夢の中で今日もまた、ごはん │ ショートショート
「実は今度、この店、たたむんです。」
食後の焙じ茶を出しながら、ササミさんが言った。
「だから、うちの店以外でも、ちゃんと食べられるようになってくださいね。」
ごくん、と彼の喉が鳴る。
店が無くなるなんて、彼には信じられなかった。
目を覚ますと、いつもの自分の部屋で、彼は、夢を見ていたことに気がついた。夢か、と実感して直ぐに、夢だったら良いのに、と願った。『定食屋ササミ』は彼の夢の中に出てくる店である。
夢の中にある、彼の唯一の行きつけの店。
時計を見ると、普段の起床時間