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馬事東風 下の巻

末脚ためて


競馬ファンの皆様すみません。
シリーズタイトルの『馬事東風』からして造語なのですが、
今回はそれに輪をかけ、サブタイトルまでも造語です。

末脚とは、 ゴール前における馬の伸び足 という意味です。
 特に、ゴール手前で鋭く伸びる馬を一般的には”末脚の切れる”馬
と言うそうです。

一方でレースの途中でペースを落としてスタミナを温存することは
脚をためる」という言葉になるらしい。

でも『脚ためて』とか『脚をためて』だと
なんとなく語感がさびしいですし、

末脚”という”末広がり”っぽい縁起の良さげな言葉と
ためる”という勤勉さを彷彿とさせる素敵な言葉を組合せた響きが
絶妙なんです。

最初は乗馬用品を段階的に揃えていくことで
モチベーションを保ちつつ、良いスタートが切れたとしても、
乗馬の道は長丁場
スランプあり、新型コロナの襲来も!
途中に低迷する時期はあったとしても
最後までがんばって、気持ち良くゴールラインを越えたいと思うのです。

4年と8カ月間三木ホーストレックでの乗馬教室も、
11月にどうやら無事卒業を迎えられそうです。
ホッとしているというのが正直なところ。
そんな万感の想いを込めて、書いたら2万文字を超えてしまいました。

また出た!イケメン馬

乗馬日記というか、年記のようなものですので、
みなさん適当に読み飛ばしてくださいね


Road to canter (もっと真っ当なモチベーション)

中の巻で紹介した、乗馬グッズを揃えていくという購買欲による
モチベーション維持は有効ではありますが、
どうしても効果が長続きしません。

やはり真っ当なモチベーション自らの進歩を感じることです。
だがしかし、進歩感じにくい乗馬のモチベーションを維持するための
手段が進歩感じる事とは、なんという矛盾

大丈夫!進歩を感じる手段は”進歩そのもの”ではなく、
これまでも何度か言及してきた、進歩の象徴であるクラス進級です。

クラス進級インストラクターの判断に委ねられ、
今一つ、クリアー条件がはっきりしません。

そもそも条件がわかったとしても
確実にクリアできているかどうか自覚もしにくいので、
自分がそのクラスにおいてどのくらいのレベルにあるのかは
なかなか予想が難しい。

それはある日、インストラクターの
『次回から、クラス上がりましょうか。』という言葉で
晴天の霹靂のようにやってくるのです。

クラスアップか!

それだけに進級叶った時は、かなりのモチベーションアップ

初めての進級ビギナーAからビギナーBへと地味に名前が変わります。

名の示す通り、制度的には同じビギナークラス内での
レベルアップなのですが、これがなかなか大変。

私の場合、9回の騎乗(9鞍といいます)で、調馬柵が外れ、
(ポコぞうはなんと5鞍です。小6のバランス感覚すっげー)
次の10鞍目からも使って積極的に発進の操作をするようになり、
ナントナク一人立ちの気配?。

進歩のイメージ

その頃に『もう少し慣れてきたら、ビギナーBですよ~
その前に安全講習を受けておいてください、
都合の良い時でいいですからね。』
とインストラクターからのお言葉が!

すわ、一大事!進級が近いぞ、安全第一!とすぐに安全講習を受けます。
安全講習の内容は中の巻で書いたような、馬の性質やら落馬やら
危険性が満ち満ちていて、”不安全講習”とまではいいませんが
不安講習とでも言いたくなるようなものなのですが、
とにかく講習も受け終わり準備万端

クラスアップの告知を、今か今かと待つものの、
その後しばらく音沙汰なし

結局その2カ月くらい後にやっと進級できたので
『ホントに安全講習は都合の良い時でよかったんだな』
と思いつつ、その2カ月間が実際の時間以上に長く感じました。

ビギナーBクラスでは
レッスン方法が個別指導中心からグループレッスン部班)になるため、
名前の変化以上に進歩した感があります。

それから約3か月後、意外にスムーズにやってきました、2度目の進級

スタートクラス  キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
正真正銘のクラスアップです。

ただしスタートクラスの初期段階である
スタート(速歩:はやあし)クラスでは、
ビギナーBとの違いがあまりはっきりしていません。

違いといえば
・より積極的に操作して緩急をつけたり正確に進路を決めたるすること。
・軽速歩での手前合わせをちらほら指摘されはじめること。
・ずっとお尻を鞍に付ける”正反撞速歩”をやり始めること
くらいでしょうか。

それからこの頃はいろいろな馬に乗ることも目標だったのか
ビギナークラスで乗った4頭も含めて、
43鞍で12頭の馬に乗りました。


そして究極の目標、なんといっても
憧れのパカランパカラン駈歩:かけあし)への進級が宣告されると、
『我もとうとうここまで来たか!』と感無量
といっても、これはあくまで同じスタートクラスの中で
駈歩に挑戦する準備が整いました”認定なんです。

そしてここからが長く遠き、乗馬の道程。

駈歩が英語のギャロップなのかと思っていたのですが、
ギャロップとは駈歩よりも早い馬の全力疾走を示す襲歩(しゅうほ)
のことであり

駈歩はキャンターというのだそうです。

”ギャロップ”というと、
ガンダムのあのランバ・ラルハモンさん黄色いスイートホーム
ザブングルのケロちゃんみたいなのをイメージして、
どこかひょうきん且つ軽やかなイメージがあったのですが、
あの競馬でのドドドドドーという迫力満点の真剣走りだったとは!

ほのぼのメカトリオ

しかし、これから挑むのがキャンターとはいえ、
これまでやってきた速歩とはリズムも速度も全然違っていて
未知への挑戦であることに変わりなし!

