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【投機の流儀 セレクション】「中国の日本化」について

明治大学教授加藤徹氏は「中国人は日本人とそっくりになる」という見方に対して「いい意味では使われておらず、あまり同意できない。但し、中国の若者は日本の若者と気質が似通ってきている」と述べている(月刊「選択」11月号)。

筆者の勤めている大学でも、大学院まで進む学生はほとんどが中国人である。しかも富裕層から来ている。日本で言えば、東工大のような名門校からも来ている。彼らは余裕があり、満たされている。かつての中国の若者は「自分は五分五分の確率で、政治運動で死ぬ」とか「富豪や高官になって不慮で死ぬ」とかそういう想定をしていた。今の学生は普通の人の感覚であり、一人っ子政策の産物で、両親と祖父母の6人のスネをかじることができる。政治体制を変えてやろうなどというのは留学生を見ている限り全くない。

ここがウズベキスタンから国費で留学している学生との違いだ。25年ほど前に、筆者は日本ウズベキスタン協会会員としてウズベキスタンから国費で一橋大学に留学している女学生をホームステイしていたことがあった。若い奇麗なロシア人である。
彼女に誘われて、日本ウズベキスタン両学生の討論会などにも行ってみたことが何回かあった。そこで感じたのは、ウズベキスタンから日本に来ている学生は(国費で東大・一橋・筑波・早・慶に毎年合計200人来ている)明治維新の志士たちのように青雲の志を抱いて、帰国して国政に参加しようとしている。「建国の模範は日本だ」という半ば国是になっていることを信じている。

中国から来ている学生は、筆者が見ている限りそんな人は一人もいない。日本の学生と中国の学生は似た者同士かもしれないが、中国の若者が将来日本人とそっくりになるという説は筆者もあまり同意できないし、同意したくない。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)市況コメント
(2)「掉尾の一振」が成立するためには、他の何かの力が要る。
(3)信用買い残は3週間連続して減った。
(4)配当金の再投資の株式市場への影響は±ゼロ
(5)「日本株買い 第二幕の訪れ」
(6)「約34年ぶり」の方が自然、
(7)企業決算発表についての見方、三つの注意点
(8)半導体を中心とする一部の銘柄によって、日経平均が引っ張られた。
(9)15日(水)は「フミアゲ相場」であり「跛行相場」
(10)米企業決算、大半が市場予想を超えた。
(11)NY株は、年末株高に向けて動きつつある。
(12)東電を含む大手電力8社が過去最高利益
第2部;中長期の見方
(1)リスク資産と「地殻変動」
(2)日銀が、来年4月に金融政策決定会合のマイナス金利解除を決めると予想する向きがマーケットでは多い。これは、来春の賃上げ率が高いと見ているからだ。
(3)「基調的に1.5〜2%の消費者物価上昇率が平時の物価上昇率として定着したと考える」
(4)米国経済の想定外の底堅さとそれに伴う長期金利の上昇は、日銀に政策の修正を迫る結果になった。
(5)対北朝鮮の外交ルートで、誰か口火を切る人はいないだろうか?
(6)中国で、外国人ビジネスマンをさらに委縮させる出来事が起きた。
(7)住宅バブルの崩壊は、長期に渡って中国経済の足を引っ張る可能性が高い。我々の関心事は、これが実体経済から金融危機に波及するかどうかという問題である
(8)イエレン元FRB総裁がやったように、植田総裁は優しく丁寧にきめ細かくやっていくであろうと筆者は八分九分信じているが、それでも金融市場の神経機能は計り知れないものがある。
(9)国の経済の実力を示す「潜在成長率」─生産性の向上がなければ、賃金上昇の継続は出来ないから「分配と成長の好循環」は出来ない。
(10)(トランプ1)トランプが大統領になった時の心構えを、今のうちから考えておこう。
(11)(トランプ2)再びトランプに当選した場合、司法省を支配下に置くであろう。
(12)野村証券最盛時の田淵義久元社長と当時の福島副社長の死が同年で、破綻した旧山一証券の投信運用会社の好調という奇妙な因縁
(13)ウクライナをめぐるバイデンとトランプ
(14)「中国の日本化」について

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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『投資で勝ち続ける賢者の習慣』
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『投機学入門 不滅の相場常勝哲学』(電子書籍)
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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