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少年野球、とある保護者コーチの思い|本気になるのに早すぎるなんて絶対にない

小学生の子供が野球をやりたがっているけど、親として許可することに迷いがある…そんな方に送る内容です。

また、入部を迷っていた2年前の自分へ言い聞かせる手記でもあります。

入部を検討している方はサラッとご覧いただければとても嬉しいです。

自分が所属していたチームに我が子が入部

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私は息子が所属している少年野球チームでコーチをしています。いわゆる保護者コーチというやつです。

かつ、私はこのチームのOBでもあります。私が所属していたチームに息子が入部したわけです。

しかし、当初は息子の入部にそこまで乗り気ではなく、仮に入部しても4年生の途中くらいからで充分と思っていました。

結局、2年生の6月末に入部しましたが、それは息子が「野球をやってみたい」と何回か言ってきたからです。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響で活動休止期間がありましたので、それがなければあと半年は早く入部していました。

ただ、本人としては野球への想いはいっときの気持ちの昂りだけだったはずです。

というのも、本人は野球をろくに観戦したこともなく、アウトもセーフもヒットもホームランも、ピッチャーもバッターもバットもグローブも分かっていないレベルでした。

現に、息子は入部後初めての試合出場が三塁代走でしたが、バッターが打った瞬間に三塁ベースからホームではなくレフトに向かって走っていく超珍プレーでデビューしています。

・ボールを投げるのが楽しかった
・バットでボールを打つのが楽しかった
・グローブでボールを捕るのが楽しかった
・友達に誘われた
・お兄ちゃんお姉ちゃんについて行っただけ

私の息子に限らず、入部の理由なんてみんなこんなものかと思います。
プロ野球選手になりたいからと言って入部してくる子はほぼいないのではないでしょうか。

「やりたいって言うならやらせてあげるか…もうちょっと強い気持ちを身に付けて欲しいのは確かだし…」

正直に言って、親心理としては「入部=ある種の諦め」というのが少なからずありました。

保護者としての関わり方がとても気になったのです。

入部をためらう理由は『保護者としての関わり方』

私が入部に乗り気でなかったのは、親である我々の土日祝が潰れるから。これがかなり大きな要素でした。

時代も変わっています。保護者同伴は義務ではないとか、お茶汲み当番はないとかいっても、やっぱり何かしらやらなければならないことはあります。

『保護者の負担はありません』などという勧誘フレーズを目にすることもありますが、絶対に嘘です。(息子が入部したチームはこのような勧誘フレーズはありませんでした)

毎週の洗濯物が増えますし、予定の連絡は取り合わないといけないし、そもそも会費もかかるわけで、”負担”は間違いなく発生します。

それでも、子供が親の目を見てちゃんと自分の言葉で「野球をやってみたい」と言ってきたので入部しました。野球経験者目線では嬉しいですが、親としてはこれはもう我慢するしかないか…と、数年の我慢を覚悟しての入部でもありました。

少年野球は子供だけで取り組むスポーツではない

最初に「私は保護者コーチです」と申し上げました。コーチをしていると、少年野球における選手の成長と親の関わりが密接に関わっていることがよく分かります。

よく考えてみると、保護者と子供が親子一体となってスポーツに取り組む時間というのは、実は小学生の間だけです。中学生になったら練習や試合に保護者は基本は参加しません。少なくとも関わりは減ります。人によっては「見に来てくれるな」と我が子から言われることもあるでしょう。

小学生の野球はゼロからのスタートです。みんな、最初は本当に下手くそです。公園遊びで野球が上手い子はいますが、チームに属するとやはり誰もがゼロからのスタートです。

小学校の間は、保護者の関わりが大きいです。まさに親子で取り組むスポーツと言えるでしょう。(これは野球に限らずですが)

継続してちゃんと取り組めば、1年もすれば見違えるほどに心身の成長があります。成長速度に個人差はありますが、必ず成長できます。成長を常に最も間近で見ることができるのは小学校の間だけではないでしょうか。

失敗を乗り越えて得た強さは一生の財産になる

野球は、バッターで言うとプロであっても10回のうち3回打てば高い評価を得られるほどに失敗の連続、難しいスポーツです。ルールは複雑ですし、小さい壁は嫌というほど日々無数に立ちはだかります。

しかし、越えられないほどの壁はなかなか現れないのも少年野球の特徴です。

ちゃんと続ければどんどん上達し、どんどん楽しくなっていきます。上達を競い、共有する仲間は一生の繋がりとなります。

・ことあるごとに帰りたいとグズっていたあの子が
・ルールを何も知らなかったあの子が
・ボールを怖がってばかりいたあの子が
・体力がなくてすぐに座り込んでいたあの子が
・友達が少なくていつもひとりだったあの子が
・家で手がつけられなかった暴れん坊のあの子が
・何をしても続かなかったあの子が

たった1年でこれほど立派に成長するのか、と驚かされることでしょう。

礼節を重んじるチームスポーツである野球ならではの心身の成長を、必ず目にできます。

本気が"子供"を"選手"にする

私は保護者コーチをしていながら、実は子供好きではありません。子供の相手をするぐらいなら夫婦でのおしゃべりをしている方が好きだったりします。

そんな私でも、子供たちが汗と土にまみれて一生懸命にプレーしている姿を見ると感動してしまいます。まさか少年野球で、息子以外の選手の活躍を見ても感動するなんて思いもしませんでした。

想像してみてください。
 ご自身の子供が真剣な眼差しで必死に頑張っている姿を。
 選手同士でガッツポーズをして懸命に勝利に向かう姿を。
 何度失敗しても涙を我慢して立ち上がって声を出す姿を。
 頑張る選手たちへ一生懸命に声援を送る仲間や保護者を。
 声援を一身に受けて、期待に応えようとする選手の顔を。

最初は親目線では半ば諦めでの入部だったはずが、今では「もうちょっと早く入部させてあげても良かった」なんて思う時すらあります。

息子は毎日野球の話ばかりします。監督に怒られて泣いても、辞めたいとは絶対に言いませんし、もっと上手くなりたいと立ち上がって自ら(ほどほどにですが)努力するようになりました。

ゲームやテレビばかりだった息子が、ちょっとは野球選手らしくなってきたのかもしれません。友達も爆発的に増えました。

本気になるのに早すぎるなんて絶対にない

子供の笑顔を見ることはあっても、"本気"を見ることができる環境って、日常生活にどれくらいあるでしょうか?

本気になるのに早すぎるなんて絶対にありませんし、子供が本気なら大人も本気で向き合わないといけません。

とはいえ、一人で重く考える必要はなく、スタッフも保護者も、選手だって助け合いです。
私も保護者の役割が充分できているとは到底いえませんが、いつも皆さんに助けていただいています。

お子様の全力プレー、一生懸命な表情を見て感動する。。。今は毎週のように見ることができますが、練習の努力過程、試合での活躍など、表裏の全てを見ることができるのは小学生の間だけかもしれません。

子供の本気を全力で応援できるかどうか

ここまで野球一色で書いてきましたが、何も野球じゃなくても良いと思っています。大切なことは子供の本気を応援することです。

サッカーでもスイミングでもラグビーでもバスケでも良いし、書道でも将棋でもプログラミングでも良いでしょう。

習い事である必要もありません。家で一生懸命にお絵描きをするとかでも構わないと思います。

もちろん、子供の本気を発揮する場所が野球であるならば、野球に関わる人たちにとってこれほど嬉しいことは他にありません。

ぜひ、新しい取り組みに向き合おうとしているお子様の本気を応援してあげてください。

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