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どのようなマネジメントの姿勢が正解なのか?[20240723]


今週は、ちょっと笑えるが、イノベーションが生まれない深刻な現実について話したい。

最近、DX推進組織や、イノベーション推進組織といったものが次々企業内に出来始めているようだ。

この傾向については、コロナ前に同様の状況だったので驚きはしない。

今回、紹介しようと思ったのは、これらの組織から何も創出されない状況が続いているのにも関わらず方向修正をしないマネジメントの姿勢である。

「自由に様々な発想を阻害してはならないので、マネジメントからあれこれと指示すべきでは無いと考えています」

そう胸を張って話すマネジメントの姿を、何社でも見てきた。

一方で、こう話すマネジメントもあった。

「3年以内に10億円規模のビジネスを創出するように指示をしています」

皆さんの直感として、マネジメントの姿勢としてどちらが正しいと思われるだろうか?

私には、どちらも間違っているように見える。

自由でもなく、財務目標を提示するのも間違っているのなら、どうすべきかと疑問に思われるかもしれない。

この世界に正解は無いが、DX(新規事業開発)やイノベーションなどの新たにコトを創出する仕事は、伸るか反るか博打打ちのような側面もあり通常のマネジメントでは上手くいかないことが世界中で知られている。

更に「数多の失敗から成功が一つ生まれるかどうか」という真実は世界中で常識だろう。

「トライアンドエラー」を繰り返し学習し、少しずつ成功に導くのが、新たにコトを創出する仕事の王道である。

とある企業のDX部門の方々とお話をした時にこんな話を聞くことが出来た。

「私たちは、各社が具体的に何をなさっているのかについて情報収集しています」

情報収集して何をなさるおつもりかと私は尋ねた。

「当社は失敗が許されないので」

失敗している他社の知見を学び取り自社は失敗しないようにしているとでも言うのだろうか?

世の中は、そんなに甘くないよと思うのは私だけではないはずだ。

自分で失敗して自分で学ぶ以上の学習成果は無いのである。

マネジメントは「失敗すること」を奨励し、失敗から「何を学ぶのか」を少々具体的に定義してやるくらいが丁度良い。

昨日は「ソリューション主義」がイノベーションを阻害する話をしたが、
今日は、そう、外科医・大門未知子のように「私失敗しないので」という風潮がダメなのだという話だ。

さて、話を戻そう。

どのようなマネジメントの姿勢が正解なのか?

「数多の失敗から成功が一つ生まれるかどうか」を正とするならば、失敗をしなければ話が始まらないということである。

私がマネジメントならば、チームに対して「失敗をしろ」と指示を出すに違いない。

具体的には、
「1か月に3つ以上の失敗を報告しなさい」
「失敗したら引き換えに何を学習したのかを報告しなさい」

チームに於ける禁忌事項は「失敗しないこと」であり「失敗事例が報告出来ないこと」が最悪だと指示をするのだ。

大事なのは「安心して失敗を積み重ねて欲しい」とにこやかに話せる環境を整えること。

1989年に最初の集計が始まった「IMD国際競争力ランキング」だが、当初、日本は世界第一位だった。
その時の成功体験を引きずったまま35年が経過し順調に右肩下がりで現在は第35位。

失敗を恐れ学ぶことを忘れ「失っちゃった35年間」がGDP第4位にまで下落したという真実を突き付けている。

マネジメントが「失敗しろ!」と指示を出すも、会社全体からするとアンバランスな状況が生まれたりして上手くいかないことがある。

明日は、そのことについて話したい。

合同会社タッチコア 小西一有

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