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『TOUGH DARK FIGHT/タフ ダークファイト』は果たしてクソゲーなのか?

『TOUGH DARK FIGHT/タフ ダークファイト』(以下「ダークファイト」と称する)は2005年に発売されたプレイステーション2を対応機種とする対戦格闘ゲームである。今やシリーズ累計発行部数1000万部突破の大人気格闘漫画 タフシリーズの2作目 「TOUGH(タフ)」を題材にしており、原作者 猿渡哲也先生の書き下ろしキャラが多数登場、開発は"あの"ドリームファクトリー、発売元は"あの"KONAMIと…夢のコラボレーションによってこの世に産み落とされた作品だ。
しかし、この作品をインターネットで検索してみると「クソゲー」「キャラゲーなのに原作キャラが少ない」「しゃあっ マウント・パンチ」「必殺技のテンポがクソ」「はーっ 鬼龍よ〇ね!」など罵詈雑言の嵐である。
超必殺集やRTA(リアル・タイム・アタック)動画はそれなりに人気があるが、実際にプレイした感想はあまり聞かず、この広大なネットの海に攻略情報もほとんどない有様だ。
だが、プレイしてみないと分からないこともあるだろうし、何よりあのキー坊や鬼龍を操作できる唯一のゲームなのだ。
異常猿愛者である私はこう思った。

「果たしてクソゲーなのか…」

これでも私は慎重派でね、このゲームを実際に購入してダークファイトを徹底的に研究・分析させてもらったよ。その結果をここに記そうと思う。



◆ゲーム内容

ゲームとしてはオーソドックスな3D格闘ゲーム。技は鉄拳のように4つのボタンが右左のパンチ・キックに割り当てられている。またその組み合わせや連続入力でキャラごとの技を出すことができるようになっている。システムも体力と超必ゲージしかないシンプル仕様。
ゲームモードは全部で6つ。
ストーリー:キー坊を使用してストーリーを進行する。
フリーバトル:CPU戦。だがフリーなのに対戦相手はランダム 意味不。
タイムアタック:フリーバトルに時間要素が追加されただけ 水増し。
VSバトル:2Pプレイヤーとの対戦。中々プレイ機会のない幻のモード。
サバイバル:体力引継ぎでひたすらCPU勝ち抜き戦。
トレーニング:トレモ。必要最低限のことはできる。

ストーリー
闇試合"ダークファイト"で快勝を続けるキー坊を忌々しく思うヤクザの頭衆が結託。各々の組織からお抱えの格闘家"ファイター"をかき集めて連合軍を結成、挑戦状を叩きつけてきた。
ここに灘神影流第15代当主 宮沢熹一VS最強格闘家連合の戦いが始まる。

要約すると
キー坊「ヒャハハハ 闇試合メチャクチャちょろいでエ」

ヤクザの頭衆「〇す…」

ヤクザの犬共「「「多勢に無勢だ いっけぇ」」」

キー坊「なっ なんだぁ」
…という流れ、めっちゃシンプル。

まあ、黒幕は"鬼龍"なんですけどね、初見さん。


◆評価点

◆原作キャラを操作できる

あのキー坊や鬼龍を格ゲーキャラとして操作できる、これが数少ない評価点だと思う。ゲームの出来はどうであれキー坊達を使って灘神影流の技とファンどころか原作者も知らなさそうなオリジナル技の数々を繰り出せるのだ。ここに価値を見出すしかない。

◆BGMの出来がいい

この手のゲーム特有のBGMの出来は良い現象…なんなんスかね?文句だらけのゲームだが、ここだけは手放しで評価できる。
個人的なお気に入りは発電所ステージの『Power Plant』。

◆オリジナルキャラも造形はいい

原作者書き下ろしのオリジナルキャラたちは、ほぼ全員が哀しき過去持ちでタフキャラとして違和感がない。ラスボスもヤクザだし。
まぁ褒めたんだけど、原作物のキャラゲーで何の思い入れもないコイツらに力を入れられても困るんだ…忌憚のない意見ってやつっス。

◆鬼龍が強い

ラーメン屋に負けて強さに疑問符が付き、現行作品の龍を継ぐ男で完全に雑魚キャラと化した鬼龍がこのゲームではめちゃくちゃ強いしカッコいい。ストーリー上では黒幕的な扱いでもあり、かなり優遇されている。

あんたは相当強いよ、きっと昔はね
悪魔王子に全盛期のパパを見せてやりたいよ。


◆問題点

本題
このゲームには致命的な弱点が(いっぱい)ある。

◆キャラゲーなのに原作キャラが少ない

総勢12キャラもいるのに原作キャラが4人のみ。キー坊、静虎、鬼龍、金時の宮沢家しかいない。一応ストーリーモードをクリアすることで隠しキャラのキー坊(高校鉄拳伝ver)が追加されるが、それでも半分以上がオリキャラで構成されたゲームなのである。キャラゲーなのにこれはあんまりだ。
だがしかし、原作には実在の人物をモチーフにしたキャラも多数いるため、危ない橋は渡りたくなかったのかもしれない(まぁ原作は現在進行形で危ない橋を渡りまくってるんやけどな ブヘヘヘヘ)。

◆ガードされて確反、当てても確反!?

