(8)退院、そして再入院 #IPMN
(以下、お食事中の方は避けた方がよい記述が含まれます。悪しからず。)
退院はしたけれど
膵液もれという怖い合併症を起こしたものの、その後は順調に回復し、当初の予定より一週間ほど延びて退院に至った。
だが、こんなに具合悪そうなのに退院して大丈夫なの?と思ってしまう夫の様子に不安が募る。
かつて私が手術をした時は、「どこが病気だったの?」と自分で思うぐらい入院前と変わらない状態で退院した。
ふつう退院ってそういうものだと思うのだけど・・・・
栄養士さんの話では、夫はまだ食事が十分に取れないので、通常の半量を目安に、五回に分けて少しずつ・・とのことだった。
消化の悪いものは避ける。
一般には体にいいと言われる食物繊維などはNG。
たんぱく質は、豆腐や練り物、かまぼこ類を中心に、私なりに工夫して用意した。
だが、見ていて悲しくなるほど、夫はほんのちょっぴりしか食べない。
それでも、食後の苦しそうな様子は尋常じゃない。
体が食物を受け付けないのか、お腹が張って、もたれて、どうにもならない。
朝食べたら、昼は抜き。
三時におやつ(といっても、ビスケットを一枚ぐらい)を食べたら、夜は食べられない。
そして、苦しくて寝ることもできず、椅子に座ったままうんうん体を揺らし、最終的には吐き戻す。
これが恐ろしくなるぐらいの量。
ほとんど食べていないのだから吐くものもないはずで、そのほとんどが胃液、または胆汁だと思われる。
それが二晩続き、看病する私も限界。
ほとんど眠れないんだもの。
翌日、病院に連絡を入れ、診察に向かう。
そして再入院
通常の診察室ではなく、急患用の待機室のようなところに通され、
「どうしますか?入院した方がいいかもしれません。」と言われ、素直に従う。
ロボット支援下腹腔鏡術では珍しいそうだが、稀に夫のような症状が起きるのだそう。
調べたところ、恐らくこれ。
胃内容排出遅延。
退院わずか三日で逆戻り。
夫に確認したところ、入院中も食後はずっとつらかったけれど、大きな手術をした(膵臓の一部、十二指腸、胆管、胆嚢を切除)のだから、そんなものだろう、それよりも早く帰りたい、と我慢していたそうだ。
再入院後、鼻からチューブを入れ、胃の内容物を全て外に出す。
しばらく絶食。
胃が空っぽになったことで、夫はずいぶん楽になった模様。
その後、食べていないのに、気持ち悪くて苦しくて・・という症状が一度だけあり、その時は夫もさすがに疲弊して、
「もう絶望しか感じない」と泣きLINEをしてきた。
確かに、致命的な病気ではないのに、ハイリスクなオペをして、さらには合併症が続くとなると、(手術しなければよかった)と思いそうになる。
IPMNのほとんどは経過観察なのだし。
けれど、朗報もあり。
取り出した嚢胞を病理検査した結果、がん化した細胞は全くなく、100%良性とのこと。
主治医は、
「がんじゃないのだから、元気になって長生きしますよー」と相変わらずの明るさ。
数々の厳しい症例を診て来ている医師ならではの言葉なのだろう。
それに、オペした時点で100%良性とはいえ、ある日がん化するかもしれないのがIPMNの厄介なところなのだから、嚢胞の大きさから言って、夫の手術はやはり正解だったのだろう。
あとはひたすら快復を祈るのみ。
→(9)に続く
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