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応援団は燃えて萌えて全力で(9・了)

ピーーーーッ!ピッ!エイエイオー!

赤組のテントからも白組のテントからも、

子ども達の応援と歓声が響いてくる。盛り上げている応援団の声も、

より一層元気を増した声で、運動会を盛り上げる。

日曜日。無事に晴れた空、光化学スモック警報もなく、

運動会のプログラムは進んでいた。

「え、またやってくれるの?!」

「次は何かな、何かなぁ。」

テントで待機している下級生は、応援団の応援を楽しみにしてくれていた。

全体練習では、披露していなかった【演技の合間のショート応援】は、

テントで待機している子どもたちにも大好評の様子が見て取れた。

どの競技でも、事前の応援が合って盛り上がり楽しめることで、

他学年の競技も集中して観戦する態度まで、立派なものになっていた。

児童係の子たちも、テントでの下級生のお世話がしやすくなったようで、

後ろの席でテントをさらに盛り上げてくれる手拍子や掛け声を出してくれた。

このショート応援は、一方で応援団の子達のモチベーションも、

一段と上げる効果を発揮していて、

例えば6年生の競技のときには、ショート応援の団員は5年生だけになり、

必然スポット団長が任命される。任された子は全体では一団員だけど、

ショート応援のときは、先陣切って掛け声をかける団長になれるのだ。

その事が応援団員全員の、自分もやれるんだというやる気のギアをさらに上げて、

それが全体の応援合戦の時に、ますますカッコ良い姿で現れる。

出番が増えることで、自分たちの頑張りを披露できる満足度が上がると、

こんなに、ビシッとキラキラが同居できるパフォーマンスになるのだなと、

改めて感動させられた。

そして、一番の見せ所の昼食後の応援合戦。

二人の団長は、もはや擦れ切った声を精いっぱい空に向かって叫びながら、

全身全霊の応援合戦が進んでいく。

おうちの方の中には、涙ぐんでいらっしゃる方もいた。

もしかしたら、団長の親御さんかもしれない。

そして、応援合戦のクライマックス、大きな赤旗と白旗は運動場を駆け抜け、

テントの前を通りながら、テントの子達と一緒にウェーブを作る。

白組の旗をもって、全白組の子ども達の中を駆け抜けるのは、

副団長のH君の姿だった。

「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

大きな叫び声で、みんなの気持ちを鼓舞するように。

大きな白旗をはためかせて、テントの前を駆け抜けていく。

Hくんの駆け抜けるタイミングに合わせて、

テントの中の下級生が「っわぁぁぁぁぁぁぁ!」と言いながら、

全員でウェーブを創り出す。最後のテントまで走り切って

5年生の副団長の子に白旗を託した。

息も切れ切れに片膝をつきながら、

5年生の子に掛け声でエールを贈るHくんの顔は、

やれる限りやったぞ!そんな気持ちが遠くからでもわかるほどの、

清々しい笑顔だった。

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