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大いに討論できたなら(1)

6年生の国語の学習の単元に『学級討論会をしよう』というものがある。

あるテーマについて、自分の考えをまとめて、述べる。

他者からの質問に答える。そういった内容を学ぶ単元なのだが、

この学習が面白い。教師視点で見ていてもそうだし、

実際に討論に臨む子どもたちの様子も性格に合わせて、

各々が持ち味を発揮しながら、協力したり、競い合ったりを、

楽しんでいるのが見て取れることが多いのだ。

討論というと、何だかバチバチの論戦や、

論破してやると意気込むようなイメージしがちだが、

そのテーマについて、賛成の立場、反対の立場どちらにせよ、

自分がどういう理由でその立場なのか、

そのためにどんな説得力のある資料などが提示できるか、

そして、向き合っている反対側の立場の人たちの意見を、

しっかり聞くことが出来ているかなど、討論の中には、

国語を学ぶ中で育むべき様々な力を伸ばすことが出来る内容だ。

普段から、関心を持つアンテナがとても公判能な、6の4の子どもたちは、

今回どんな討論会を展開するのだろうか。

「・・・ということで、学級討論会をやってみるからね。これはもう、ささっと決め事なので、先生が進行していきます。ではなくて、全部みんなでやってみる学習です。進行もタイムキーパーもジャッジも。なので、テーマは3つほど設けます。テーマごとに役割を変えて、全員が一度は、賛成の立場か反対の立場で『討論を実際にする』役をしてみることが一つのめあてです。また、進行する司会チームや、討論の様子を視聴して審査員として参加するときにも、それぞれの役割を果たすために、どんな準備が必要かを、チームで打ち合わせすることもやってもらいます。」

おおおお、と子どもたちはもうすでに前のめり。

「でね、みんなの討論会に対する反応次第では、ここでだけの学習でなくて、二学期、三学期も討論会をやってみようと思っています。なので、できるだけ協力して、楽しく真剣に討論会を作っていきましょう。」

そんな話をした後、子ども達にどんなテーマで話したいか、を尋ねていく。

と、こんな声が上がった。

「教科書に載っている、学級文庫にマンガは置いても良いかどうか、これやってみたいです。」

「置いたらダメに決まってるやん。」

「でも図書室には、まんがあるし。」

「6の4の学級文庫は沢山あるけど、確かにマンガもあるといいかも。」

と子どもたちは、もう討論のような会話を始めている。

「うん、身近な事からテーマを考えるのはいいね。じゃあ学級文庫にマンガは置いても良いかどうか。これは採用しよう。」

そうして、討論会の一つのテーマに、

「学級文庫にマンガを置いても良いかどうか。」

は決まったのだった。


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