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道東根室の旅(2022.11.10-11)

道東根室地方は、国内の野鳥の半数以上の種類を見ることができる「野生の楽園」といわれており、野鳥を観察する「ハイド」(野鳥舎)が市内各所に設置されている。
今回は主に、お客様からも問い合わせを受けることがある「バードウォッチング」を体験することと、札幌から根室までの道のり約450キロを列車で乗り継ぎ、北海道観光の実際を知り、今後に役立てていきたい。

1日目(11/10)
・新札幌 6:56 → 釧路10:57 (特急おおぞら1号)
・釧路11:12 → 根室13:22 (快速ノサップ号 ワンマン列車)
  
今回、JR列車乗り放題「HOKKAIDO LOVE」という6日間周遊パスを利用し、新札幌駅から釧路行き「おおぞら1号」に乗車。
朝一番の特急列車はほぼ満席で、仕事で利用している乗客が多い印象。
JR北海道に車内販売が無いため飲食物は予め用意したほうが良い。
札幌から3つ目の停車駅追分から新得まで長いトンネルが多かったが新得を過ぎると、窓いっぱい十勝平野が広がった。
帯広に到着すると、かなりの乗客が降りて釧路終着まで快適であった。

釧路から根室行き花咲線「快速ノサップ号」に乗り換える。出発まで15分あったが、一両編成の座席は半分ほど埋まっていた。

ノサップ号
ノサップ号車内

根室へ向け列車が走り出すと、お弁当を食べる人、運転席の後ろに立つ人、
写真撮影する人、それぞれがこの列車を楽しんでいた。
自分も運転席の後ろに立ち撮影。

運転席車窓

この列車は根釧台地と呼ばれる一帯を結構な速度で進む。道中、牧場や野生の鹿を何度も見かけた。
釧路-厚岸間は特に鹿が多い地域のようで、列車との衝突を防ぐため頻繁に警笛を鳴らしながら走行している。
連日、鹿との衝突事故が多発して研修前夜に花咲線の運休を知った。
このノサップ号は運行したが、帰りに乗る予定の普通列車は運休となってしまったため、二日目朝予定していたバードウォッチングガイドツアーを変更せざるを得なくなりガイドさんへ連絡。
なんとか根室到着直後の13:30からに変更していただけることになった。
そんな鹿事情にあたふたする中、花咲線の旅は終了した。
根室に降り立つと天気が良く、事前に聞いていた寒さは全く感じられなかった。

根室駅歓迎看板
12℃は暖かい!

お手洗いを済ませたタイミングでちょうどガイドさんが迎えに来てくれていた。今回ガイドをお願いしたのは民宿を経営する傍らネイチャーガイドもされ、クルーズ船のガイドもされている高野建治さんという方だ。
電話予約の際、希望する所は?と聞かれ、「春国岱」をお願いしますと伝えていたが、この時はまだ後に大変なめにあうことを想像してなかった。
高野さんから簡単な説明を受け車で春国岱へ出発。

春国岱

春国岱に到着し、車を降りると容赦ないほどの浜風が吹きまくり、せっかくのガイドさんの説明も集中して聞けないほど寒く震え上がっってしまった。この強風のせいなのか、肉眼では野鳥が見つけられなく、遠くにいる数羽のオオハクチョウをガイドさんが望遠鏡で見せてくれた。
砂州沿いに木道があり、本来なら歩けるが、高潮で破損しているため入ることができなかった。

上空からの春国岱(画像国土交通省 国土地理院より)

春国岱は、根室半島の付け根に位置して、長さ8km、幅1.3kmの細長い砂でできた島だ。
三列ある砂丘から成り立ち、一列目はおおよそ4000年前に樽前山などから、遠くは北朝鮮の白頭山からの火山灰も体積されているとガイドさんが教えてくれた。
海、湖、に囲まれ、海岸草原、湿原、森林などの多様な環境なため、300種類以上の野鳥が記録されている。

場所を移動し、春国岱原生野鳥公園へ。
ここは、入り口からぐるりと一周できるようになっている。
最小限の足場があるだけで、自然のまま手つかずの状態なっているような
感じの公園だ。ところどころ、縄文時代の竪穴式住居跡もあり驚いた。

春国岱原生野鳥公園

海から離れたこの森は、風がなく落ち着いて双眼鏡が使えた。
鳥たちの鳴き声が聞こえるものの、探すのが素人で探すのが難しい。
それでも、黒白の小さなつがいの鳥が木にとまっているのを辛うじて発見。

原生野鳥公園の隣にネイチャーセンターがある。屋内からでも野鳥の観察ができるように望遠鏡が設置されている。

春国岱ネイチャーセンター
春国岱ネイチャーセンター
春国岱ネイチャーセンター

春国岱であまり野鳥が見られなかったので温根沼に移動。沼というよりは湖のような場所だが海に繋がっている。春国岱ほどの風はなかったがそれなりに強く寒い。

温根沼 はるか遠くに丹頂とオオハクチョウ

温根沼でオオハクチョウ数羽と丹頂鶴を2羽見ることができた。
もちろん望遠鏡でだが見ごたえがあった。
鶴は、水面に首を突っ込んで餌を食べるのに夢中だった。

温根沼
ガイドの高野さん

高野さんにとって根室湾からの強風はいつものことだが、この日は特別で寒いとおっしゃっていた。
高野さんには双眼鏡の使い方を一から教えていただいたり、ツアー時間の変更や延長など大変お世話になった。
ホテルまで送っていただき無事1日目終了。
朝から食事をとってなかったので、ホテル(ねむろホテル海陽亭)にチェックイン後すぐ、近所にある洋食店へ向かった。

