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【投機の流儀 セレクション】「炭鉱のカナリア」が鳴き続けている

環境の悪化をいち早く感知する「炭鉱のカナリア」が泣き出したということは低格付け債、つまりジャンク債が暴れ出したということである。デフォルトの恐れがあるハイイールド債が上がり出したということは「まともな投資対象」に見切りを付けた投機資金が債務不履行の恐れがあるとデフォルト債券つまり格付けが下位の社債(利回りは恐ろしく高い)に資金が向いているということであり、これを環境悪化をいち早く察知する「炭鉱のカナリア」と呼んできた。今年の秋以降、この「炭鉱のカナリア」が鳴き続けている。特に格付けのトリプルC格(CCC)以下の米国社債が1月から今日まで趨勢的に上がり続けている。10月でCCC債もBB格債も一応一服はしているが高値圏にとどまっている。要するに「炭鉱のカナリア」は鳴き続けている。低位格付け債・ジャンク債の「利回りが低下した」という表現を新聞などではするが、利回りが低下したということは債券価格が上がったということであり、そこに資金が向かっているということである。
この低格付け債の上りは持続するのか。足元では利上げ減速などの好材料が先に織り込まれて低格債の10月の高値から少し下がって穏やかにはなっているが、これからは景気後退リスクを反映して低格付け債に資金が向く可能性が大いにある。つまり、炭鉱のカナリアは鳴き続ける。
以下は日本経済新聞12月16日号の証券欄「ポジション」の文言を引用する。
「景況悪化に加え、市場では低格付け企業融資のレバレッジとローンの環境悪化に警戒する声もある。炭鉱のカナリアの警鐘の時が案外迫っているのかもしれない」。記名入り記事である。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)市況コメント
(2)週末の状態
(3)「炭鉱のカナリア」が鳴き続けている
(4)市場を子細に見ると2万8千円越えの所でもレンジ相場(ボックス相場)の様相を呈していた
(5)株式市場では峠を越えさえすれば、霧が晴れたと同様の動きを見せる
(6)22年の円安は必ずしも投機的原因だけではない、ファンダメンタルな要素が厳然としてあった
(7)今年の日本株市場の処し方はどうだったか?
第2部 中長期の見方
(1)来春就任の日銀新総裁の役割
(2)米国経済は「減速局面」に入ることはほぼ確実
(3)米中GDP、2033年には逆転せずと日本経済研究センターが従前の試算を訂正した
(4)「ヒトとウィルスとの世界大戦」は100年に一度ずつ4回あった
(5)「格差が拡大すれば→投資が増えて→株価も上がる」
(6)来年度の大きなテーマ――来年の株式相場こそは市場から目を離せない
(7)原油相場の新秩序
(8)「2023年の波乱の火種はユーロか」
(9)やはりボックス相場、レンジ相場が続くか?
(10)卯年縁起
(11)「老いるニッポンの株主」
(12)トルコ債の、夏場以降の値上がりは何故か――東電株とトルコリラ建ての割引債(AAA格の)について本稿は長期的な旨味を述べてきた

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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『会社員から大学教授に転身する方法』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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