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丁寧な返事 (「私たちの知らない間に小さいけど、大きく改変されていた映画の話」のつづき)

この記事は2月8日より全国公開した「ちいさな独裁者」をカラー上映していることについての記事であり、前回の記事の続きである。


まずはおさらい

・「ちいさな独裁者」(配給:シンカ/アルバトロス/STAR CHANNEL MOVIES)の上映が日本ではカラー上映でされること

・この映画はカラーで製作され、監督の意向で白黒にされ、配給する際に「カラー上映」か「白黒上映」かを選ぶことができたということ

・世界の多くでは本作品は白黒上映がされていたこと

・日本の配給会社は公開する際に「(世界の多くは白黒上映をしたけれど)日本ではカラー上映をします」とアナウンスをしていなかったこと

記事への反応

2月7日に記事を公開後、2月10日の現在に至るまでに様々な反応があった。
そして私の書いたことを補足してくれる人がいた。少しですが紹介します。


日本がカラー版を選んだだけなので「改変」という言葉は相応しくないのでは


ロベルト監督の本作品への色彩の意向


「(諸外国では)白黒上映だった」と試写会で言われていたとの言及


監督による日本のカラー上映への言及

今のところこちらの記事だけしかカラー上映への記事は見つけられていないです。


白黒版を見た人がいた


あえてカラー上映を選択し、DVD/blu-rayで販売するときに付加価値として白黒版を入れるのではないか

えー(絶句)


後日、シンカ様より非常に丁寧な返信があった


(このメール文を公開することの了承をシンカ様にまだとっておりません。ここでシンカ様の個人への回答を無断で開示することをお詫び申し上げます)

「日本においてより多くのお客様に本作及び本作に込められたメッセージをお届けするために、総合的判断に基づき、モノクロ版ではなく、本国で公式に製作されていた本カラー版を日本での公開版として上映することが決定しました。」


大方、予想通りの回答だった。

なぜ「モノクロ版だとより多くのお客様に本作に込められたメッセージが届かない」のか理由が明記されてはいないが、私にとってはこちらが公式による初めて観客に向けた案内だ。
しかし、問い合わせをした人にしかこの事情はわからないのではないだろうか。

これからこのようなアナウンスが公式にされるかはわからない。


日本で白黒版上映(一部劇場)があるかもしれない

「モノクロ版での上映も一部劇場のみではありますが上映を行うべく、昨年度より興行側と調整を図っているところです。」

ろ、朗報だ!
いつになるか、どこになるかはまだ決定事項でないので説明できないとのことだが、白黒上映がどこかで上映される可能性がある。とても嬉しいことです。(本来ならばここで嬉しがってはいけないと思う)


配給・興行会社は消費者の声を一切聞かないの?

そういうわけでもないのだ

配給会社関係での問題は2017年6月に起きた20世紀FOXのHidden Figures(ドリーム)の邦題についての物議が記憶に新しい。

わずか3日で邦題が変更されたので、消費者の声を聞いていないわけではない。

そして興行会社であるティ・ジョイは2018年9月からマナーCMを一新した。
「感動は壊れやすい(だからマナーは大切に)」という内容だ。しかし、この映像は最初になぜかサッカーW杯ブラジル戦の日本人のゴミを拾う姿の話が持ち出される。これを観た人たちが問い合わせへ苦情を入れたり、Twitterにて苦情を書いていた。その甲斐あってか、2018年12月にCMが一部変更されて、現在のマナーCMになっている。当初より随分マシになっていた。(映像を引っ張って来られなかったのでティ・ジョイ系列に行った際には観てみてほしい)

この通り、配給・興行会社も消費者(映画ファン含む)の意見を聞いて反映している部分もあることは知っておきたい。


終わりに

続きはこちらで終わりとしますが、今回の件で私が言いたかったことをここに書いて終わります。

・今回の件は私たちが知らされていない部分があり、それを映画を見た大半の人が知らないままで終わる可能性が高いこと
・それってすごく恐ろしいことじゃない?と私は恐怖を感じたこと
・作品を観た後で「え?モノクロあったの?」となって欲しくなかったということ


もし、この件を恐ろしいと感じない人が大半なのならば、私の方がおかしいのかもしれません。
声を上げることは大切で、「え?なんで?」って疑問を持って全然良いと思う。しかし、それだけで終わってはいけないのだということ。答えを探し続けること。想像力を働かせること。そして可能ならば答えてくれる機関(公式)に訊ねること。誠実ならば答えてくれるでしょう。行動することは大事です。モノクロ上映が劇場で観れるかもしれないということが問い合わせでわかったのですから。

映画の主流の言語はまだまだ英語です。残念ながら私たちは英語を話さない地域の人間です。英語を理解しない人が大半です。だから英語の情報が日本語にされる時、時差が起きるでしょうし、全てが日本語になるわけでもありません。
英語ができる人はどんどん世界の情報を取り入れていきます。そうじゃない人もできるだけ情報が行き渡ってほしいなと思います。

たとえ1,000人の人がTwitterで私のツイートや記事をRTしたとしても、そのRTをしたほとんどの人は映画ファンの方々であって(それは誠に本望なのですけども)、上記のシンカ様からのメールに書いてある「より多くのお客様(=白黒上映では来ないとされているだろうお客様)」には伝わっていないのが現状だと思います。
その「より多くのお客様」に伝える方法を私は考えたいのですが、良い方法が思いつかないでいます。Twitterは共感や批判には向いているツールですが、知らない人へ伝えるツールではないと痛感しました。難しいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。
これからも素敵な映画ライフを。

2019年2月10日  君山





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