数少ないダークファイト動画でも言及されているが、このゲームは当てても確反の技がいっぱいある、通称『当確』。硬直差が狂ってる。おかげで使う意味のない技のオンパレード。格ゲーっぽいコンボもあんまりできないし、爽快感皆無。

攻略勢曰く、開発側が永久コンボを警戒し過ぎた結果、全体的な技の硬直が厳しめに設定されている…らしい?

◆CPUの反応が凶悪

格ゲーCPUお得意のガン待ち&超反応を当然の権利のように搭載している。まともに殴り合えばこちらの攻撃に反応して的確にカウンター。
私もアラン戦でかなり苦戦し、鬼龍戦で何人ものキー坊がアイアン木場に連れ去られた。

全うに戦う場合:ガードして確反の技が多いのでこちらもガン待ちでガード後にフルコンを決めるか、技を誘って足払いで刈り取る。
取り合えず勝ちたい場合:開幕タックル→マウントパンチか足払いでダメージをとったらバックダッシュ連打のオカマ戦法でタイムアップまで逃げ切る。ダサい…ダサすぎる…ダサさの次元が違う。

◆画面端が無い

「なっなんだぁっ 地面が練りスライドしているっ」
このゲームには画面端が存在しない。地面がベルトコンベヤのようにスライドして無限に前or後に移動することができる。このせいでバックステップ連打を咎めることがかなり難しい。何故このような仕様にしたんだ?

格ゲーでもっとも熱くなる画面端の攻防が無いだなんて
こ…こんなの納得できない

◆原作技が一部を除いてカス性能

そもそも原作キャラが少ないから原作技も少ない。キー坊の斧旋脚、地雷殺は技の成立までが遅いうえに地面についた手が相手の脚に当たらないとスカって膨大な隙をさらしてしまう。トレモで鬼龍の斜めから地雷殺を放って盛大にスカった時には思わず「ウ…ウソやろ」と驚愕した。
静虎は原作技が鷹鎌脚のみなのだが、発生遅すぎてアッパーからも繋がらず、判定も弱いという、どうしようもない技となっている。
唯一強いのが鬼龍の塊蒐拳。かなり距離の長い突進技&発生早い&中段技&ヒット時ダウンで優遇されている。CPUは超反応でこれを連発。寿命を5年に縮めてくる効能が格ゲーでは無意味なのが救い。

◆超必殺技のテンポが壊滅的

動画サイトで見たことがある人が大半だと思うのであまり言及しないが、全キャラがボタン4つ同時押しのコマンド投げで統一されており、演出が異様に長くテンポが悪い。また、演出中のパイプから空気が漏れているような「シューシュー」というSEも謎。
ウザイから対戦では使用禁止にしたい。
余談だがキー坊、静虎、鬼龍は「破心掌」「竜斬首落」「菩薩拳」「大蛇固め」「爆丹拳 」の奥義デッキから一つを選択するスタイルとなっている。キー坊のみ隠し技の「飛翔閻魔固め」が選択可。金時は「一寸棒死」固定。

鬼龍が絶対使わなそうな技のオンパレード、正直笑える。
金時は体格が違うからモーションを流用できなかったと考えられる。

↑私に飛翔閻魔固めの裏技コマンドを教えてくださった偉大なるゲーム研究家 ドクターアダキ様の動画


◆総評

致命的なバグは無く、(辛うじて)遊べないこともないが、格ゲーとしてもキャラゲーとしても只ひたすらに虚無。買ったとしてもファン・アイテムとして押し入れにしまっておくのが正しい判断だと思う。特典の猛人注意ステッカーが本体まである。

これを当時フルプライスで買った人は…かわいそ。

ただ、ここからは本音なんだが "いい・わるい"と"好き・嫌い" は違うように私自身はこのゲーム…結構好きだ。確かに色々と問題点があるゲームだけど、キー坊達を操作できる唯一無二のゲームなので。

ネタにもなるしな(ヌッ


◆おまけ

呪怨(タフ ダークファイト)の秘伝書(攻略)を残しておく。
全ては我が愛息 喜一のために… 。







最後に…

私はキャプテン・ダークファイト
この記事を見てる君は選ばれし者
至高の体験を掴むチャンスを与えられた強き者
単刀直入に言おう
あるゲームを購入して欲しい
名は『TOUGH DARK FIGHT/タフ ダークファイト』
あの大人気格闘漫画 “TOUGH(タフ)”を題材とした対戦格闘ゲームだ
もちろんめちゃくちゃクソゲー
このゲームを遊ぶにはPS2でなくてはならない
動画視聴やレビュー閲覧のみは禁止
なぜなら万が一にも“未プレイ”のままではいけないからだ
なによりも“購入してプレイすること”が大事なんだ
ぶっちゃけこのゲームの評価なんてどうでもいいんだ
私と同じ“苦しみ”さえ味わってくれればなぁ
さぁ腕に自信のある者は今すぐ通販サイトに行け
在庫を失神KOさせろ
急げっ乗り遅れるな
ダークファイトを掴むんだ
“購入・ラッシュ”だ