりの黒髪だけれど、風が吹けば、髪をかきあげれば鮮やかなオレンジ色が現れる。そんなわたしなりに奇抜なアタマにする。

「・・・わたしもアフロにしてみたらいいのかしら。」
稲垣えみ子さんの『魂の退社』を読んでからぼそっとこんなことを呟いた。母からは「たわけらしい」と一蹴されたが、、著者がアフロにしたように、わたしも何か突飛なことをしたくなる一冊だった。

というのも、著者とわたしには共通点がたくさんあるように見えたのだ。わたしは彼女のような優等生ではないが、成績がワルいわけでもなく、そこそこの学校へゆき、就職をしてカイシャに勤め、40歳になった頃に辞めたいと思う。中でもいちばん共感したのはこの一言だ。

「仕事はしたいけどもう就職はしない」

そう、もうカイシャは嫌だ。疲れ過ぎる。忙しすぎる。でも何に忙しくてどうして頑張っているのかもうワカラナイ。さりとてカイシャを辞めて、安定した収入がなくなるのはシンパイだ。じゃぁカイシャで働くしかないじゃない。みんなそうやってがんばっているんだ。こんなのわたしの甘ったれだ。そんなわたしを救うような言葉だった。

ここ数年延々とこの思考を繰り返すわたしに何か助けの手を差し伸べてくれるのではないかと購入し、読んだ後に得た感想が冒頭のもの。
定職を手放すってやっぱり生半可なことではなさそうなのだ。まして大企業に勤めず大した貯金もないわたしのようなものには特に。

「なんとかなる」と著者が言えるのは、きっと彼女が大手新聞社のジャーナリストで、ジャーナリストになるくらいだからトクベツなナニカを持つ人だからで、わたしとは「前提」が違うからで・・・、彼女はアフロにするほどの勇気を持ってるからで!
せっかくこのトンネルから抜け出す答えがあるかもしれない本を見つけたのに、気づけば「彼女になれない理由」ばかり探しているじぶんがいた。

思えばいつも「こうなりたい」を見つけても「こうなれない」を見つけて諦めてしまう。でも、わたしはもうシッカリと考える前に退職届を出してしまったので、彼女のようになれるもなれないも、もう後戻りはできない。なんかせにゃ。

アフロのハードルは高すぎるが、してみたい髪型ならできるかも。
わたしが髪を染めることにしたのはそんな理由だ。勇気の出しどころが間違っていたとしても、とにかく何かを変えてみたくなり、美容院へゆき、
「あのぅ・・・、”おやっ?”ていうか、”あっ?”てなるくらいに髪を染めたいんです。全部じゃなくて部分的に。”わっ!”じゃなくて、”あっ。”ていうくらいに。」
もじもじと美容師さんにイメチェンを願い出た。

髪色を見て、母は眉間にしわを寄せたがわたしは結果に満足だ。
えへへカッコイイ。


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