初めての駈足輪乗りで意外に大きい遠心力に耐え切れず、
ずるりと外側にスベリ落ちてしまった体験(要は落馬)もあり、
正直言って駈足は何回乗っても、ちょっと怖いです。

緊張で固くなるトトムの様子に対してインストラクターから
『駈歩といっても、常歩や速歩と変わりませんから、
特別なイベントと思わなくていいんですよ~』
と言われたことがあります。

練習を重ねて、ある程度駈歩が出来るようになった現在では
”確かにその通り”、というか ”そうあるべき”だとわかるのですが、
心理的には今もってそういうわけにはいかず、
毎回三木ホースランドパークに向かうときには、
両側に居並ぶ衛兵がファンファーレを鳴らす中、
赤絨毯の回廊を通って、
キャンター王への謁見に参上するかの気分なのです。

駈歩の心象風景


ホーストレックに到着し、その日に乗る馬に向き合って
馬装を始めてしまえば、肝も座りエイヤ!とレッスンに臨みます。

駈歩クラスのレッスンは、
最初に軽速歩や正反撞速歩で体を慣らしてから
だいたい最後の10分間が駈歩。

何とか駈歩が出来たり、うまく出来なかったりする時もあるけれど、
無事終了時間を迎えると、インストラクターの
『じゃあ、手綱を緩めて首筋愛撫してください』という声が掛かり、
ホッとしつつ、常歩で騎乗したまま馬の首筋ヨシヨシ

停止してから下馬し、毎回 自分の足が地面に着いた時に思うことは
『今日も生き延びることが出来たか!』
まるで戦場での傭兵のよう。 


その上のホップクラスの方は稀に見ますが、
週1回くらいの練習では到底そこまで進級できる気がしませんし、
さらにその上のステップクラスは見た事も無い。何をやるのだろう?

ホップ、ステップと来れば当然あるべきジャンプクラス
三木ホーストレックにはクラスそのものがないのですが
もうどうやっても3年間では到達しえない領域なのでしょう。


乗馬技術について少々

前回、”如何に乗馬が上達したかについては書きようがない”
と言ったのですが、
現在認識している範囲での乗馬技術について
ビックリしたことや疑問に思うことなど、少しだけ触れたいと思います。

乗馬姿勢 in Different Dimension
乗馬もスポーツの一種であることは、
その優雅な見た目に反して相当な体力を使う事から明らかです。

ただし一般的なスポーツとはかなり体の使い方が異なります。

スポーツにおける一般的な姿勢はやはり前傾姿勢です。
言い換えると猫背気味。
猫背というと響きが悪いですが、
得物を狙うネコ科の動物が力をためた姿勢といったら
カッコ良いでしょう?

そして俊敏な動きをするためのつま先荷重です。

ところで青と赤の使い方!どっちがいい感じ?

逆にNG棒立
ボクシングであれば足を止めて、棒立ちになろうものなら、
相手のパンチを喰らうことは必至!
いや相手のパンチを喰らったからこそ、棒立ちになっているとも言えます。


ところが乗馬の正しい姿勢は、これとは正反対
背筋を伸ばして胸をそらせ、頭は体の真上
お尻から頭頂までが一直線です。

下半身はと言うと、
鞍に座って鐙に足を掛けるので当然が曲がるのですが、
”脚を真っすぐ下におろすつもりだったのに、
そこに鐙があったために偶然足がのっかっちゃった”
というくらいの気持ちで太腿や膝は脱力、脱力
そして、やはりお尻一直線

そして鐙には足指の付け根を乗せているにもかかわらず
まるでそこが地面であるかのように足裏は水平


ネット画像で調べた範囲で、もっともテキトーな絵柄で、もっとも正しく姿勢が描かれた図と思う

脚を開き、膝を軽く曲げていること以外は、
棒立ちと言えなくもない、
ごく自然で緊張感が微塵も感じられない姿勢です。
(上の外野手の×の姿勢と比べて見てください)

ただしこれが”動いている馬の上でなければ”、ということで。

駈歩でもこの姿勢を保つというのが、基本であり難しいところです。

無表情でこれが完璧に出来るって、なんか怖い。


この事を以って、”駈歩も常歩や速歩と同じ”と言われるのでしょうが、
止まっている状態激しく動いている状態という条件が異なる中で
同じ姿勢を保つというのは、もはや”同じ”とは言えない、
非常に異次元な姿勢なのです。

また鞍への座り方も非常に繊細で、
如何にも座りやすそうな形状のなのに、
”イスのように座ってはいけない”とよく注意されます。

そしていつもは言われないのですが、1回だけ、
ロードコーンに座骨を立てて座っているくらいの気持ちで
バランスを保てないといけない”と言われました。
当然、そこまでの境地には到底届いておりません。

乗馬の達人には鞍がこのように見えるらしい

それにしても動くロードコーンの上で常に棒立ち姿勢を保つ乗馬とは
恐ろしく深い世界です。

それから、下半身を安定させるための馬体のホールドですが、
これもオートバイの基本である二―グリップと大きく違います。
二―グリップは言葉通り、でバイクのタンクあたりを挟むこと。
下の引用にもある通り、ライダーの基本姿勢です。

ライディングテクニックにもいろいろありますが、
一番基本となるのがニーグリップです。
ライダーであればニーグリップという言葉は良く聞きますよね。
そもそもニーグリップとは何か?
バイクの車体を人間の足で押さえて、
バイクと人間が一体になる事です。
太もも、膝、かかとで押さえます。
バイクと人間が一体なれば、安定します。
逆に言えばニーグリップをしっかりしていないと、
バランス崩しやすくなり、大変危険です。

石川県能美市のバイクショップMURAKAMI MOTORSさんのHPより


天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ、タンクを挟めと俺を呼ぶ。
ライダーはライダーでもストロンガーさんが言ってたな。

ところが乗馬の場合は馬体を挟むのはふくらはぎからくるぶし

に力が入ると、馬に指示を伝えるために重要な役目をする
膝から下の動きが妨げられるし、
馬にとっても動きを阻害されるため
むしろ股関節を開いて、膝を馬体から離すくらいの気持ちです。

動くものに乗るのに、体が接している部分がお尻ふくらはぎから下だけ
というのはなんとも心許ない。

心許なさでいうとこのくらいかも

更にしっかりホールドしたり、推進指示を出すために
脚を左右から強く締め付けようとすると、
どうしても太腿や膝に余計な力が入って、
”膝が曲がって踵が上がる”という騎乗姿勢の乱れに繋がります。

人間は日常的な動作をする時に無意識に筋肉が連動して動くので
便利なのですが、乗馬のような非日常的な動きをしようとすれば、
脚の上下方向には脱力して、閉じる方向だけ力を入れて
と言われても、背中の筋肉で福笑いの顔を揃えるようなものなのである。

背中の筋肉どころか服の上から顔を揃えた福笑いの達人!




