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今度は果たすぞ、夏の雪辱(8)
「ットライク!バッターアウト!」
声援にかき消えない位の球審の声が応援席に聞こえてくるたびに、
応援の拍手はますます大きくなる。
試合はテンポよく進んでいる。
やはり昨日の準決勝戦で快勝したこちらのチームは、
レベルの高い投球と守備で、相手チームを得点圏にも許さない。
今日の先発はYくんでも、昨日先発だったOくんでもなく、
Tくんなのだが、やはりピッチャーとキャッチャーで意思疎通がしっかりとれているのと、
投球による疲労の蓄積がないため、Tくんものびのびと球を放っている。
相手チームも、昨日優勝候補のS小学校を倒しての勢いは感じられるのだが、
うちのチームの安定感のある守備によって転がる打球は、確実に封殺されていく。
そうこうしているうちに4回まで攻防は進んでいった。
4回になると、それまで好投しているTくんは、マイポジションであるセカンドに、
セカンドを守っていたRくんは、レフトに。
そしてレフトの守備についていたYくんが、マウンドに上がった。
スコアはまだ0対0である。しかし、4回までくると球数制限はよほど打ち込まれるでもなければ
ほぼ最終回、延長でも投げ抜ける。
選手交代も面白いもので、ベンチ選手との交代をしてしまうと、
下がった選手はその試合に戻ることはできなくなるのだが、
別のポジションからの入れ替わりであれば、
そのまま試合に出続けることが出来る。その辺りの戦略も計画通りに進めて、
後は得点のチャンスをうかがおうというわけだ。
Yくんは、昨日も温存できて、今日も3回まで肩を使ってはいないので、
得意の速球をビシビシ投げ込んでいく。
相手チームのバットが球に当たらない。
そうなってくると、守備もリラックスして普段通りの動きをすることが出来るようになる。
そんないいリズムが、歯車が狂うことなく試合を主導しているのが伝わってきた。
そうして迎えた終盤6回、まだまだ元気なこちらのピッチャーに対して、
昨日も延長戦の激闘を戦っていた、相手チームのエースは、
ついに球数制限で交替になってしまう。悔しそうに肩を落とす相手チームの投手にも、
どちらの応援席からも拍手が送られた。
だが、勝敗は無常である。相手チームの投手は、もうそこで予感していただろうとおもうが、
二番手ピッチャーに、こちらのチームの打線は抑えられなかった。
それまで0のスコアが並んでいた試合は、この回一気に5得点で、流れをこちらにもってきて、
その得点で、気持ちの余裕ができたYくんのピッチングは、ますます速さと正確さが上がり、
そのまま5対0で最終回。最後のバッターもショートゴロに打ち取って、
Yくんたちのチームは完勝で、この大会の第一回の優勝をつかみ取ったのだった。
応援は終始盛り上がり、特に6回の集中打のときには大盛り上がりで声を出した。
試合後少し喉が枯れるほどに声を出したもの最高な気分だった。
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