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カウントダウンノートと鬼編集長(前)

卒業に向けて何をする。その取り組みの中で、

大体の人が経験したであろうものの中に、カウントダウンがあるだろう。

カウントダウン日めくりカレンダー、カウントダウンポスターなど、

主に掲示物で子ども達と取り組みやすいカウントダウンは、

卒業間近で、二月に入る頃には、実際にしている学級も少なくない。

昨日まで綴った【桜の雨で卒業を】送り出した、6の1の子たちが、

自分は予想だにしなかった、彼らからのサプライズの中に、

僕へのカウントダウンノートがあった。

これは実は、この子達が3学期の内の40日を使って、

つまり8割がたの時間を使って、取り組んできた、

僕からこのクラスに贈った、もう一つの卒業のプレゼントだった。

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CampasノートのB4判40枚ノートを配ったのは、

まさに明日から残り40日になる、そんな一月の半ば。

「みんなの卒業まで、残りが40日になってきました。」

ノートを配りながら、話し始める。

「そこで今日から、毎日このノートを書いてもらおうと思います。」

「でっか、このノートなんかでかいね。」

「うん、普段授業で使っているのよりだいぶ大きいと思うよ。」

子ども達のつぶやきに応答しながら、説明を続けていく。

「このノートは、40枚80ページあります。で、このノートを、カウントダウンノートとして書いてもらおうというわけです。」

おおー、なんだか卒業っぽいね。そんな雰囲気が出てきたのを確認し、

説明をしていった。

「では、何で、みんなに一冊あるのかというと。

 このノート、毎日見開き2ページで順番に友達に書いてもらって、

 完成させていく、そういうカウントダウンノートです。

 一人が一日見開き1ページずつ埋めていき、うちのクラスは36人。

 自分からみんなへの紹介も入れて、全員分が埋まった時が、

 卒業まで残りあと4日になります。一蹴した残り4日が金曜日。

 その4日をおうちの人に書いてもらって残り3日。

 あと3日は、クラスの中で二回目を書いてもらいたいもの同士で、

 交換で書いてもらって卒業式の前の日に残り1日になり、

 当日で完成になるのがこのノートになります。」

真剣に説明を聞いてくれる子どもたち、

「なんで、みんなでみんなのノートをという風にしたかというと、

 このカウントダウンノートを、先生は以前ある6年生を、

 3学期だけ受け持った時にしてみたのだけれど、その時のノートは、

 クラスで3冊を完成させる。というものだったのね。

 ところがそのカウントダウンノートを、卒業の時には欲しいという子が、

 沢山出てね、結局コピーを渡してあげたのだけど、

 何とも申し訳ない気持ちになった経験があるのよ。

 今は40日前で、毎日の宿題にカウントダウンノートが増えるのが、

 億劫だなと思っている人もいるかもしれないけれど、

 今回は、みんなに、みんなのカウントダウンノートを渡してあげたい。

 そんな気持ちでこのノートを書いていってもらいたいと思っているよ。」

まっさらなノートを机の上において、

子ども達は、静かに耳を傾けて、頷いてくれていた。



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