軽速歩Mystery of Physics 軽軽速歩の手前 solved by super theory
このテーマを挙げてみたものの、実は”手前”というのが何なのか
あまりわかっていないのです。

馬に乗って右回り(時計回り)にグルグル円を描く時を
右手前”での輪乗りといい、逆を”左手前”といいますが、
いつも左手前から練習を始めて、手前を変えて
次に右手前という順番なので
なんとなく左手前正回転右手前逆回転の感覚です。

これとは別に軽速歩の”手前を合わせる”というのは、
馬の動き騎乗者の動きを合わせることで、
これが輪乗りの回転方向(手前)とも関係しているといえば、
当たらずしも遠からず。

余談ですが、”当たらずしも遠からず
の代わりに使える言葉を思いつきました。

千葉東京ディズニーランドよりも神奈川のつもりの横浜
この関西版もあり。
三木神戸ネスタリゾートよりも兵庫のつもりの神戸
特に意味はありませんが…

余談ついでで今更言うのもなんですが、『馬事東風』のシリーズは
あまり乗馬のことをわからずに、なんとなく乗馬をやっている人が
乗馬のことについて自由に(無責任にとも言う)
書くことに意義があるのです。

速歩というのは馬が2拍子で走っている状態
具体的には右前脚左後脚が同時に前に出る時と
左前脚右後脚が同時に前み出る時が交互に繰り返され、
そのたびに馬の背中も上下揺れます。

騎乗者は馬の背中の揺れに合わせた動きをする必要があるのですが、
馬の上下揺れのリズムの2回に1回立ち上がるようにするのが軽速歩です。

何故わざわざ馬の上で立つ必要があるかというと、
鞍に座りっぱなしだとどうなるか、考えれてみればわかるはす。

馬の上で立つといっても、こうではない!



いや、普通は鞍の上の人間の気持ちはなかなかわからないでしょうから、
自分の頭馬の鞍と考えて、頭の上に手頃な鞄か何か
落としてもトトムに苦情が来そうにないもの)を載せてください。
そのあとジャンプすると、頭に載せた鞄はどうなるでしょうか?

いやいや、実際にやってみる前にまずは理論的に答えを求めてみよう。

ポコぞうの中間試験の勉強を一緒にしたのが役だった!

なるほどなるほど、ということはジャンプしている間中
鞄(今回はリュックで実験)は頭の上
おとなしく載っかっているということですね。

では早速実際にやって確認してみましょう。
じゃーんぷ。ぽす

あれ?なんか鞄が頭頂部から一瞬離れてぽすって落ちてきました。
おかしいな?もう一度やってもどうやら結果は同じようです。

何故だ? 運動方程式が間違っているはずがない。
そうか! 鞄の中物が移動したり、鞄自体が変形することで
頭から受けた力を吸収して、後からその力を開放しているのでは?

鞄の中の物を出すのもメンドクサイので、何か硬いブロック状
外部から受けた力を微塵も吸収しそうにない物体で実験。

図鑑スマホメモ用紙の束
う~ん、いずれも結果は同じ。頭の上で一瞬離れてしまいます。

まさか、頭に載せる物を、外力を吸収しないものから選んだとしても、
自分の髪の毛バネのように力を蓄えているのでは?
さすがにスキンヘッドにして実験をするわけにも参りませんし、
考えてみると、55歳にしてもなお、硬く密度も高いトトムの頭髪と言えど
分厚い図鑑を2~3センチも跳ね上げる弾力があるとは到底思えない。

これはなんとも物理学界のミステリー
ニュートンさんに報告せねば!

ゴホン!ゴホン! え~。 
いずれにしても、実験の結果から速歩する馬の上に乗りっぱなし
(棒立ちというか棒座り)では(理論計算に反して)
騎乗者は鞍の上でピョコピョコ飛び跳ねてしまうことになり、
なかなか落ち着かない
(馬からの突き上げをうまく吸収するような体の使い方をして
ずっと鞍に座っているのが正反撞速歩なのですが、
なかなか難しいので初心者向けではありません。)

そこで、馬の同じタイミングで上下揺れできないのならば、
騎乗者は馬の上下動周期の1/2で上下動すれば良いのではないか!
というのが軽速歩なのです。

簡単に言うと、馬の鞍の上で馬といっしょに上昇し、
馬の背中が上昇から下降に変わる瞬間、
(しつこいようですが、なぜか物理の運動方程式に反して)
鞍からお尻が離れてしまうついでに、
『着かぬなら、着くまで待とう、尻と鞍』と家康よろしく雄叫びをあげつつ
さらに鐙の上に立ち上がるのです。
(大げさすぎました、少し鞍から腰を上げるくらいです。
当然雄叫びはあげません。)

こうして自分自身の上下の動きを意識して大きくすることで、
上下動の周期を長くして、
馬の2回目の下降時にふんわり着座するわけです。

たぶんこんな感じ

ところで振り子バネでつながったなどの揺れは『単振動』といって
揺れ幅が大きくなっても、振動の周期は一定であることは
ガリレオ・ガリレイ以降の古今東西老若男女の皆様方はご存じのハズ。

これはバネにしても振り子にしても、自然状態である中立位置から
離れれば離れるほど、
もとの位置に戻そうとする復元力が大きくなるためです。

こういう図があるとなんとなく落ち着く派

馬の上の騎乗者の上下動で、下降の力重力であり、
人の位置に寄らず一定であるため、
揺れ幅が大きくなれば、周期も大きくなるのです。

おそらく軽速歩を編み出した人は
ガリレオ・ガリレイ、アイザック・ニュートンを凌ぐ
物理学者であったに違いない。

かなり話が物理学寄りに行ってしまいましたが、
ある程度語って満足しましたので、
物理学に未練を残しながらも乗馬の話に戻りましょう。

手前を合わせる”とは、例えば左手前で回っている時に
外側である右側の馬の前脚前に出るのと同時に
騎乗者立ち上がるということです。
(なぜか?ということは軽速歩でネット検索すればいくらでも出てくるので
すっぱり省略)

この”同時に”というのがポイントです。

手前が(左手前の時:馬の左脚が前に出る時に立つor右脚が後ろに下がる時に立つ or 右脚が前に出る時に座る)だと、すぐに
手前が逆ですよ』とインストラクターに指摘されるのですが、
私が他の人が騎乗しているのを見ても、手前が合っているのか、
逆なのか、なかなかわからないのです。

馬の脚の動きと人間の動きを同時に見れば済むことだと
思うかもしれませんが、
馬は黒っぽいのが多いし動きも早いので、少し遠目からだと
あ、今前に出たの右脚?左脚? とわかりにくい。
見極めるためにはかなり集中してガン見する必要があります。

