【投機の流儀 セレクション】日経平均では語れない相場

先週は日経平均だけで見れば、５日（火）は４５５円安、翌日６日（水）は６４９円高、その翌日７日（木）は５８３円安、８日（金）は５５０円安、というふうに４００円〜６００円幅の上げ下げを交互に生じて、激動のあとで８日（金）メジャーＳＱ日を迎えた。

もっとも日経平均では語れない市況になっている。東電（９５０１）などは水木の二日で日経平均が１２００円下がる中、１２５円幅を上昇した（売買高から見ても、少々ハシャギすぎのように見える）。先々週の本稿で東電のことを述べたが、その頃の東電は６４０円台だったし、先週末も６３９円だった。もちろん、これが１週間で８０１円をつけるなどというつもりで述べたわけではない。いずれは、そういう日が在ろうという程度であった。

１１月の日経平均は続騰から始まったが、１２月に入ってからは続落した。日経平均への寄与度が大きい銘柄に売りが出ると、日経平均先物から主導されて下がるという状態を呈してきた。　
１１月には比較的大きく上昇したので、その反動で売られている。年内の米利下げが無い限り、米金利低下による株買いも続きにくいという警戒はある。

「掉尾の一振」を期待するポジションは避けておきたいと、本稿では以前から述べてきた。１１月の日経平均はそれを先取りしてしまったような感じもする。１１月は月間で２６２８円幅を上がり（９％上がった）、単月の上げ幅としては３年ぶりの大きさだった。これが掉尾の一振の先取りであったのかもしれない。
また、国内景気への懸念も浮上しやすい。賃上げが物価高に追いついていないという見方が出れば「成長と分配の好循環」は崩れる。

【今週号の目次】
第１部；当面の市況
（１）市況コメント
（２）円急伸、超円安に転機か？金融緩和の出口を意識
（３）日経平均では語れない相場
（４）週末の市況─８２年前のこの日は、真珠湾攻撃の日だったが・・・
（５）先物とオプションの清算日が重なる３ヶ月に１度のメジャーＳＱ日
（６）市場では、マイナス金利政策の解除観測が先週前半はくすぶっており、総裁の発言はそのための地ならしを意識したものだと受け止められた。
（７）岸田政権、対抗馬不在で野党も勢いを欠く。したがって、当面は低位安定だが、実は政権維持の危険度を測る尺度からいえば危険水域である。
（８）岸田首相が打ち出した「資産運用立国」は、外資には好評

第２部；中長期の見方
（１）想定以上に上振れ続けた米国経済だが、下振れ懸念も無視できなくなりつつある。
（２）「上昇相場は懐疑の中で育つ」（ジョン・テンプルトン）
（３）ＰＢＲ１倍割れ企業の改善策の開示は、まだ３割
（４）東京証券取引所のＰＢＲ改善要請に応じて、動き始めたのは当該企業だけではない。
（５）日米中央銀行総裁の年収を基準に試算すると、円の理論値は１ドル１７４円
（６）建前と現実のギャップする事態に緩和姿勢継続という日銀のメッセージが含まれている。
（７）トルコの格付け見通しを「安定的」から「ポジティブ」に修正（３０日ロイター通信、格付け会社Ｓ＆Ｐグローバル・レーティング）

第３部；「バフェットの名言」から摘出要約

第４部；黄金分割法に拠る観測法について

【プロフィール】
山崎和邦（やまざき・かずくに）
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟（長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3～5頭）、ゴルフ（オフィシャルHDCP12）、居合（古流4段、全日本剣道連盟3段）。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』（講談社）など多数。
ツイッター　https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
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