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福岡市役所「DNA運動」の記憶・その160

160)DNA運動・創生「記」(132)
 
平成13(2001)年当時、「福岡市経営管理委員会」の石井幸孝委員長や上山信一委員を中心に、今回の一連の経緯をまとめた書籍「自治体DNA革命」が発売されましたが、それを当時の総務企画局長が紹介してくれました。
 
特に、「DNA2002計画」は市役所職員の「組織風土や発想、意思決定の仕組み」などの「仕事のやり方」の変革を目指すもの、という記述には本質を理解していただいたものとうれしく思います。
 
今では、この書籍はたぶんブックオフにしかないと思いますが、もし見かけられたらぜひ手に取ってもらいたいと思います。
 
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◆「自治体DNA革命」の書評(総務企画局 渡部 晶さん、平成13(2001)年10月12日掲載)
月刊文芸春秋11月号の書評386ページで、「自治体DNA革命」の書評が出ていました。
その見方に共感するところが多いのでご紹介させていただきます。

なお、評者の尾崎氏は、国の情報公開法制を審議した行政改革委員会の行政情報公開部会の委員でもありましたが、最近は、活発な執筆活動をされており、地方財政制度などについても論考があり、論客としても知られています。

「小泉内閣は聖域なき改革を唱えて国民の心をつかんだ。いろいろな挑戦が始まっているが、現在国民の間に漂う閉塞感を突破するのに最も有効な改革は、地方分権の確立であると思う。なぜなら、それは国民(住民)の参加を必要とする改革であって、改革に成功した暁には住民ひとりひとりが達成感を味わえるものだからである。

地方分権推進のキーワードは「自助と自律の精神」と「個性ある地域の発展」である。何かといえば、国の指示を求め、国の財政援助をあてにしているうちに、いつのまにか失われてしまった自助・自律・個性ーそれを回復することは地方自治の原点に立ち返ることでもある。

ここ数年の地方分権論議の高まりに呼応して、すでに各地で地方自治体の自主的な取り組みが見られる。本書も福岡市で推進されている「DNA2002計画」を手がけた二人によって書かれた。石井幸孝氏はJR九州の会長であり、上山信一氏は経営学者である。国鉄改革の経験と最新の経営学の手法を活かした自治体の組織論と意識改革の手法は多くの示唆に富み、読者を飽かせない。

筆者は表題の「DNA」の一語に期待してこの本を読み始めた。DNAというからには、自治の基本である住民・議員・首長の自治意識に踏み込む議論と思ったのである。
しかし、そうではなく、本書で取り上げられているのは、福岡市という役所の遺伝子を変えようということであった。

しかし、だから本書が意味を失うということではない。地方分権の進展を受け止める地方行政組織のあり方は十分に論じられなくてはならない重要な問題である。
「DNA2002計画」は市役所職員の「組織風土や発想、意思決定の仕組み」などの「仕事のやり方」の変革を目指すものだが、感情的な官僚批判に走らず、職員の能力を評価しながら、そのDNAを変えていこうというところに好感が持てる。

ただ、本書も指摘しているように「護送船団的な地方制度」を改革していくには、職員にとどまらず、住民・議員・首長のDNA精神革命が必要であると思う。これはむしろ経営学の領域を越えた精神革命であるように思う。本書は「住民はお客様」と強調するが、いまや住民はお客様として自治体のサービスを享受するだけでなく、自らの権利として、また義務として、積極的に自治に参加する時代を迎えているように思うのである。」

特に、最後のパラグラフは、市長が常々仰っていることと重なりあうように感じられ、特に意義深いのではないかと考えております。

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