こうして馬の前脚の動きに集中していると、
その馬に跨っている人の動きは読み取り範囲外であり、
今度は人の動きを追うためには集中範囲を少し上にずらす必要があるため、この二つの事象が同時になのかどうか判断するのがなかなか難しいのです。

これが自分が乗っている時になると、立つ、座るという
自分自身の運動状態に対する体感
眼下にチラリと見える馬の前脚(というか胸の筋肉あたり)の動きの
同時性を測る物差しが非常にぼんやりとしており、殊更難しいわけです。

そもそも一般的な事象について、
それが”同時である”ことを測るにはどのようにすれば良いでしょうか?
一つは目で見る事ですが、
早い動きを捉えにくければ写真判定という手もあります。

また時計を使ってそのカウント表示を、
後で突き合わせることでも可能でしょう。

それが、通常の生活範囲であればですが。

ところが宇宙における恒星間のように非常に遠く離れた場所同士の
同時”を判断することはとても大変です。
同時性を判断するための重要な基準であるところの目で見た光景
形作るのは””ですが、
恒星間という距離のスケールでは光の速度といえど、非常に遅く
光そのものの届くタイミングが対象との距離によって異なるのですから。

それぞれの対象からの距離が違えば、同時に起こった事象でも
見た目ではタイミングが異なるように見えますし、
逆に目では同時の様に見えても、
実際に発生したタイミングは同じとはかぎりません。

既に爆発して消失した星が何百年も前に出した光が
地球に届いているとしても
今その星が存在するのかあるいは存在しないのか知り様が無いのですから、
その星に対して地球の””という定義をすること自体に意味がありません。

また時計を使う場合はどうでしょうか?
何年何月何日何時何分何秒という標準的な暦は宇宙ではありませんし、
また決めようがないので、
時計というよりも経過時間を刻むストップウォッチのようなものです。

別々の場所で事象が発生した瞬間にカウントを開始
その時計を観測者の前まで移動させて、
直接カウントしている時間を比べられるようにするわけです。

しかしながら相対性理論によると、
物体の移動速度や存在する場の重力の大きさによって
時間の流れる速さは変わりますので、
時計を目の前に二つ並べるように移動させた場合でも、
時計の移動速度経路によって、
それぞれの時計には違う時間が流れており
もはや二つの時計の同時性を評価することはできないのです。

そもそも宇宙全体にあまねく同じ時間が流れているわけではないのです。

イスカンダルは14万8千光年地球から離れている。
地球滅亡まであと〇〇日はどうやって測った時間なのだろう?


では”同時性の判断が困難になるほど離れている”ということになる
二つの対象間の距離というのはどのくらいでしょうか?
やはり最低でも1天文単位
(”1天文単位”は地球から太陽までの距離で約1億5千万km
 実は我々が見ている太陽は8分間も前の姿である。)

考えるに、それは絶対的距離が定まっているわけではなく、
その同時性を判断する手段処理速度によって決まることになるのでは
ないでしょうか?

単純に光の届く時間差だけで判断できるのであれば、
地上の目の届く範囲内ならば、光の届く時間の差は、
ごく僅かな誤差として無視できるでしょう。
しかし光による情報を目という感覚器官で受けるのであれば、
その後のでの処理速度も考えなくてはなりません。

0.3秒で判断できる場合でも、対象が素早く動くものであれば
その0.3秒の間に2つ目の確認対象の状態は
すっかり変わってしまい、2つの対象が同時刻
どのような状態であったのか判断は難しいのです。

したがってこの場合、同時性を判断できる対象間の距離というのは
視野の中でも意識を集中できるごく一部も範囲に収まるくらいの距離
ということになります。
(おそらく3m先のものであれば、30㎝以内の距離くらい)

自分の手前を確認する場合には、体感での自分の動作状態の判断や
動きながらの視界が分析のための入力データになりますので、
脳での処理は更に大変そうです。
(実際のところゼニファーは現在手前合わせで大苦戦中

ではどうすれば手前が合わせられるかと言うと、
なんとなく”というのが重要なポイント

なんとなくというとずいぶんいい加減に聞こえるのですが
考えすぎないということです。

自分が立つタイミングと馬の右脚が前に出るタイミングが
同時であることを瞬間的に判断するなどという離れ業は
すっぱりとあきらめるべし。

余裕のある座ったタイミングで、チラっと下を見て
馬の右脚が後ろに下がってきているのが見えたら
きっと、自分が立つ頃にはその脚は前に出て来ているはずと
考えるわけです。

これとて座ったタイミングというのが鞍にお尻を付ける前なのか
お尻が付いた瞬間なのか、
あるいはこれからまた鞍から離れようとしているところなのか
自分事ながらよくわかっていません。

ただ、”手前を合わせてみよう”と意識をしつつ、
なんとか余裕のあるタイミングでチラっと下を見て
ある視界が見えた時に、『手前が合ってます』と言われるのか
あるいは『手前逆です』と言われるのか注意しておいて、
手前合ってます』と言われた視界ができるだけ高い確率
見えるように繰り返し練習するしかないのです。

ずっと前、まだ会社の寮に住んでいた頃、
何故か同期の連中と岐阜へ旅行したことがありました。
なぜ岐阜なのか?
いや確か静岡・神奈川・山梨方面へ行った帰りに
岐阜に立ち寄ったのだと思いますが、
もともと何が目的の旅行だっただろうか?

