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「近くの山にロープウェイがあるから行ってみない?」
彼に誘われて私達は近くの山に向かった。
通り道には、いかにも観光地といったお店はなくて、昔ながらの商店やひもの屋さんがポツポツと点在するだけだった。
それはむしろ私の目には好ましく映る。
山の上は晴れていて空が広かった。
着いた途端、「わーっ」と2人で両手をあげて叫んでしまう。
人っ子一人いない山の上。
今、ここだけは私たちのものだ。
彼が珍しくはしゃいでいる。
「ねぇ、みてみて」
とおどけたポーズを撮っては
「写真撮って!」
とせがまれた。
普段写真なんて碌に撮らないくせに。
私は苦笑しながらスマートフォンを構えた。
彼とともに空が写り込む。
この青さと広さは収まらないなぁ。
そう思いながらも、こっそり写真は待ち受けにした。
「早く!俺にも送って!」
彼はぴょんぴょんと青空の下で飛び跳ねている。
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