木は何でできているか(あなた史上最も面白い木の話vol.1)
今回、私がずっとやりたかったことをやってみたいと思います。
私は木を化学的になんやかんやしていく研究を行っているのですが、正直な話、自身の研究をゴリゴリと前に推し進めることにさほど興味はないんです。
今出ている結果で修士論文を書くこともできなくはないわけで、残りの学生生活でもう少し遊びに時間を使うことはできます。
ではなぜ研究を進めることにあまり興味がないのに、実験をしたり、論文を読んでいるかというと、研究の中で生まれるコミュニケーションには大いに興味があるからです。研究の話を誰にでもわかるように伝えたり、専門家の話を引き出したりするような場面にはものすごくワクワクします。
ということで、この度、研究のコミュニケーションの一環として、何度かにわたって木に関する話を、興味のない人が興味を持てるように面白おかしく書いていく連載を始めたいと思います。
これまでの文章は読んでくれる人が読んでくれればよいなと思って書いてきましたが、この連載に関しては全力で多くの人に読まれることを目指して書いていきたいと思います。
第一回は、木の中には何が入っているか、正確には、木は何でできているかについて書いていこうと思います。
木は何でできているのかに関して考える前に、少しだけ「日本はどんな場所で構成されているか」を考えるところから始めさせてください。
いろんな分け方があると思います。
北海道、東北、関東、中部、、、という地方で分ける考え方
北海道、青森、岩手、、、という都道府県で分ける考え方
冷帯、温帯という気候区分で分ける人も中にはいるかもしれません。
「〇〇は何でできているか?」という問題を考える際には、どのような区分で考えるかが重要になります。
ここで、木をどのような区分で分解するかを考えてみましょう。
葉っぱ、枝、幹、根という分け方が木を見たままに切り取っている分け方だと思います。
ただ、私は化学をかじっている人間なので、どうせなら最小単位まで切り取って考えてみたいと思います。木を作る最小単位は何でしょうか。
元素です。木の場合は炭素、水素、酸素でできています。
「それだけじゃないぞ」と言いたくなった、私よりも木のことを知っている専門家さま。学会で会いましょう。
木は何でできているのかという疑問に答えたので終わりにしても良いのですが、時間がある方はもう少しお付き合いください。
今回はさらに、木の多くを占めるこの3つの元素の中でも炭素について、環境問題に絡めてお話したいと思います。
現在、世界的な環境問題として、地球温暖化があげられます。地球温暖化の大きな原因の一つに、二酸化炭素の増加があげられています。この二酸化炭素は、何かものを燃やした時に発生する気体です。
この二酸化炭素はもちろん木を燃やしても発生します。ただ、燃えるだけで終わらないのが木のすごいところです。
木は二酸化炭素の中の炭素を光合成によって自身の血肉(血も肉もありませんが)に変えてしまうのです。木にとっての二酸化炭素は人間でいうところのタンパク質のようなものです。
二酸化炭素を太陽のエネルギーを使って燃やすとエネルギーを出すことのできる状態の炭素に変えてくれているのです。
ものすごく雑な言い方をすれば、木が地球上に多く存在すればするほど、人間はエネルギー源を確保できるうえに、炭素は二酸化炭素の状態ではなく、木の中に固定された状態で存在することができて、結果として地球温暖化の対策にもなります。
太陽が地球に降り注ぐ限り、木は育つことができます。これが木を使ったバイオマス発電が持続可能なエネルギーであるといわれるゆえんです。
次回はこの話の続きをしたいと思います。それではまた。
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