ハッタリ

　何を言っても聞いてもらえず、揚げ足を取られ、揶揄われ、笑われ、それを見ている人たちは目を逸らし、一人で対応するしかなかった場合、どうやって自分を守ればよかったのだろう？　黙って耐えるか抵抗するか。抵抗してさらに相手の勢いが増してしまった場合、もう無気力になって自分を投げ出すしかないのではないか。

　「あなたは○○なのだから」と人に言う人にろくな人はいない。「あなたは○○なのだから」の後にはたいてい、（これぐらい頑張りなさいよね？）もしくは（もっとこれぐらいできるよね？）（これぐらい我慢して当然だよね？）といった言葉が隠れ、その通りの、相手に都合のいい人であることを暗に私に押し付け、その像に私を押し込めようとする。もし私がそれらの言葉を無視した場合、相手は私を糾弾する大義名分を手に入れたかのように勘違いし、今度は隠さずに暗黙ではない吊し上げが始まる。あたかも自分が多数の代表であるかのように周りを味方に付け、自分に都合のいい私でいることを押し付けてくる。多数の代表であるかのように振る舞うマヤカシに騙された多数の人を味方につけることで、本当に多数の代表に成り上がるというハッタリ。