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ウィズコロナを乗り切るための切り札“ふれあいのメソッド”Vol.3

 皆さん、こんにちは。野口花琉実です。
 ご清覧、ありがとうございます。前回の末尾に私は、「これまでいろいろな団体に協力をし、ハンドマッサージなどの手技を開発・提供してまいりましたが、それだけでは残念ながら、片手落ちを言わざるを得ません」と書きました。そして、片手落ちの状況から脱するためにその鍵となるのは後者、つまり即効性・即応性を兼ね備えた、物理的なふれあいの効果に着目した訳です。繰り返しますが、ふれあいには二つの側面があり、伝承、つまりは伝統の継承を担う、言葉に乗せた智慧というバトンの継承と、文字通り触れ合う、物理的な接触による手当効果というバトンの継承で、この後者の効果・効能に着目した訳です。

 何故なら、日本が古来から伝承してきたふれあいの側面の内の前者である言葉に乗せた智慧というバトンは、核家族化と少子高齢化が加速する時代において、その機会を失ってしまったからです。これは同時代的で、世界的な現象なのです。
 さらに日本における欧米化の加速で、長い経験則の積み重ねにより培った、本来的な予防医学としての生活の知恵の継承も損なわれました。何よりも大きな痛手は、個優先の定着と、個の充実と個への利益還元による自己の実現を促進する欧米が発信した経済活動の普及がもたらした、本来ふれあうべき人とのふれあいを疎外する構図の定着です。
 お金をかけてサロンに通い、他人からマッサージを受け自分を潤す。お金をかけて講座に通い、知識を蓄えて自分の生活を癒す。それはそれで効果的な手段です。しかし、それは真に有効な手段ではありません。何故ならそこには、本当に繋がるべき対象、繋がりたい対象が欠落しているからです。

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 伝承は、知恵や言葉と手技という二つの側面から授けを施し、施された者は、その場で我が伴侶に、我が子に、我が親に、孫子に、実践を伴った伝承を日々の生活の中で施しました。その機会を少子高齢化がもたらした核家族化という決定的な社会構造の変化により奪われた結果、本来的な目的と対象、そして社会性を育むトレーニングの機会をも喪失してしまった。その結果が現代社会において私達が置かれた現在の状況なのです。
 ヒト科ヒト亜科に属する動物である人間の私たちは、日常生活を営む上では、生物としての能力の上に立脚している意識に支配されています。生活上、動物としての身体を意識する時間は、社会活動をおこなっている時間に比べ、少ないでしょう。
 人間という種に起きた遺伝的変異によりたまたま獲得した言語脳の局在が、意識や記憶という機能を生んで、それらを言語という機能により歴史という書き物として定着させるに至りました。けれど、人間の生物としての原理は動物そのものです。動物は触れ合います。触れ合うことで自分を知り、相手を知り、絆を強化し、安心し、癒され、満たされます。それは生物として必須なことなのです。それを経済が個優先の、個に還元するルーティーンを社会原理に取り入れたことで、本来的に誰のためであるかを、疎外した。そこに大きな問題があります。
   人は一人では生きられません。それは、誰でも誰しも納得できる事実です。ですが、個の受容、個の肯定、個の充足、個の充実、そして個の解放から開放へ至る主役は一体どこにいってしまったのでしょうか。主役は人間の関係性の在り方で、その充実が個に真の充実をもたらすのです。こうやって言葉で説明されると、これも当たり前だと感じるでしょう。
 では、あなたはもっとも身近な人と、充分にふれあってらっしゃいますか。ふれあうことを生活の習慣として落とし込むことで、充実した関係性を維持し、成長させていらっしゃるでしょうか。
 残念ながらここで、NOという人が、あまりに多い。即効性のあるふれあいはすぐ二人を癒し潤わせますが、個の達成、個の充実がかなめのふれあいを、生活の外においやった。だから外でふれあおうと錯覚し、求め、繰り返す。結果としてセックスレスを家庭にもたらし、比例して不倫が萬栄し、孤独は連鎖しました。

つづきます。

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