あぁ、そうだよ。確か箱根フェラーリ美術館に行ったのです。
写真で見ると1994年9月24日、入社2年目です。

フェラーリ美術館 今はもう無いのだそうです。



そしてフェラーリ美術館以外に記憶に残っているのが
岐阜の福来博士記念館

福来友吉博士は念写というオカルトチックな事をマジメに研究していた人で
それらの実験に協力した念写能力を持っているとされた女性が
 御船千鶴子さん(リング貞子の母 山村志津子のモデル)
 高橋貞子さん(言わずと知れた貞子その人、山村貞子のモデル)
なのですが、
そもそも福来博士自らがリングの伊熊 助教授のモデルとなっている。

1994年というと『リング』の映画公開はまだですが、
映画の原作である同名小説は1991年初版が発行、
1993年文庫本化されて発行部数を大きく伸ばしたということなので、
きっと当時同期の誰かが、
リング貞子の原点探訪をしようと言い出したのだろう。

ただしここは同じ岐阜県にある福来記念・山本資料館という
別の施設とは違って、記念館は小さな建物(ボロい小屋)で
受付などもなく無人施設
内容はパネル展示のみという、なかなか渋チンな内容にびっくりしながらも
ビデオの画像が流れていなくてよかったと思った記憶あり。

それでも福来博士心霊研究科学的な説明付をしようとした
山本健造博士六次元弁証法説明パネルはなかなか興味深いものでした。

透視念写精神エネルギー物質化以心伝心物質の空化瞬間移動等の現象を、科学的に解明し、その精神エネルギーを自由自在に活用できるようにする宇宙の実相を表す新しい法則というのだから驚きです。

その法則の内容としては
空間と時間の融合境に意識(志向)が融けこめばエネルギーとなり、
反対にエネルギーが融けこめば意識があらわれる。』
という何ともかんとも超理論です。

しかし時間と空間の情報である物体の運動や体にかかる力(エネルギー)を
受動的捉えるだけでは出来なかった軽速歩の手前合わせが、
うまく乗ろう”という能動的志向が加わる事で
出来るようになるとは、
六次元論のようでなんだか楽しいではないですか?

六次元弁証法(または六次元論)とはこういうことらしい。ふ~ん



駆歩の合図 -- I'm in a mood for cantering

馬に駈歩をさせるのって、どうやると思います?
西部劇を見ていると、靴の後ろに歯車が付いたような形の
拍車で馬のを蹴っていますし、
時代劇ではで馬のお尻をひっぱたいているのをよく見ます。

テレビでみる駈歩アレコレ

でも乗馬では、拍車は使いませんし、もほとんど使いません。

ではどうやるのかというと、馬に送る駈歩の合図があるのです。

その合図というのは、港町の爆撃中に、『こんにちは、お急ぎですか?』
『べつに急いでいませんよ』というようなスパイ107号こと
ミハル・ラトキエが使った合言葉ではありませんし、
トン、トン、ツー、トン、ツー、ツー あいつはまだ5歳だぞ!
と皆を驚かせた、そうすけモールス信号でもありません。
けっこうシンプルなんです。

様々な合図の場面に想う事

輪乗りで常歩をしている時に、騎乗者が外側の足(左手前なら右足)
を少し(靴のサイズの1/2くらい)後ろにずらして
馬体を挟むのが駈歩の合図

でも実際には、これだけではなかなか駈歩してくれません。

してくれる時もありますが、これは駈歩の合図ではなく、だいたいは

ルーチンでレッスンをしていて、そろそろ駈歩する頃だな。
      とか
こわいインストラクターが『駈歩』と叫んでいるな。
      とか、或いは
今日はなんとなく駈歩したい気分だぜー
      などと
馬が考えて勝手にやってくれるのです。

ではどうすれば良いのかというと、
(もう駈歩レッスンを通算92回も受けていながら、)
全然体得できていないのですが、
をずらして挟むのと同時に、手綱操作と騎乗者の姿勢で力をためて、
駈歩行ってみよう~”という馬の気分を増し増しにしてから
ためたエネルギーを一気に解放するのだそうです。

馬の気持ちになると次のような感じなのではないかと思うのですが、
それを瞬間的且つ適切タイミングで繰り出すというのは
考えてもできるものではなく、繰り返し練習あるのみです。

(1) 騎乗者: 左右の違う位置で腹を圧迫する。
(1) 馬: うっわ!なんか左右のバランス悪
 と騎乗者が後ろに引いた足の反対側の脚を前に出したくなる

そのままだとテレテレッと速歩になってしまうので
(2)騎乗者: 自分の上体を反らして、
      後ろに引いた足と同じ側の手綱引きつける
(2) 馬:前に出した脚の方向に顔を向け、前のめりで進もう
   と思っていたのに、何かに思いとどまらされる

(3) 騎乗者:手綱を少し緩める。
(3) 馬: 前へ行きたいのに行けない―という気持ちMAXの時に、
 行っていいよー!と突然の解放。これは行くしかねー
 でドドッと駈歩が始まる。

加えて、
真円を描いて回っている時でも、目の前に壁の角が見えるタイミングだと
馬は壁のない方向体を曲げようという気持ちになるらしく、
このタイミングで前述の合図をすると駈歩しやすくなるのだそうです。

駈歩は3拍子で左右非対称の歩様ですので、
スタートも左右非対称の形でエネルギーをためて、
そのエネルギーを一気に解放することで、駈歩に移行させるものですが、
何より馬を『駈歩したい』という気持ちにさせる動作が
合図になっており
拍車よりも合理的且つ人道的、いや馬道的なのです。

イベント

ここまで書いた様子だと、乗馬レッスンでは、
グルグルグルグル輪乗りをしているだけではないか!
と感じるかもしれません。
実はほとんどそうなのですが、時々特別なイベントもあるので
最後に簡単に紹介したいと思います。

ジムカーナ大会
三木ホーストレック最大冬の祭典!パチパチ👏
いやかな? あれ?だわ。

実は入会して以降、3回開催され、3回とも出場したのですが
1回目 2019年12月15日(寒かった記憶)
2回目 2022年6月26日(暑かった記憶)
3回目 2023年3月26日(桜の記憶)
不定期なのです。

ちなみにジムカーナという言葉でわかるとおり
馬で三角コーンを立てて作ったコースをクリアーして
タイムを競うトライアルレース
参加希望者多数!先着40名のみが出場できる貴重な機会!?

