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【鳥取】大山の水はなぜ“美味しい”?渓流ツアーとサントリー工場見学

天然水を育む「大山(だいせん)」

南西側から見た大山

標高1,709mを誇る中国地方最高峰の名峰・大山(だいせん)。その美しさから伯耆(ほうき)富士とも呼ばれ、鳥取県のシンボルになっています。訪問日は天気が良く、青々とした自然が美しい大山を見ることができました!

大山は景観だけでなく、日本有数の水源としても有名です。サントリー天然水の採水地にもなっているんですよ。

鳥取西部を旅すると、旅先で出会うみなさん口を揃えて大山の水自慢。「大山の水を使うとご飯が美味しく炊ける」「大山のきれいな水のおかげで海の幸が豊富にとれる」などなど。

地域ものがたるアンバサダーの旅のテーマとなっている「美食地質学」では、”美味しい”という感覚ではなく、”なぜ美味しいのか”その背景に地質学の観点から考えてみることが大切です。

今回はこの大山の水が”おいしい”理由を論理的に追求すべく、「木谷沢渓流」と「サントリー天然水 奥大山ブナの森工場」へ行ってきました。

【江府町】木谷沢渓流ツアー

木谷沢渓流

大山の南側に位置する江府町は「奥大山」と呼ばれるエリア。広大なブナの原生林が広がる「木谷沢渓流」は、大山の水を語る上で欠かせないスポットです。

江府町観光協会のガイドボランティアさんとアンバサダー

今回は、江府町観光協会のボランティアさんにガイドしていただきました!自由散策も出来ますが、1時間1000円で地元の方ならではのディープなガイドが聞けておすすめですよ。

いよいよ渓流ツアースタート!
散策道を進むと…

早速、綺麗な水が流れる渓流が登場!水の中はこんなにも透き通っているんです!

※メンバーの1人がスマホのレンズを水没させながら撮影してくれました!

水に手をつけると、冷んやりしていて、とっても気持ちいいんです!見渡す限りのグリーンに癒されながら、「美味しい水ができるヒミツ」について尋ねてみました。

”美味しい”水が豊富に採れるヒミツ
①広大なブナの原生林

樹齢100年を超える大きなブナの木

雨や雪解け水が森に蓄えられ、地中でゆっくりとろ過されて地下水に。こうして、どの山でも育まれている地下水ですが、有名メーカーの天然水の採水地に選ばれるほどの大山は、他の山と何が異なるのでしょうか?

理由の一つは、約2800ヘクタールにも及ぶ広大なブナの原生林。これは西日本最大級の広さだそうです。

美味しい水を生み出すブナの根っこ

そんなブナ林は保水力が抜群!樹齢100年のブナの場合1時間に300ml、樹齢200年の木で年間8トンの水を作り出すそうですよ。これだけの水が途絶えること無く作れるからこそ、天然水の安定した供給につながっているんですね。

”美味しい”水が豊富に採れるヒミツ
②ふかふかの土ともこもこの苔

ブナ林の「保水力」と前述しましたが、この「保水力」の秘密はブナ林のふかふかの土にあります。

樹齢100年の木だと、年間20~30万枚の葉が落ちるそう。このブナの落ち葉が微生物の働きによって分解され、ふかふかの土ができるという仕組みです。

ブナに生えるモコモコの苔

ブナの木には、もこもことした苔が大量に。2〜3センチほど悠々と伸びた苔は初めてみました!ブナの木以外にも、足や橋にも苔がたくさん生えています。これも、保水力の秘密だそうです。

奥大山のブナ林には、植物もたくさん生えています。ブナや苔をはじめ、植物たちのおかげで保水力が保たれ、地中にたっぷりと水を蓄えることができています。

ふかふかの土がフィルターになり、何重にも重なった地層をゆっくりと浸透して浄化され、岩盤を通る際にミネラルが溶け込み美味しい水ができるという仕組み。今私たちが飲んでいる水は、なんと約20年前の水がろ過されたものだそうですよ。

”美味しい”水が豊富に採れるヒミツ
③大切に守られてきた「神様が住む山」

側からみた大山

大山は昔から「神様の住む山」として、あがめられ大切に守られてきました。これだけ自然豊かで広大なブナ林が保たれてきたからこそ、透き通った水を育むことができるんですね。

しかし近年は、病気を媒介する虫による「ナラ枯れ」が深刻な問題に。高齢化で手入れをする人が減り、里山から無法地帯になってしまったことで、ブナも高齢化したことが大きな原因だそう。

これからも大山の”美味しい水”を飲み続けるためにも、豊かな森をま守るための活動が行政や企業、地元の人によって行われています。

【江府町】サントリー天然水 奥大山ブナの森工場

サントリーブナの森工場

木谷沢渓流から車で15分ほど南下した場所に、サトリー天然水の工場があります。工場休業日を以外は毎日、工場見学をされています(要予約)。大人になっても工場見学はワクワクしますね!

「大山」の仕組み自体が”水の工場”

大山の模型

工場見学の前に、天然水ができる仕組みを模型を使って分かりやすく学ぶことができます。大山の仕組み自体が”水の工場”と表現されていて納得!

左はふかふかの大山の腐葉土、右はザラザラとした土

前述の”ふかふかの土”は、写真左のような土のこと。ザラザラとした土(右)と同量の水を入れると、保水力の違いは一目瞭然ですね。

ペットボトルを洗浄する工程

地下からくみ上げられた水は、殺菌されてボトリングされていきます。

レーンを流れる大量の「サントリー天然水」

1分間に2Lのペットボトルが365本、550mlなら1050本製造できるそうですよ。製造スピードはもちろん、大山の天然水の人気ぶりが分かりますね。

プレゼントでいただいた「奥大山の天然水」と鳥取県外のコンビニで購入した「阿蘇の天然水」
※色の違いは常温か冷蔵かの違いです

工場見学後は、サントリー天然水のプレゼントも!渓流の雄大な景色を見た後にいただく天然水は、より美味しく感じました!

サントリー天然水の工場は、全国に4か所あり、ラベルのイラストも違っているそうです!偶然持ち合わせていた4工場で最も硬度が高い「阿蘇」の水と飲み比べてみると、個人的には「奥大山」の方がすっきりとやわらかい感じ、「阿蘇」の方がまったりしている感じがしました。みなさんも旅行する際はぜひ飲み比べてみてください!

サントリー天然水は、煮沸殺菌するのみで、成分調整はしていないためラベルの成分量の幅が設けてあるそう。季節によっても、天然水の成分が微妙に変化するようです。

担当者の方に大山の水が”美味しい”理由を聞いてみると、ミネラル分が豊富に含まれているからとのことでした。

まとめ

今回の旅では、ここまでが探求のゴール。”ミネラル”という言葉もっと深堀りしていく必要がありますね。日本海をはじめ、汽水の中海や東郷池…鳥取の水を巡る旅はまだまだ続きそうです!

ご案内いただいた皆様、ありがとうございました!


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