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無理・無駄・無茶を判定するリファレンスは何か[20240524]
私は「ITは戦略投資である」と20年近く前から言い続けてきた。
この考え方は、IT部門を鼓舞する為ではない。
企業・組織の戦略目標を達成する為に投資をするのだ、なのでこのような言い方をしてきたのだ。
従ってITは経営体が発した「戦略を理解した上で如何にして何に投資するのか」を常に意識しなければならない。
現場のお困り事に対応することを第一義としていては戦略目標の達成は難しい。
「現場は自身の足元しか見えていない」
現場は現場のことしか認識していないことが殆どだ。
全ての現場に戦略目標を意識してもらうのは簡単ではない。
ビジネスプロセスは、経営学上の概念である。
本来、正しく実行されれば戦略目標を達成させることが出来るように設計されているのだから「戦略ツール」とも言えるのだ。
そして、ビジネスプロセスが正しく実行されるように「情報システムにそれを実装」する。
現状調査をすれば、無理・無駄・無茶があぶり出され、それを改善することが業務改革だと言う方々が後を絶たない。
では、そういう方々に伺いたい「無理・無駄・無茶」は何をもって判断するのか?
仮に労基法違反が発見されたなら、それは言語道断で何が何でも改善が必要だが、それを放置している経営であれば戦略目標達成も何もあったものじゃない。
少し冷静になって考えて欲しい。
「労基法」というリファレンスがあるから「無理・無駄・無茶」があぶり出すことが出来るのである。
言いたいのは、無理・無駄・無茶を判定するリファレンスは何かということだ。
企業経営の立場で言えば「戦略」そのものがリファレンスなのである。
先述のよう意見の方々は、勝手なリファレンスを何処かに持ち、それを経営者に押しつけているだけなのだ。
そして「うちの経営者は老齢で分からず屋」だと毒を吐く…。
経営者は、企業組織全体で成し遂げる最重大事を戦略として記して内外に発表しているのである。
これと乖離した活動は全て無理・無駄・無茶だと言える。
業務改革は戦略目標を達成するために実施されるプロジェクト活動であり、プロジェクト憲章にはそのことが明記されなければならない。
組織全体を経営戦略の目標達成の為に「確実に」動かす為の施策が業務改革である。
「現場は苦労している」「現場を知らないヤツらが経営をしているからな」とか言う方を見掛けることも多いが、企業・組織の問題はそこでは無い。
戦略を理解し、全ての業務が戦略目標達成に向かない方が「よっぽど大問題」である。
ビジネスプロセスと言う経営学上の概念を導入すれば戦略に沿う業務が可視化出来る。
私が、業務改革=ビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)だと説明するのはこの為である。
ちなみに、このようなBPR活動が海外のトップ企業では2000年代の半ばまでに最低一度は実行していて、2024年の今日まで何回となく繰り返している。
デジタル時代に海外のトップ企業は、戦略を立案してもマーケットが予想通りに動かない可能性があるので、何時でも目標を修正することが出来る体制を整備している。
日本企業では「そんなアホな!」と言うかもしれないが、経営も「スグやる」し現場も「スグやる」という組織能力を身につけているのである。
2000年代の半ばまでに一度は業務改革を経験し、今では「当たり前」なので素早くやることに慣れているのである。
日本以外の国々では「スグやる」組織能力のことをアジリティと呼んでいる。
日本が国際競争力ランキング35位に位置付けられる大きな要因が「アジリティの欠如」の欠如だとIMDも公表している。
IMDのマイケルウェイド教授とお話したことがあるが「特に日本はデジタル(概ねITと捉えて良い)部門がアジリティとは無縁のようだ」と言っていた。
こういうことは何回も記事になっているし、何処ででも指摘されている。
しかし、日本は「デジタル化」に遅れており生産性が低いと、報道は真実を歪曲させて伝えている。
合同会社タッチコア 小西一有
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