見出し画像

20220421ワークショップ①砂連尾

開催日時:2022年4月21日 13:30~15:30
場所:グレイスヴィルまいづる-東京(Zoomオンライン)
内容
1 ストレッチ
2 詩の朗読
3 英語の歌を唄う   
4 もう一度砂連尾さんが指定した詩の朗読
  Aさんは唄うように『時雨』の詩を読む。それに乗っかって砂連尾さんはほかの人も歌うように読ませようとしたが、うまくいかず。 
5 砂連尾さんに合わせて全員でダンス
6 Aさんに「カラスの詩」(『時雨』)、「会いたくて」(『たんぽぽ』)を唄うように読んでもらう。

***
砂連尾理(ダンサー・振付師)

 踊りはどのようにしていつ生まれるのか?というのと同じくらい、歌はどのようにして生まれるのか、という問いがずっと気になっています。踊りの始まりと歌の始まりはきっと繋がっているというか、関係しているように思えるからです。

 そんな関心から、既存の歌を歌うことをせずに歌う身体について何かできないだろうかとワークショップの事前ミーティングで浦岡さんに相談したところ、最近、グレイスの入居者の方々と気持ちを込めて詩を朗読をするという会がとっても良かったと教えてくれました。今回は浦岡さんのワークを再現してもらいつつ、少し身体も動かしながら“気持ちを込めて詩を読む”ワークを行いました。

 浦岡先生から送られてきた詩は杜甫、山村暮鳥、金子みすず等の詩、九編。それら一編ずつ、参加者一人一人に気持ちを込め(普段より大きな声で)読んでもらいました。

 私は画面越しに彼らの朗読を聴いていたのですが、その語り方はどれも味わい深く、パソコンの映像だけではなかなか分からなかったその人の輪郭のようなものがそれぞれの声から感じられました。想いを誰かに届けようとする際に喉から生まれる振動、それは決して大きな身振りを伴うダンスではありませんが、声という存在の中に存在するダンスについて、今回の参加者の声に接し、改めてそのことについてもっと考えたいなと思いました。

 ワークの終盤、常連のAさんが「からす からす 巣にかえれ」で始まる山村暮鳥の詩『時雨(しぐれ)』を読んでくれたのですが、童謡「七つの子」の歌詞を想起させるからでしょうか、Aさんは暮鳥の詩を「七つの子」(かーらーすー、なぜ鳴くの~)のメロディーに乗せて歌い始めます。

 ただ、暮鳥の詩は当たり前ですが、童謡『七つの子』のメロディーには合いません。なのでメロディー、リズムはどんどんズレていきます。でも、そんなことお構いなしにAさんは歌い続け、そのズレの中で新たなメロディーを生み出しながら『時雨(しぐれ)』全編を見事に歌い切りました。

 気持ちを込めながらも、ズレを楽しむこと(Aさんはもちろんそんなつもりはないでしょうが)、また、それに身を任せることは歌や踊りの始まりに何かしら関係があるのかもしれない。Aさんから生まれた新しい歌を聞きながら、今回はそんなことも考えさせられました。

 それにしてもグレイスの入居者のみなさんのクリエイティビティには毎度のことながら驚かされますし、その度に私のダンスはますます揺るがされています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?