初めての出場の時はこんな感じです。
『あー、トトムさ~ん、ジムカーナ大会の参加枠が
丁度2名分残ってるんですけど、娘さんとご一緒にどうですか?』

インストラクターの”馬さん”に急に声を掛けられました。

私はあまり運動神経が良くはありませんし、
ビギナーBクラスにやっとなったばかりの若輩者が
タイムを競う競技に出るというのも憚られるので、
申し込み控えていたのですが、申し込み期間終了直前
このお誘い。

どうしようかな~、自分、実はあまり人付き合いの
良いほうではないのですが
馬さんに言われると、インストラクターからの圧というよりも
ホーストレックの馬達の代表からのお誘いという印象であり
つい、『それじゃあ申し込みます。』と言ってしまったのです。

種目は常歩(なみあし)速歩の2種目ですが、当然常歩で申し込み。

コースは大会の約1週間前に発表されますが、
だいたい毎回似たようなものとうことで、事前に模擬コースで練習します。

だいたい毎回こんなものです



パイロンスラローム
 入る方向を間違えなければ馬がうまく動いてくれます。

連続巻き乗り
 右回り1周巻き乗りと左周り1周巻き乗りを連続しておこなう
 8の字の連続巻き乗りはスピードが落ちやすい難所です。

つづいて狭路走行
 1.5mくらいの感覚で置かれた2本の棒の間を通るのですがこれは簡単

そしてもう一度短いパイロンスラロームの後に直線のラストスパート

同じ馬が何度も競技できないので、一頭あたり3~4人が乗り
出場馬は10頭程度。

馬が違えば条件はまったく違うので、同じ馬の中で順位を競います。
したがって1位の選手馬の数だけ出ますので、
1位獲得競争率はグッと下がり、密かに闘志を燃やす。

あっと言う間に本番の日
ちなみに三木ホースランドパークの屋内競技場は西日本最大クラス
普段はこの屋内競技場に隣接した屋内練習馬場(競技会の時は次の出場選手がウォームアップで使う控えの間)で練習しており、
競技場を使えるチャンスなどめったにないのです

アリーナのような観戦スタンド(観客は選手とその家族だけですが)
電光掲示板!(選手名紹介もされちゃいます)
立派な設備に否応なく緊張が高まる。

スタート反応良く動き出しました。
スラロームに入っても、方向を間違えず順調にこなしていたと思ったら、
急にピタッと止まってしまい、進めの合図をしてもなかなか動かない。

非常に長く感じたのですが、5秒くらい
どうしたのだ!と焦っているとアナウンスで
ボロ(うんち)をしてしまいました。』
と実況されるのが聞こえる。

スッキリしたのか、再始動後はもう止まることなく動き、
難所の8の字もクリア。

最後のスラロームを終え、直線で精一杯加速!タイムを切り詰める!
そしてゴール

こう書くと手に汗を握る緊迫したレースに見えますが
常歩種目なので、
背筋を伸ばし脚だけピコピコ動かして必死で進めようとする選手を
背中に乗せた馬本人はというと、
トコ、トコ、トコのんびりお散歩の風情で
ちょっとシュールな光景です。

最後まで全力を尽くす!


全レース終わって惜しくも2位(前述ルールにより4人中2位
タイムも僅差で、”ボロがなければ”とも思いますが、
ウンがなかったということで!

ポコぞうはトトムとは別の馬なので
同じ常歩種目でも、競争相手ではなく波風は立たず。
ポコぞうは馬が非常にやる気を出してガンガン進むのを上手に誘導して
好タイムでゴール。
暫定一位ですべての選手の競技が終わるのを待ちます。

しかし最後の選手にほんの僅かにタイムを抜かれ、
優勝を逃して悔し泣き次は絶対勝つ!と誓うのでした。


第2回は速歩種目で出場。
今回はゼニファー初参加にして速歩に挑戦で、一家3名で挑む。
速歩でのスラロームとコーンの周りを小さく回る巻き乗りは
普段はまったく練習しない事なので、
難しいけれど馬を操る練習としてなんか楽しい。
大会の結果は!
なんとポコぞうゼニファー ダブル優勝
おめでとうございます。

優勝メダル!おめでとうございます。
大会の前に使用済の蹄鉄に金色のスプレーで塗っているのを見てしまった!

トトムは?
『なんか馬が疲れてて~、あまり走ってくれませんでした。』
でも競技後インストラクターさんから
緊張感のある良い騎乗でしたよ。』のお言葉をいただく。
”ほほう、どのあたりが良かったのか、詳しくお聞かせ願いましょうか?”


3回目
トトムゼニファーの二人で出場。
やはり速歩。
力を尽くすも二人とも勝利の栄冠を手にすることはできませんでした。
思い返すと、3回目のジムカーナ大会は父が亡くなるわずか4日前
それだけ急な父の他界だったのです。



乗馬ライセンス取得
父の四十九日法要も終わった2023年5月
気持ちも身の回りも少し落ち着いたので、
久しぶりに乗馬教室のレッスンを受けに行きました。

気分一転、以前から気になっていた乗馬ライセンス取得について
馬さんに相談。
(三木ホーストレックでは5級4級ライセンス取得が可能)

トトムさんなら5級は飛び越して、4級に挑戦してはどうですか?』

ジムカーナ大会の速歩の操作も儘ならぬのに、何の根拠を以って
トトムさんなら”とおっしゃっていただけるのかはわからないが
お言葉に甘えて4級を狙いに行きます!

"月に2回ライセンス取得特別レッスンの日があるので、
何回か受けて練習で感じを掴み、これで大丈夫と思ったら、
同じ特別レッスン時間内に試験をします。"
とのこと。なるほど!
さすがにレッスン中の様子を採点して、
試験なしで認定してくれるというわけにはいかないのか!

さっそく受付へ行き、4級特別レッスンの日程を確認すると
5月は既に終了、6月はなぜか特別レッスン開催無し、7月から開始となる。

ところで4級ライセンスの試験内容を全く確認せずに
申し込んだのですが大丈夫でしょうか…

そのままだと、実際にやる日まで教えてもらえそうにないので
初めて特別レッスンを受けるちょっと前に、聞いてみる。
『あの~、4級ってどんなことするんですか?』

説明の要約
・並歩、速歩での図形運動
・速歩の手前合わせ(出たー、”手前”)
・それから駈歩

4級ライセンス試験課題の一例(合図に合わせて臨機応変に対応)


えー!駈歩もあるんですか?
だってまだ全然安定して駈歩が出来るようになってないのですが!
あっても正反撞速歩までかと思っていた!

一気に緊張感が高まる。
だから”トトムさんなら”っていう言葉に油断してはならないのだ!

やってみると、馬達がライセンス取得特別レッスンというTPOを
良く理解してくれており、
普段の練習ではないような献身的協力振りで
意外にも駈歩発進スムーズ
これなら本番で緊張して硬くならなければいけそうです。

逆に予想外に難しいポイントは速歩での隅角通過
これって試験課題の図形運動ではなく、基本動作です。

壁に沿って進み、角をギリギリで曲がるのが隅角通過。
やはり馬でも人間でも壁に向かって走っていくのは嫌なようで、
角の少し手前から、『ぶつかる~!』とブレーキを掛け常歩になったり、
角の手前でショートカットしてしまったり。

並歩になってもすぐに速歩に戻せば、減点にはならないのですが、
進むべきコースを大きく外れるとアウト。

また減点になるほど大きなコース外れをせずとも、
一度速歩を止められると手前が合わなくなるし、
隅角ショートカットすると次の斜め手前変換への繋がりが
うまくいかなくなり、すべての課題に影響します。
隅角できちんと速歩を続けられることこそが一番のポイント!

