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大いに討論できたなら(4・了)

「面白かったぁ。次はどんなテーマで討論する?」

「Kくんが、休み時間とかに『はい論破~』って言ってくるときは馬鹿にしてんのかと思ってたけど、本当の討論会では、一番みんなの話を聞いていたから、いいなと思ったよ。」

子どもたちは、第二回、第三回と、学級討論会を体験していくうちに、

違う立場で意見を出し合い、指摘し合いながら、

より良い考えを探し出していくということの楽しさを、満喫している様子だった。

「次何のテーマで討論会をする?」

という言葉が飛び出してくるなんて、思ってもみなかったことだ。

そして結局3回で終了予定の学習としての、学級討論会をしようは、

これまたアンコールリクエストでプラス1回増えて、

置き勉について、小学生のシャーペン使用についてと、

身近なテーマで盛り上がったのだった。

そんな討論会から数日後の朝である。

「この前まで国語でやっていた討論会を聴いていて、先生は一つ思ったことがあります。それは、今年は出すまいと思っていた、去年仲良しさんクラスに置いていた学級文庫用のマンガを、6の4の学級文庫にも置いてみようと言う事です。」

おお!と歓声と拍手が起こる。

「え、なに。なんのマンガ?!」

「とはいえ、なんでもありというわけでないけどね。マンガオタクでもあり、学校の先生でもあるととろん先生が『図書館にこの作品が置いてあるなら、子どもにはこっちの作品の方がよっぽどいい。』と思ったものです。そう聞くと、何だ学習マンガか?と思うかもしれませんが、ちゃんとしたマンガです。気に入ってくれると嬉しいな。」

「やったぁ、討論した甲斐があった!」

「うん、そうなんだよ。討論会の中でも、2回続けて同じテーマでしたことで、学級文庫にマンガはありかなしか問題は、みんなもすごく深く考えて意見を出し合うことが出来ていたからね。であれば、討論したことを実際の生活でもやってみようという実験でもあるのよ。」

「そっか、じゃあ、討論会で出たみたいに、ちゃんとルールを決めたほうがいいし、その辺は守っていかないとだね。」

「そうだね。そのルール順守はお願いしたい。どんなルールにするかはひとまずみんなの討論会で出た内容からまずは決めてみたけどどうだろうか。できそうならやってみたいんだけど。」

「もちろん、いいに決まってる。」

子どもたちは、もちろん了解のようだ。

学級文庫に選んでいるマンガは昨年度なかよしさん学級での学級文庫でも置いていた作品で、

『よつばと』『ちはやふる』『ねこねこ日本史』などが最近のもので、

手塚治虫・松本零士など図書室にも置かれている漫画家さんの、

古典的作品たちも、そろえてある。

そして図書館でいつも貸し出されて少ないのが『サバイバルシリーズ』だ。

その辺りを一気に学級文庫に並べると、子どもたちもあれよあれよと手に取って、読みだした。

大いに討論できたなら、それを実際にやってみる。

ちょっとしたご褒美のように。そういう風に生活につなげていくことで、

討論した甲斐があったなぁという風になっていき、

子どもたちが話し合いを積極的にできるようになっていくといいな。

ついでにマンガも好きになってくれたらいいなと思うのであった。




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