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今度は果たすぞ、夏の雪辱(2)

Yくんから教えてもらった試合の話を、放課後他クラスの先生達に話す。

「Yくんたち、秋の大会があってるみたいで、ベスト4まで勝ち上がったらしいんですよ。」

そう話すと、夏に一緒に応援に行ったⅠ先生が、

「おおお、強いですもんね。うちの学校の子達のチーム。」

と、夏の観戦を思い出すように、にっこりと笑って答える。

「今度は、夏の大会で負けたチームとは、決勝戦まで当たらないらしくてね。絶対に勝ちあがって、リベンジするぞって、Y君も燃えていたよ。」

そんな風にI先生に返していると、学年主任のA先生が尋ねてきた。

「楽しそうね。Yくん以外には誰がチームにいるの?」

「先生のクラスのOくんがキャプテンであとHくんもですね。2組のTくんと、Kくん、3組は3人いて、MくんとRくんとSくんですね。そしてうちのクラスのYくんまでが、今年の6年生ですね。」

「まぁ、それじゃほとんど6年生の子達のチームなの?」

「そうなんですよ。みんな小学校時代の集大成の年だから張り切ってますよ。」

「そう、次の連休よね。私も観に行ってもいいのかしら。」

「それは絶対喜ぶと思います。お時間があるならぜひ。」

「ととろん先生は行くの?」

「僕はもう二日間とも予定もないので、応援しに行こうと思います。」

「じゃあ、観に行ったときはととろん先生を見つければ大丈夫ね。」

と、A先生もにっこり笑って、観にきてくださるようだった。

「Oくんとか、A先生が来たら本当に嬉しくなると思いますよ。」

キャプテンのOくんは、さすがキャプテンを任されるだけあって、人格者だ。

A先生も普段から、Oくんはなんでも真面目に丁寧に取り組んでくれる子だから、

大事な委員会の仕事なども安心して任せられる。

と、普段からしっかりしていることを話してくれていたので、

そんなOくんの野球選手としての姿を見れることを、

楽しみにしてくれているのが伝わってきた。

「じゃあ、僕も、どちらかの日に行けたら行こうかな。」

と、2組のS先生も、ちょっと行こうかなと思ってくれたようで、

Yくんたち6年生の活躍を、それぞれの担任の先生に見てもらうことが出来たら、

みんな張り切ってくれるだろうなと、そんなことを思いながら職員室での話は弾んだのだった。

そして、その週の週末、3連休の初日。いよいよ、試合の日である。

今日は準決勝戦が行われ、Yくんたちは第2試合と言う事で、

少し余裕をもっても、いつもの休日の朝の時間に動けば間に合うなと、

昨晩から工程を確認していたので、

僕は予定通りの時間の電車に乗って、球場へ向かうのだった。

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