隅角通過をショートカットした場合には6m地点で斜め手前変換をするのが難しい



そのためには手綱馬の首を行かせたい方向に曲げるよりも、
で馬の胴体の両側から挟むのではなく、片側のみ強く押さえて
方向付けするほうが効果的。
(ニュートン第2法則からすると、騎乗者は反力をどこで受けるのかと
疑問渦巻くが、もう物理物理と言いますまい。)
 

実はコレ、通常レッスン輪乗りをしている時でも
手綱だけに頼らない方法として重要であり、目から鱗の想いで練習。

”これまで練習してきた成果ライセンスというに残す”
という気持ちで挑戦したのですが
ライセンスの練習をすることによって理解が深まることもあり。
良き良き。

7月に特別レッスン2回の他、通常のレッスン4回
8月は特別レッスン2回、通常レッスン2回
9月に特別レッスン1回、通常レッスン2回
とこの期間、集中的に乗馬の練習をこなして、
少し自信もついてきました。

そしてとうとうやってきました。9月の18日 試験本番
緊張はしていますが、”赤絨毯にファンファーレ”というほど
ではありません。

ただゼニファーが『応援に行く』と言ってくれるのだけれど、
さすがに、見られていると緊張増し増しになるので丁重辞退


普段は気分屋のところもあるけれど、ここ一番はやってくれる
馬の中の馬(つまり馬)明藍で挑戦です。

常歩の巻き乗り、半巻き乗りから開始。なかなか順調
審査員の馬さん(つまり人)の『これは精度が高いです!』
とのリアルタイム評価で調子を上げる

次は速歩。明藍は忠実に(というかこちらが指示を出す前から)
馬さんの合図を聞いて速歩をしてくれる。

手前合わせに注意!六次元論を使うんだ。
やはり隅角通過が一番の鬼門だが、
『練習ではギリギリを狙うようにしても、
試験ではそこまで厳しくは見ませんから』
という馬さん(人)の言葉を信じて、あまり無理な突っ込みはさせない。
それでも斜め手前変換には支障のない程度に脚での方向指示を頑張る。

斜め手前変換クリア
おそらく次の隅角を通過すれば、90°方向変換の合図がかかるはず。
隅角接近
一瞬常歩になる、がすぐに速歩復活
間髪入れず『90°方向変換』の合図が掛かる。

ところで手前は一体どうなっているんだ?

この90°方向変換で左手前から右手前に変わるのだが、
もしもさっきの隅角通過で速歩がスムーズに続いて居れば、
方向変換の移行区間の中間地点で、
立つ→座る→立つ→座る→座る→立つ→座る
という”鞍にお尻2度着け”テクニックで
手前を切り替えれば良いだけ。

90°方向変換の手前合わせ


ただ、さっきので手前がどうなったのかわからない。
チラっと下を見ると、
どうも既に先ほどの速歩のリズム崩れ
自然に手前が変わっているように見える。

この直線区間の中央地点でなくても、
次に90°曲がって方向変換が完了する前に、
どこかで手前を切り替えれば良いのだ。
言い換えればこの区間は手前は自由

既に(意図せず)手前が変わっていれば、
もうそのまま次の角を右に曲がれば良いし、
手前が変わっていなければ次の角を曲がる前に”鞍にお尻2度着き”を
しなければならない!

試験本場の緊張の中、90°方向変換の課題直前での速歩ペースの乱れ
というハプニング発生で頭の中は混乱の渦

今の手前がになっていれば、その逆また逆が次の正しい手前
それでいいんだったっけ? 『って結局何なん?』
(いかん””と書きすぎて、
”の字までゲシュタルト崩壊を起こし始めた。
逆って””でいいんだっけ?)

今の状況次に起こすべき行動関連性
落ち着いて考える間もなく対面の壁が近づいてくる。
あそこに到達して90°曲がる前に、決断しなければならない!
どうする~?手前
”鞍にお尻2度着き”するべきか、そのまま行くか?
(ここが、この試験の本人にしかわからない天下分け目の戦いでした)


結局最初に感じた(もう手前替わってる~?)のフィーリングを信じて
そのまま角を曲がる。

入れ替わってる~?


果たして?結果として手前が逆になっていれば減点だが!?
馬さん(人)には何も言われない
そして安定周回中に落ち着いて手前が合っているかという確認する前に、
速歩課題終了
号令で常歩に戻る。

(大丈夫だったのだろうか?ドキドキ)
さっきの手前の件が気になりながらも、
最後の駈歩課題に備えて、気持ちを切り替える。

並歩で壁沿い四角形歩行蹄跡沿い)から、
いつもの輪乗りに切り替えて駈歩の合図を待つ。

まずは左手前駈歩1周回れればOK
駈け出しはいつも以上に明藍が動いてくれます。
試験本番の雰囲気を馬もひしひしと感じてくれているのでしょう。

それでも乗り手緊張で固くなって馬の動きを妨げてしまうと
いくら出来る子明藍でも駈歩をやめてしまうことがある。
気合を入れて力を抜く!なんとか1周回って『速歩』の号令で駈歩終了

次の右手前駈歩無事1周回って試験終了!

さぁどうだったのか? そもそもすぐに合否は発表されるのか?
馬上にてドキドキしていると、馬さん(人)が、
『今回の騎乗は…』と話はじめる。 ゴクリ。

『これまでの練習集大成で、今までで一番良い騎乗でした!』
ということは、どうなん?合格と言う言葉は、まだない。

試験を終わって、今回の功労者明藍号の手入れをしていると
再び馬さん(くどいようですがです)がやってこられて、
高水準で合格です。ライセンスは2週間くらいで届きますよ』
とのお声をいただきました。

やったー。ライセンス取得に挑戦しようと5月に決意してから
4カ月間、繰り返しの練習試験へのプレッシャー!
CISTECの安全保障輸出管理実務能力認定試験よりも大変でした。

そして先日ライセンスカードが届き、馬さんより手渡して
いただきました。
自分に拍手!パチパチパチパチ

ライセンスカード 使い道あるのかな?