エスカロップ

夕食は、根室名物エスカロップ。しっとりとしたバターライスにデミグラスソースがかかったとんかつの組み合わせは、空腹を充分に満たしてくれた。
お店の名前は「どりあん」

2日目(11/11)
昨日行く予定にしていた金刀比羅神社(ことひら)と明治公園へ向かうため6:30に起床。
先ずは金刀比羅神社へ。
ホテルから徒歩20分ほどで到着。朝早かったので参拝客は私1人。
展望台が3か所ほどあり根室港を見下ろせる。
この神社は、北洋漁業の先駆者高田屋嘉兵衛が1806年に建立したものだ。

金刀比羅神社 鳥居
金刀比羅神社
高田屋嘉兵衛像

金刀比羅神社から次の目的地明治公園へ。
若干迷って徒歩15分の距離が30分以上かかり到着。

明治公園

明治公園は広さ11.4ヘクタール。根室市民の憩いの場である。
青空が赤い帽子のサイロをより際立たせていて本当にフォト
ジェニックだった。
春には桜が咲いてライトアップをするイベントも開催されている。
明治公園にシマエナガがいるという情報を得て、しばらく林を見上げていたがそれらしき姿をどうしても見つけられず収穫ゼロでホテルへ戻った。

11:03分出発の「はなさき号」に乗るため、急いで根室駅へ向かう。
徒歩10分程度で到着。
根室市観光インフォメーションセンターが駅前にあったので立ち寄った。
ここは、バスターミナル、観光案内所、お土産店などが併設されていて
半島遊覧バスの「のさっぷ号」もここから出発している。

根室市観光インフォメーションセンター
根室観光案内所

駅に行くと乗車口に自分が乗る列車の行先札が下げられホッとすると同時に、運休した普通列車に乗る予定だった人たちのための救済バス(代行バス)が用意されていることをこの時知った。
前日には代行バスの情報は無かった。

根室駅

11:03分釧路行き「快速はなさき」に乗車。早めに並び座席確保。
帰りは余裕をもって景色眺める。
北海道らしい風景は厳しい冬を前に最果て感があった。13:18分釧路に到着。
指定席をとった列車まで時間の余裕があり釧路駅周辺を歩いてみることにした。先ずは夕日で有名な幣舞橋方面へ。
釧路駅から10分ほど歩いて釧路川沿いのフィッシャーマンズワーフmooに入る。ここは、飲食店、お土産店等がある商業施設で、ウイングベイ小樽と似た雰囲気の場所だが、平日のせいか観光客が少なく賑わいは無かった。
mooから釧路の台所「和商市場」へ。
ここの名物は「勝手丼」だが、空腹ではなかったので、市場で売っていた「たんちょうソフトクリーム」食べてみることに。
これがさっぱりとした甘さで疲れた体を癒してくれてとても美味しかった。

moo
和商市場
たんちょうソフト

列車の時間がせまり釧路駅に戻る。
そういえばと思い出したのが釧路の駅弁「いわしのほっかぶり」。
即座に見つけ購入。これは自分の大好物で札幌では催事以外で手に入らない。「マツコの知らない世界」でも取り上げられたほどの駅弁だ。

いわしのほっかぶり
いわしのほっかぶり

その名のとおり、酢で締めたイワシに薄くスライスした酢漬
の大根をほっかぶりさせた鮨。臭みがなく、酢加減が絶妙だ。
酢締めの魚が好きな人にはおススメ。

16:12札幌行き「おおぞら10号」に乗車。夕日を眺めながら札幌へ。
帯広からたくさんの人が乗りほぼ満席。途中「鹿」の影響でしばらく停車したが、無事に札幌に戻ることができた。

根室までの交通費は通常飛行機もJRも高額になるため、今回全国旅行支援キャンペーンの周遊パスが12000円という安さで利用できたのが有難かった。

残念だったのは、イメージしていたほど野鳥観察ができなかったこと。
ガイドさんと一緒でも写真で見るような状況に遭遇することは難しい。
時間帯や天候によるところもあると伺ったが、充分な時間をとる必要がありそうだ。

毎年1月、ねむろバードランドフェスティバルという野鳥イベントが開催され、クルーズ船でバードウォッチングできるツアーもあり、冬に多く飛来するオジロワシやオオワシを近い位置で観察できるようだ。

日没が早くなる秋から冬は活動できる時間が短いのでベストシーズンは春から夏だと思うが、再度根室を訪れるならやはり、真冬の迫力ある野鳥を間近で見てみたいと思う。

(reported by JT)

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