喧嘩も最後までとことん(3)
月曜日になった。やはりあんちゃんは欠席だった。
このままずるずる行ってしまうのは3日以上から。
さぁ今日はあんちゃんの家に行くぞ。朝から僕は意気込んでいた。
この喧嘩を最後までとことんやり切って仲直りまでするために。
仲良しさんクラスの仲間も気になっているようで、
「ととろん先生、今日は乗り込むんですか。あんちゃんのところに。」
何だか、そうくんは自分が行くのかという感じで、興奮気味に聞いてくる。
「先生、あんちゃんは絶対反省してると思うから許してあげてください。」
まなさんは、あんちゃんのことが心配でたまらない様子だった。
とはいえ立場は担任先生と受け持ちの子ども。
喧嘩というよりは厳しく叱ってそれに反発して、
結果気持ちの整理もつかなくなって学校に行きづらくなった構図だ。
僕はお母さんに電話を入れて、まずはお詫びをする。
親御さんやご家族さんには、あんちゃんが学校に行きたくないとなって、
心配事を増やしてしまっているからだ。
事情をお話して、お詫びをすると、お母さんは、
「あんちゃんが自分で蒔いた種ですから、先生にビシッと言ってもらって有難いです。ただ、このままずっと行かないというと心配になります。」
全くおっしゃる通りだ。日頃からの指導にご理解を頂いているだけに、
重ね重ね申し訳ない旨お詫びを入れたうえで、
「今日放課後、僕がお家に行ってもよろしいですか。」
とお願いすると、
「ぜひお願いします。わざわざすみません。」
とのことだったので、放課後あゆ先生と一緒にあんちゃんの家に向った。
「あんちゃん、いる?先生来たけど。しっかり話をしに来たよ。」
玄関先で声をかけると、あんちゃんは既に泣き状態で、
家にいる安心感からか、お母さんに奥で行きたくないとごねている。
お母さんが困った顔でこちらに来て、
「すみません、奥にいるんですが。」
と伝えてくれた。どうしようかと困った様子だったので、
僕はあんちゃん向かって声を出す。
「あんちゃん、先生は今日は会って話すまで帰る気はないから、部屋まで行くけどいいね。入るよ。」
とあんちゃんに聞こえるように大き目の声が玄関から届いた。
奥であんちゃんが、嫌だー、来ないでー。と言っているのが聞こえたので、
「来ないでって言うならあんちゃんがここまで出てきなさいよ。大体この喧嘩はあんちゃんと、ととろん先生の喧嘩なのにお母さんを心配させる事じゃないやろ。」
というと、あんちゃん、しぶしぶと、泣きながら玄関まで出てきた。
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