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喧嘩も最後までとことん(4)

「まずは、顔が見れてよかった。もう土日挟んだら4日も顔見てないから。で、その上でだけど、何で学校来なかったん?」

「…行っても、一人で全部しなきゃいけないなんてできるわけないし、行ってものけ者にされるだろうし、だから行けなかった。」

「それはまず、一人で全部できるって言ったのはあんちゃんやろ。もちろん先生はそうさせるつもりでいたけどね。でもやりもしないで出来るわけないはないやろ。あれだけできると言っておいて。」

「無茶なこと言ったって、後で気付いたから…。」

ううう…とあんちゃんは泣きながら訴える。

「それとね、これはあんちゃんと先生の喧嘩でしょ。仲良しさんクラスのみんながそれであんちゃんをのけ者になんかするわけないだろう。それはみんなに失礼だよ。」

「だって、先生に反抗して一人でやっていくんだったら、みんなも話しかけなくなるやん。」

「そう思ったなら、なんであんな風に言ったん。木曜日にS先生にちゃんと謝りなさいと言ったときに、謝ってればよかった話やないん?」

「あの時は頭に血が上ってたから無理だっ・・・」

言葉を言いきる前に、うわーん、と泣くあんちゃん。

「わかった、じゃあ明日は頭に血が上った時にどうしたら大失敗をしないかもみんなで勉強しよう。そして、先生もごめん。」

僕は泣いているあんちゃんの目をじっと見て、謝った。

「先生も、あんちゃんがむきになっているのを、一緒になってむきになって、学校に行きたくなくさせた。学校を楽しくしないといけない仕事なのに。本当にごめん。」

その言葉を聞いて安心したのか、あんちゃんも泣きながら

「先生、ぼくも、ぼくも、ごめんなさい。」

と、ごめんなさいを言ってくれた。

「じゃあ、、、仲直り。もうこれからは二度と喧嘩をしないようにしっかりと握手。」

そう言ってあんちゃんの手を握ると、あんちゃんもしっかり握り返してきた。

あんちゃんと仲直りできた後、改めて僕はお母さんに何度もお詫びをした。

あんちゃんはすっかりにっこり顔で、

「先生は僕よりお母さんに謝ってるね。」

と言ってきたので、

「当たり前でしょ。二人の喧嘩で一番心を痛めさせてしまったのはお母さんなんだから。あんちゃんも謝りなさいよ。」

「えっ!ぼくも?!」

「そうだよ、あんちゃん。謝っとき、謝っとき。」

あゆ先生が笑顔であんちゃんに声をかける。その声を聞いてあんちゃん、

「お母さん、ごめんね、心配かけて。」

お母さんは、ほっとした顔であんちゃんをの頭をなでながら、

「こんなに本気でけんかして仲直りに来てくれる先生はいないよ、あんちゃん。よかったね。」

と話しかけてくれた。お母さんの気持ちを改めてありがたく感じながら、

僕とあゆ先生は、「明日は学校で待ってます。」

と言って、あんちゃんの家を後にした。

こうして、僕とあんちゃんに突如巻き起こった大喧嘩は、

幕引きとなったのだった。


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