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ミツバチと桜 / color field #14

植物の染料を使って絵を描いている中で、度々に感じることがある。

それは、こちらが信じて愛を注いであげられたとき、いつも植物はその愛情に応えてくれるかのように美しい姿や色を見せてくれるということだ。

そしてその美しい姿や色は、植物が自分自身が生き抜くために身に付けたもの。

美しい色をした花は、ここに栄養があるよと昆虫や鳥に教えるためであったりする。

なにも僕を感動させたくって、そんな色をしているわけじゃない。(そんなふうに忖度してくれる植物がいたら、コロっと大好きになっちゃいそうだけど。)

それって、すごく無責任だよなあ、と思う。

だって植物は「誰かのため」だなんてこれっぽっちも考えていない。

自分が生きていくために色をつけ、蜜を出し、種子を撒く。

だけど結果としてそれが、他の命のためになっているのだ。

ミツバチは花に留まって蜜をもらい、鳥は赤く実った果実をついばむ。

すごく自分勝手。だけど結果としてそれが他者のためにもなっているんだ。

こんなことを考えるたびに、僕ももっと植物のように、どんどん手放して、無責任になっていけたらいいのになと思う。

自分の命を生きるために美しくなれたらいいのに、と憧れる。

僕は考えすぎてしまうと、つい相手の期待に応えたくなってしまったり、社会的責任とはこういうものだ、なんて思ってしまったりする。

誰かのために優しくあること。それは例外なくいいことかもしれない。

けれど、優しくすることが、自分を守るための言い訳でもあったのだと気付いたのは、いつのことだっただろう。

無責任になること、それは「ありのままに生きる」ということなのかもしれない。

人間にはもともと愛情というものが備わっているんだと思う。

だから、自分勝手に生きていれば、きっと愛しい大切な人のことを、大切にできるんだと思う。

あなたにとってのありのまま。

わたしにとってのありのまま。

その全ての景色が違って見えることが、そもそも僕たちに贈られたギフトだったのかもしれない。

だとすれば、やることはひとつ。

生きているうちに、その美しいありのままの世界を、五感(と第六感)の全てを駆使して、無責任に、たらふく味わってやるのだ。

そうして自分が味わった分だけ、誰かとその喜びを共有し合えると思うから。

受け取れた分だけ、手渡せるようになるのかなって感じるから。

今日は、桜の染料だけで絵を描いてみた。

桜さん、今日も美しい色をくれて有難う。すごい!かわいい!

ウジウジせず、この桜の美しさを誰かに思いっきり伝えられたらいいなあ。

一緒に可愛いねって言えたらいいなあ。


color field #14 / 春の波
桜の染料、画用紙
April 10, 2024 (13:00)

「color field」は、自然環境の中でライブドローイングのように絵を描く試みです。生きものと踊るように、植物に話しかけるように、体と心を使って自然の恵みを受け取り、自然の一部として参加するような絵を描けたらいいなと思っています。






🌿次回展示のお知らせ

『命が聴こえる(生きてるってかわいい)』
Hearing Breath, “lives are cute!”

▽ 会場
4. ( @4thefuture_tokyodance )
東京都目黒区八雲2-10-23-101
101 2-10-23, Yakumo, Meguro-ku, Tokyo

▽ 会期
4/16 (Tue) - 4/21 (Sun)
14:00-19:00

▽ 在廊日
会期中の大体は終日在廊予定です。
(途中、休憩などで抜けたり休ませて頂くことがあります。)

▽ 備考
入場観覧無料、予約不要

▽ プロフィール
とつゆう
作家、グラフィックデザイナー
1993年岡山県倉敷市生まれ。岡山大学工学部情報系学科でコンピュータサイエンスを学んだのち、エンジニアとして友人とWeb系の会社を始める。2018年に退社後、株式会社CIALを開業しグラフィックデザイナーとして独立、同時期に高円寺でコーヒー屋『Colored Life Coffee』を始める。店舗の閉店後、本格的に制作活動を始め、2023年に東京から岡山県倉敷市に制作拠点を移動。自然の命たちと繋がり、自分自身の心と繋がっていくような絵を中心とした作品をつくったり、人の内面にあるギフトとしての個性を広げるようなデザインやイラストのお仕事をしています。

▽ 動画で作品の紹介もしています!


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