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ショートショート

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#小説

波のように、泡のように|短編小説

一 海 ジャブ、ジャブ、と波打ち際を歩く。 波が引く度に一歩二歩と歩いて、波が来たら止ま…

今日のご飯は、夢の外│ショートショート

その日、彼が『定食屋ササミ』に行くと、カウンターには背筋の綺麗な青年が座っていた。 「こ…

彼女の秘密|ショートショート

明け方、梟が窓をこんこんと叩く。 瞬間、私は悟る。 遂に彼女は逝ってしまったんだ。 橙色の…

愛を誓う|ショートショート

彼女を初めてみたのは、学校の屋上だった。 裸足で足をぶらぶらさせて、彼女は青い空を見上げ…

森と真実|ショートショート

ある人は言う。 「あの家には魔女がいる」 ある人は言う。 「普通の家族だよ」 真実は時に、見…

分福、茶釜|ショートショート

「私が死んだら、骨を、まるごと盗んでくれないかしら?」 ある日、義祖母から突拍子もない頼…

夢の中で今日もまた、ごはん │ ショートショート

「実は今度、この店、たたむんです。」 食後の焙じ茶を出しながら、ササミさんが言った。 「だから、うちの店以外でも、ちゃんと食べられるようになってくださいね。」 ごくん、と彼の喉が鳴る。 店が無くなるなんて、彼には信じられなかった。 目を覚ますと、いつもの自分の部屋で、彼は、夢を見ていたことに気がついた。夢か、と実感して直ぐに、夢だったら良いのに、と願った。『定食屋ササミ』は彼の夢の中に出てくる店である。 夢の中にある、彼の唯一の行きつけの店。 時計を見ると、普段の起床時間

骸の花

ある日、足の親指が喋った。 「すみません、 貴方に死なれると困るんですけども」 今から話す…

大晦日の珍客

寒さが肌を刺す大晦日。 彼女は駅までの小路を歩いていた。 早く着いちゃうかな。 腕時計を見…

僕とラジオと君と星

毎週木曜、22時05分。 『おはようございますの人もお休みなさいの人も、ようこそ"おおいぬラ…

小さな円形劇場

生きていれば、どうしようもなく悲しくなる時はあって、 それは理由がある場合もあれば無い場…

線路のとなり、電車がうるさい三角公園

学校は嫌い。だって友達がいないから。 でもこの頃の放課後はちょっと好き。ほんの、ちょっと…

捨て猫かしら

ある冬の日。 その日は雪がはらはら降っていて、家路を急ぐ彼女の吐く息は白くなっていた。 に…

旅鴉(たびがらす)フーフーとパン屋のキノ

旅鴉(たびがらす)とは。 旅鴉とは、一つ所に止まらず旅をする者のこと。または、他所者(よそもの)を卑しめる時に使われる言葉でもある。 -------- ここはアンタナという小さな村。 村には大層評判のパン屋があった。 パンの作り手の名は、キノ。 栗色のふわふわした髪に同じ色の目、そばかすだらけの顔の少女キノは、パン屋の父親の背中を見て育った。 父親の力強くパンを叩く音がキノの胸を毎日踊らせ、何十年も使われた釜で焼かれた小麦の匂いでキノの身体は出来ていた。 キノが十五の時