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【投機の流儀 セレクション】円の実力は過去最低

国際決済銀行BISが21日(木)に発表。実質実効為替レートにおいて2020年を100とすると、現在は73となり、過去最低になった。これまでの過去最低は1970年8月の73.45であり、53年ぶりにそれを下回ったという。

その1970年8月という月はどういう月かと言えば、かの「伝説のFRB議長」と言われたポール・ボルカ─の指導のもとに戦後26年間360円で続けてきた固定為替制度を一気に廃止して、円ドル相場を市場で決めるようにしようといきなり言い出した、1971年8月15日のニクソンショックの前の年である。ニクソンショックまでは360円で固定されていた。ところが、ニクソンのひとことであっという間に300円になってしまった。その前の年に実効為替レートを超して円安になった。

円安は本来、輸出には有利に働くはずである。ところが、1970年代にその円安を利用した日本の輸出の活発化が猛烈な日米貿易摩擦につながり、アメリカに意地悪された。この時の貿易の中心は電気でも自動車でもなく、むしろ繊維だった。 しかし、最近これほど実質為替レートが下がっていても貿易摩擦は起きていない。というのは、生産拠点を海外に移したことによって、円安のメリットが発揮されにくくなっているのだ。

これによって、1.生産技術の空洞化を招き、2.円安になった時に昔の円安ほどには輸出に効果的ではなくなったという、二つのマイナス効果を自ら生んだ。

【今週号の目次】
第1部;当面の市況
(1)市況コメント
(2)日銀「決め打ちできない」と述べて、市場に浮遊する早期の正常化観測を牽制
(3)信用売り残株が4週間連続で増加
(4)解散風が弱まっている時は、日銀が政策判断に自由度を得た時となるから、脱マイナス金利の観測が高まりつつあるが、22日(金)の決定会合で否定された。
(5)「次なる一歩」は、最も早いケースで来年1〜3月という見方
(6)中国から引き揚げた運用資金が、日本を筆頭にインド・ベトナムへ9月中に振り分けておこうという動きであろう。
(7)様子見の海外勢、どう動くか?
(8)円の実力は過去最低

第2部;中長期の見方
(1)「賃金上昇とそのための生産性向上の投資の拡大を含めた広い意味での経済成長」を持続するか否かが、投資家が今後の大相場に期待できるか否かの鍵となる。
(2)「国策」としての資産運用立国
(3)中国のJapanification(日本化)の可能性
(4)アラブダラー(今は「オイルマネー」と言う)が、日本株を標準としているという。
(5)トルコ中央銀行5%利上げ
(6)基準地価が回復、住宅地は31年ぶり上昇
(7)G20に習近平とプーチンが欠席
(8)「米景気が今年は景気後退局面に入らない」が4割、「日本のデフレ脱却」は6割
(9)リーマン危機から満15年、慌ててはいけない「○○ショック」には3種類ある。
(10)コンプライアンスが経済をダメにする?
(11)「インフレ時代はやってこない」

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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その他、著書多数。以下よりご覧ください。
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