できることをやろうと動く気持ち
電話が鳴った、出てみると、昨年受け持ったU君だった。
「先生こんにちわ、今日ですね、3月11日じゃないですか。それで、去年先生が教えてくれた、検索募金のことを教えてほしくて電話しました。」
毎年3月11日、僕は子ども達と東日本大震災について学習する。
1月17日の阪神淡路大震災のときも2時間続きで学習するが、
3月11日は、1時間目から4時間目まで震災について、防災について、
子どもと一緒に資料を見て、感想を伝えあって、学習する。
昨年度、コロナ禍の中一気に進んだ【児童一人一台にタブレット端末】。
これによって、より一層学びも深めていきやすくなった中で、
YAHOO検索が3月11日に、「3.11」と検索をすると、
1検索当たり10円募金を刷る取り組みをしていることを紹介した。
これまではそんな検索での募金ができる事を紹介するとき、
お家でやってごらんという伝え方だったが、
昨年度は、全員がタブレット端末を持っている状態なので、
一人一人で、今検索してごらん。という紹介の仕方で、
子ども達は、ネットの中に記録として残る3.11の映像や談話を、
自分の関心を持つものから順にみていき、震災の現状に触れたり、
防災や減災のために何をすることが大切か、自分には何ができるかなどを、
調べて、自分で想いを深めていく。
「自分でできる範囲でも、やれることはあるんだよ。」
そう言うと、子ども達はより関心をもって学んでいく一日になっていく。
そんな経験を一年前にしたU君。検索について覚えてくれていたようで、
「今家に帰ってきたんですけど、去年ととろん先生と一緒に募金した方法をちゃんと覚えていなくて自信がなかったので、電話しました。」
電話の向こうでU君が、屈託のない笑顔で話している様子が頭に浮かんだ。
「そっか、覚えてくれていたんだね。去年のこと。嬉しいよ。」
「当たり前じゃないですか。で、先生。検索はヤフーキッズでも大丈夫なんですかね。」
携帯電話をスピーカーにして、自宅のパソコンで確認をして伝える。
「うん、ヤフーキッズでも大丈夫みたい。3.11で検索してみて。」
「はい・・・これでいいのかな。・・・・・・お!できた!・・・・出てきました。募金もできたみたいです。」
嬉しそうに伝えてくれるU君、続けて話をしてくれる。
「これで今日は、夜お父さんと、お母さんと、お兄ちゃんと、妹の携帯からも検索できます。よかった。」
まるで、自分に起こった事件を解決したかのようにほっとした声で、
U君が話してくれるのを聞きながら、
こうして忘れないでいてくれる子がいることが、
どんなに素敵な事だろうと思わされた。
U君に、今年からはLINEでも同じように検索募金を行っているから、
一人2検索で20円募金ができるよ、と、伝えると、
「それはいいですね!そっちもやってみます。」
と、明るい声で応えてくれた。U君が、覚えてくれていて、
そして今年もやれることをやろうという想いが温かかった。
U君との電話を終えて、SNSを見てみると、
U君を受け持った時より3年前に受け持ったととろん学級の教え子たちが、
3.11検索やってみようと、リールやストーリーで上げていた。
子ども達の、真っ直ぐな温かさに、思わず「ありがとう。」とつぶやいた。
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