捨ててよ、安達さん。は開放と赦しのドラマ。
捨ててよ、安達さん。
最終回まで観てよかった。どんな物語でも、きちんと終わってこそ、終わりを見届けてこそ本当の価値が分かると思っている。
安達さんの夢の中に現れる少女は、中盤でだいたい察しがついていた視聴者も多いだろうが、やはり、安達さんの「へその緒」だった。
安達さんと、お母さんをつないでいたもの。
第一話からずっと食べていた紅ショウガもそれの伏線だったと知って、なるほどと舌を巻いた。
母親が子供に執着する。それを、肯定も否定もしない。ただ優しく、存在することを認めてあげる。
へその緒の少女の言葉に救われた人は少なくないんじゃないだろうか。
そりゃ、執着するよ。産んだんだもんね。
その執着、捨てなくていいよ。きっと安達さんは、自分が捨てない代わりに、母親の執着も赦すことができるのではと思う。
「捨ててよ、安達さん」は、開放と赦しのドラマだった。
当たり前だが、捨ててよ、安達さんは、安達祐実さんにしかできないドラマだ。
世間がなんとなくだが持っている安達祐実さんの情報やイメージがドラマの内容と合わさることで、観る人に様々な感情を覚えさせる。
皆まで言わなくても、元夫の顔が浮かぶ。母親との確執も想像できる。女優としての苦悩、あったんだろうなと思える。
みんなが安達祐実さんをなんとなくだけど知っているから、よりリアルに想像できるし、フィクションなのかノンフィクションなのか、境目が曖昧になる。
特に、最終回の冒頭はメイキング風になっていて、ドキュメンタリーのようだった。あれも恐らくきちんとシナリオがあるのではと思うけれど、例えシナリオがあったとしても、本人役を実際にあったエピソードも交えつつ演じるというのは、相当な覚悟と度量がないとできないだろうなと思う。
伊達にこの歳まで安達祐実してねぇんだよ!
と、言わんばかりの貫禄さえ感じる。
安達祐実さんという女優の経歴の中にこの作品が加わることは、とても素晴らしいことだと思う。
そのくらい面白い試みだったし、脚本や演出もとてもよかった。毎回安達さんに捨ててよと迫ってくる擬人化されたゲスト達も良かったし、マネージャー役の西村さんも良かった。音楽も良かった。いいドラマだった。
良すぎて、ズルイ!
私の好きな俳優にもこんな作品に出て欲しい!とさえ思うけど、これはやっぱり安達祐実さんにしかできない企画だった。
今後こんな作品を作るとしたら、できるのは芦田愛菜ちゃんくらいじゃないだろうか?
「捨ててよ、芦田さん。」
20年後にどうですか?
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