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不登校先生 (1)

・・・・まもなく、貨物列車が通過します

      黄色い線の内側にお入りください・・・・

まもなく、貨物列車が通過します・・・・・

    ・・・黄色い線の内側にお入りください・・・

沈み始めた夕焼けの色が、貨物列車の赤色と重なる美しさで、

「もう思い残すこともないな、この駅に」

そんな思いが湧いてきて、体がどう動いていたか、覚えていない。

赤が紅になって、目の前一面が真っ赤になりかけた時

バリッ!ドサドサッ!

肩に掛けていた、作品バックの肩紐がちぎれて、

荷物が地面に散らばった。

・・・・今、何をしようとした?

  ・・・・今、自分の体は何をしようとした?

   ・・・・・今、貨物列車に近づいていっていた?

     ・・・・今、僕は、

          ホームに飛び込もうとしていたのか。

荷物が散らばるのと同時に、ごぉっとと貨物列車が通過して、

肩紐がちぎれる力に引っ張られるように、

しりもちをついて座り込んだ僕は、

はっと我に返り、正気に引き戻されて、

手が、足が震えているの事に気付いた。

ああ、

今、僕は、自ら命を絶とうとしてしまっていたんだ。

そこまで、心がやられていたんだな。

春の真っ盛りの4月半ば、

新年度が始まったばかりの、週末の帰り道、

一人ぼっちの駅のホームで

僕は、不登校先生になった。



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