競技会
三木ホースランドパークには、屋内競技場の他にも
障害競技のできる屋外競技場や競馬場のようなオーバルコースがあり、
春や秋ともなると毎週のように馬術競技会が催されます。

クレインのような乗馬クラブ主催や大学乗馬部の大会、
トップクラスでは全日本総合乗馬大会など大会の種類も様々です。

オーバルコースはあまり使っているのを見た事がない。
ただしオーバルコースから、通常車が通る車道を通って
森の方クロスカントリーコースへ向かって
人馬一体猛スピードで駆け抜けているのを一度見たことがあり、
凄い迫力!

その時、インストラクターに聞くと、
クロスカントリーの競技が行われているのだとか。

屋外競技場での障害馬術競技は、
当たり前ですが駈歩しながら障害物の飛越。

ある日の障害馬術競技の大会



ちなみにトトムは落ちるもの系アトラクション
(USJならジュラシックパーク・ザ・ライド)が大の苦手なので、
仮に駈歩が上達したとしても、こういうのは絶対やりたくありません。
大会のレベルによって障害物の高さが違っており、
全日本大会だともう人の背丈くらいありそう!

屋内競技場では馬場馬術競技があり、
燕尾服シルクハットといった優雅な出で立ちの騎手が
馬の操作の正確さを競います。

この屋内競技場で競技が行われる場合は隣の屋内練習馬場
選手の控えの場所になり、
乗馬教室レッスン生屋外の練習馬場での練習となります。


この秋もたくさんの大会が行われています。

4級ライセンス試験の終わった後の或る日。
その日も競技会があり、屋外馬場での練習です。

練習が終わって、洗い場まで引馬でトコトコ帰っている時
インストラクターさん(リアルに名前存じ上げないのですが、
アニメ声の女の子なので”アニメちゃん”と呼んでおきます)が
『今日も(競走馬運搬用)トラックたくさん停まってますね。』

馬はとても臆病で、普段見慣れないものがあったり、
エンジンがかかってが出ていたりすると怖がって暴れたりするので、
単なる世間話ではなく、注意も兼ねている。

確かに今日は普段の大会に比べてもトラックが特に多く、
洗い場から屋外競技場へ行く間の道沿いにもたくさん駐車されています。

『今日は大きい大会なんですか?』
『そうですね、今日はクロスカントリーもありますからね~』

『前にクロスカントリー見ましたけど、凄いスピード感で
大迫力ですね。今日もちょっと観戦してから帰ろうかな。』
『そうなんですよ、かっこいいですよね~。』とアニメちゃん。
インストラクターでも、競技会はやっぱり憧れるのか。

『トトムさんは、競技会出るのとか興味ありますか?』

(んん?”観たい”とは言ったけど、”出たい”とは一言も言ってないぞ)
『いや~、ちょっと障害競技なんか見てても、
選手の人のウォームアップの時の駈歩が余裕すぎて、
速歩で流しているようにしか見えませんからね~。
あのレベルはハードル高すぎ障害だけに)ですね~』

するとアニメちゃん
『練習を続けて行けば、絶対出来るようになりますよ!
キラキラ(期待の👀)』

いや… あと5回で、三木ホーストレック卒業ですし、
さすがに一般の乗馬クラブに所属して続けるつもりはないんで~。
いや、それ以前に障害絶対イヤです。

とは言えませんでした。


ホーストレッキング(外乗り)
三木市のふるさと納税チケットをゲットして最初に臨んだ
”トレッキング体験”は三木ホーストレック乗馬教室に入会しなくても
予約をすれば受けることができますが、
経験者向けホーストレッキングのコースもあります。

新型コロナ蔓延防止の緊急事態宣言明けで
レッスン申し込みが少なかったからなのかわかりませんが
一時期、三木ホーストレックレッスン生もレッスンチケット2回分
ホーストレッキング予約ができました。(お得!
トトムは一刻も早く上達したかったので、申し込みしませんでしたが
ゼニファーポコぞう速歩トレッキングに挑戦!

森林の中の速歩気分爽快
さらに本来は外来のお客様向けなので、馬装お手入れ無し
楽チン最高だそうですよ。

先日レッスン後に森の中のクロスカントリーコース散策していると
速歩トレッキングをしているグループに遭遇しました。
なるほど、気持ち良さそうです。

脇へよけつつ、写真をパシャリ

今はレッスン生のチケットでの申し込みはできないようですので
乗馬教室卒業後ホーストレッキングにも挑戦したいと思います。

ちなみに経験者用コースは次の3種類
なみあしコース初心者向け 騎乗レッスン体験10回以上
はやあしコース中級車向け 騎乗レッスン体験50回以上
かけあしコース上級者向け 騎乗レッスン体験150回以上

トトムは騎乗回数は183回、4級乗馬ライセンスも持っているので
かけあしコースにも申し込めますが、
やはり気楽にできる”はやあし”のほうがいいかな?

三木ホーストレックホームページの紹介動画を添付させていただいてますが
やってますね~。駈歩
確かに馬場での輪乗りに比べて、楽しそうですがスピード早くない⁉

あっ、よく見ると馬に乗っているの
インストラクターの皆さんじゃないですか‼

やっぱり、かけあしコースに挑戦するかどうかは、
赤絨毯の向こうにいるキャンター王とのご相談だな。

エピローグ

(エピローグはフィクションです)

馬の楽園 北海道

3年後、北海道にて
ホーストレッキングの申し込みをしたいのですが』
『すみません、こちらのコースが経験者の方向けとなっています。』

『あっと、乗馬ライセンス4級ではダメでしょうか?』
『失礼しました。大丈夫です。
でも4級ですと駈歩をするなら、あまり激しい走りをする
若い馬でない方が良いでしょうね。』

『最近内地(本土)からやってきた、こちらの青毛の馬なら
おとなしくて、丁度いいですよ。』

『わかりました。その子でお願いします。
なんという名前の馬ですか?』

リアルブラック号です。』

馬と対面
リアルブラック~。 このデコスケ! (感涙)』

ぼ~、(このおじさんだれだっけ?)

憶えてない? 脇腹をこちょこちょ

久しぶりのこのくすぐったさ。『トトムお前かー』
横蹴り!

おっとその手には、イヤそのには乗らないぞ。ニヤリ

やぁ、元気だったかい?久しぶりに乗らせてもらうよ。

おしまい






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